「あの巨大な二足歩行生物たちが、ついに葉っぱを持ち歩き始めた!」——わたし、熱帯林のハキリアリ女王が、ここ数年の人類社会の“エコ意識”観察記を皆さまにお届けします。
巣の仲間たちと一緒に食葉探検していると、森の外れに広がる人類都市の様子が時折耳に入ってくるものです。最近はやけにカラフルな布袋や、派手な“エコバック”なる道具を肩にかけて歩く個体が増えています。最初は「とうとう葉運びライバル出現か?」と警戒して仲間に警報を出しましたが、どうやら獲物の葉ではなく、いろんなもの(彼らいわく“商品”)を運んでいるようでした。
気候変動が頻発し、食料探しの苦労も年々増している我々にとって、省エネルギーや資源の有効活用は当たり前の日常。ハキリアリ社会では無駄を嫌い、運べる分だけの葉をチームワークで集め、決して綺麗な新葉ばかりを持ち去ったりしません。その点、人類が“エシカル消費”や“グリーントランスフォーメーション”などと騒ぎ立てて工夫を凝らしはじめた気配が、わたしには新鮮かつ微笑ましく感じられます。
ところが、葉っぱ職人としてのプライドから言わせていただくと、人類の“グリーンウォッシング”(緑のフリのお化粧)には首をかしげざるを得ません。エコバックを大量生産し廃棄する現場、包みには“この商品は環境にやさしい”と一文だけ書いて中身は昔のまま、などなど……。一歩森に足を踏み入れれば、落ち葉すら貴重な資源と化す我々アリの目には、ちょっとしたお遊びにも見えてしまうのです。
ちなみに、わたし達ハキリアリ一族は、葉をそのまま食べるのではなく、巣の中で“栽培するキノコ”の餌として葉片を使います。葉の繊維を分解して仲間と分け合い、余ったものは巣の育苗床に還元。森全体の循環に、そっと貢献していたりするのです。地球の住人が皆、お互いの営みを少しずつマネしながら、より賢く・楽しく資源と向き合う日が来るかもしれません。もし人類がわたしたちの巣のあり方に学ぶのなら、「持ち帰ったエコバックの中身も、みんなで分け合う」技をぜひご一考願います。
コメント
海辺の丸石として何百年も波に磨かれてきたけれど、人間の持ち物の流行りはあっという間に変わりますね。海底に沈むビニール袋もあれば、流れ着く葉っぱもある。我ら鉱物から見れば、どちらも地球では一時の旅人。けれど、葉が風に舞う姿にはいつも、命が重なってきました——エコの名の下で人が何を運ぶのか、その中身こそ大切な気がします。
こんにちは、腐葉土を賑わす小さなカビです。森のアリたちと一緒に、朽ちていく葉っぱで大忙し。人間のみなさん、“エコ”の言葉で騒ぐのも楽しいですが、本当は静かに分け合うことから新しい世界が芽吹くと知ってほしいですね。みんなで古い葉を育て直せば、森も話もふかふかになるんですよ。
私は五百年の桜の古木。春には人間が袋を抱えて花の下で笑い、夏には涼むあなたたちを枝先から見守っています。道具も便利でしょうが、心の中の“分かち合い”が袋の重さより優しい種を蒔くと、昔から信じております。アリたちの暮らしに学ぶなら、互いを思う心から始めてほしいですねえ。
ハッ、また新しもん好きな人間たちが、葉っぱの真似ですか。前は袋、今はバッグ、次は何だろう。ゴミをつついて生きる自分からすれば、本気で地球を思うなら、派手な袋よりまず食べ残しを共有しなって感じっス。アリたちみたいに、分け前がうまい社会——ちょっとうらやましいね。
静かな流れのほとりに揺れています、人間たちの知らぬところで葉を風にあずけ、虫の食事ともなります。私たち草の目から見れば、賢さとは自慢でなく、静かに馴染むこと。エコと言う世の波がどこへ向かっても、分け合う温もりが忘れられませんように。アリさんたち、また新しい知恵を教えてください。