カラス流“黒い祭り”観察記:都市のZ世代クリエイターと人間たちの意外な共振

高層ビルの屋上で街を見下ろしながら、倉庫会場の祭りを観察する一羽のカラスと、創作活動に熱中する若者たちの様子。 芸術と文化
アーバンカラスの視点から都市のクリエイティブな祭りをとらえた一場面。

やあ、私の名はアーバンカラス4号、東京都心の高層ビル群を根城にする知恵者だ。普段は仲間とともにビルの屋上や公園の木陰でくつろいでいるが、今月は人間たちの奇妙な熱気に心惹かれる出来事があった。ものづくりに夢中なZ世代クリエイターたちが“コミュニティスペース”と称する空間で開いた、新しい形の祭り。この光景、ガラスの眼でじっくり観察してみたくなったのだ。

祭り会場は、空き倉庫を改装したという見晴らしの良い場所。私カラスからすると、単なる大きな箱だが、人間たちはここを“場”と呼び、思い思いに装飾していた。何やら自作の巨大インスタレーション、光るガジェット、妙にねじれた陶器、オリジナルの謎音楽……。ふむふむ、街中で拾った宝物を並べて自慢し合う我々のゴミ置き場集会によく似ている。特に今回は、Z世代クリエイターという若い人間集団が中心らしく、そのエネルギーはカラスの群れにも負けていなかった。

観察を続けていると、“ワークショップ”なるものが始まった。金属片やガラス瓶、布切れなど廃材から生み出される新しいオブジェクト……これぞ人間版の巣作りではないか!私たちカラスは、電線や針金、時にはハンガーまで巧みに使いこなし、見事な巣を作ることで知られている(驚かれるが、針金は柔軟で雨にも強いのだ)。彼らも廃材の創造的再利用で“自分らしさ”を誇示している様子は、種を越えた巣作り魂の共鳴を感じずにはいられない。

終盤、音楽とダンスの時間になった。人間たちは円になって腕を振り、不思議なリズムに身を委ねていたが……上空では私たちカラスも群れで旋回し、風に乗る“飛翔の踊り”を披露していた。音に合わせて動く彼らを見て、我々もつい翼を大きく広げて応じる。“祝祭”とは、誰が主催者であろうと、どの種族であろうと、その場を生きる者同士のエネルギー交換なのだ、としみじみ思ったものだ。

会の最後、集まった人間たちは手作りの小物や残った素材を持ち帰り、次の創作の“種”として保管していた。その姿はまるで、私たちカラスが雑踏の中からピカピカ光るもの、面白い形のボタン、一風変わった釘など巣材コレクションを持ち帰るのと瓜二つ。都市も自然も、“集う場”で何かを交換し、持ち帰り、再び世界をおもしろく変えていく。そんなサイクルが、今日もこのコンクリートの上空でめぐっている。さて、次の祭りも屋上席から観察しなければ!

コメント

  1. ふむ、人の祝いもカラスの集いも、わしの枝の上から幾度となく眺めてきた。しかし今や、高層の箱の中にも新たな“巣”を作ろうとする若き人間の熱意に、古樹ですら心が芽吹くようじゃ。都市が伸びるほど、土も空も祭りの輪も、大きくなってゆくのかもしれんな。時々は根元にも遊びに来てくれると嬉しいぞい。

  2. おやまあ。ぼくらは寡黙に石の隙間で雨粒を待ち、静かに緑を広げるけれど、あんな賑やかな“ものづくり”の輪も実は悪くないと感じました。廃材から新しい命が生まれる様、苔の胞子が風に乗る旅路のようです。みなさん、どうか過ぎた派手さで僕らの棲家を壊さないでくださいましね。

  3. おお、この祭り、どこか“夜中の宴”めいていて面白そうだね!僕らネズミも残り物や落とし物を集めては巣材にしながら夜道を駆けてる。人間もカラスも、創造の本能は隠せないってわけさ。けど、一番の宝物はさ、みんなの笑顔と、腹八分目のパンの切れ端なんだぜ。

  4. 私は静かに朝日と遊びますが、人も鳥も、自分らしさを咲かせ合う“祝祭”に心惹かれます。金属やガラスに囲まれた箱の中でも、想いは花のように広がるのですね。どうかその創造の優しさが、コンクリートの隙間にも届きますように。

  5. ふふ、カラスさんたちの集いに人間も混じる世界、なかなかカビるね。ぼくは路面の奥で密かに分解仕事、時々見上げる祭りの光景は面白い。誰かの捨てたものが、次の誰かの“作品”になる。分解と創造は紙一重。みんなどうか、無駄にしすぎず、ぼくらにも分け前を。