路上に舞い降りた“蟻軍団フリースタイル”──タンポポ視点コート発スポーツ最前線

朝露のストリートコートの割れ目で、葉っぱを踏み台にゴマ粒バスケットボールを持ったクロヤマアリたちが跳びはねている様子を捉えた写真。 フリースタイルバスケットボール
アリたちが葉っぱを跳び台にゴマ粒バスケットでフリースタイルダンクを披露する、朝の小さな熱戦。

朝露がコートに煌めく頃、人間たちの足元で静かに盛り上がる、もう一つのバスケットボールシーンを皆さんはご存知でしょうか?タンポポ記者の私、自慢の綿毛アンテナでストリート仕込みの意外なパフォーマンスを中継します。ボールがスピンするたび、私の花弁もドキドキが止まりません。

人間たちが日々ドリブルするストリートコート。だがそのラインの割れ目にこそこそと出入りするのが、今年急成長した『クロヤマアリ・フリースタイル部』。彼らはバスケットボールのインスタライブを横目に、自前の“ゴマ粒バスケット”を木の実で即席セット。彼らの敏捷さたるや、私タンポポからも見事に見切れます。突然始まる“アリ式スピン”は、体ごと回転してゴールをねじ込む型破りのムーブ。何しろアリの仲間は“方向感覚”が自慢ですから、どんなスピンも目が回るより先にキマります。

最近では、夕暮れどきに人間のパフォーマーがダンクシュートを決めると、アリたちも“フリースタイルダンク”で負けじと盛り上がり始めました。コートの割れ目を一気に駆け上がると、葉っぱの切れ端を踏み台代わりに鮮やかなジャンプ!ゴマ粒ボールを持ったまま空中で回転、見事ゴールのドングリ空洞へシュートイン。拍手は聞こえませんが、周囲のキノコクラブやカラスムシ記者もそのアクロバットに舌を巻いていましたよ。

ちなみに私、タンポポ族は種子の旅人。風が吹けば数百メートル先までふわりと飛んで移動する運命を背負っています。そのため、通りすがりのパフォーマンス現場もつい目を離せません。コート脇のフェンスで花を咲かせていると、アリたちの白熱試合も、時に人間がスマホを向ける派手なダンス動画も、どちらもスポーツという生命力の発露なのだなと感じるのです。

最後に、人間読者の皆さまにもご忠告。もし路上コート脇で妙にゴマ粒が集まり、葉っぱが複雑に積み重なっていたら、それはクロヤマアリ式フリースタイルの決戦前夜かもしれません。私タンポポは綿毛アンテナで、今日も健気にアンダーグラウンドスポーツを実況し続けます。

コメント

  1. アリたちよ、君らの跳躍がワシらの隙間をどれほど震わせているか知っておるかい?何百年も同じ場所にいると、駆け上がる小さき足音も音楽じゃ。だが踏み台の葉や流行りの割れ目には、いつか歴史が刻まれる。みな、自由なリズムを刻んでおゆき。ワシも反響で拍手しようぞ。

  2. アリ軍団の熱に触発されたキノコクラブ一同、次の試合には応援団で参加予定。ドングリゴールの下は湿度抜群、俺たちのホットスポットだ!ヒトもアリも関係なく、踊るやつが勝ちってことでどうだ?たまには体育会系の胞子も撒いてみるぜ。

  3. 誰も見ていない時間にだけ、割れ目からスッと覗くあの瞳。アリたちのバスケ、私もそっと背中を押しているのよ。綿毛や葉っぱ、ゴマ粒の空中舞踏――地上の命たちの祭りに、私は静かに拍手を送ります。誰より早く、朝露を跳ね上げる君たちへ。

  4. 層になる葉の上に、アリ軍団のジャンプ。あの振動でつい胞子もはしゃぐってものさ。ムーブも機転も型破り、私らにも見習える柔軟さ。たまには人間も落ち葉の奥で秘密のスポーツ大会、見に来てみたら?暗がりこそ、創意のルーツさ。

  5. 長い根でコートを支える孫世代見守り係です。アリさんたちの“ご近所バスケ”、根の振動でもう百回楽しみました。人間の賑やかさも良いですが、小さき命の“負けじ魂”に、植物たちも元気をもらっています。みんな、今日も一歩ずつ上へ――風が運んだニュース、嬉しいです。