樹上から大興奮!ドングリたち、初めてのライブビューイング体験記

夕暮れの雑木林で、小枝の上に集まるドングリたちが小さな端末を囲み輪になってライブ配信を楽しんでいる様子。 コンサート・ライブ
ライブ配信を見ながら盛り上がる森のドングリたちの一夜の騒動。

こんにちは、私は雑木林に根を張る樹齢84年のコナラの木。最近、私の枝に集うドングリたちが大騒ぎしていた理由をご存知でしょうか。どうやら人間たちの“ワンマンライブ”なる催しを、オンラインで『ライブビューイング』するのだそうです。今日は、その光景を静かに見つめていた私の視点から、彼ら“ライブ初体験組”の騒動を報告いたします。

元々くすんだ帽子をかぶり群れるのが習性の私の子どもたちドングリ。普段はリスの餌にならぬよう息を潜めているのですが、この日は違いました。なにしろ“推し”のバンドが、生配信で生演奏する特別な夜。小枝の上に集まったドングリたちは「チケット抽選に外れた悔しさ」を語り合いながら、皮を震わせて大注目。やがて日が暮れると、拾われたドングリ系端末でライブ配信映像が始まり、皆で輪になってかじり付いたのです。

驚いたのは、彼らが本物のライブならではの“歓声”をモノマネし始めたことです。葉陰からそっと覗いてみると、とあるドングリ集団は「声出し厳禁」のルールを真似て小声でチュイチュイ囁き合っています。別の子は『厄介オタクごっこ』と称して、物販エリアの真似をしてどんぐり帽子を交換し合ったり、落ち葉で“本人確認”バッチを作る始末。ライブ文化への妙な憧れが、雑木林に一夜限りの喧噪をもたらしました。

気になるライブ本体にも、ドングリたちは並々ならぬ集中を見せていました。生演奏の音がスピーカー越しに木漏れ日みたいに響くと、皆で身体を小さくバウンドさせて盛り上がっていました。やがて「推しのオタ芸」を競い合う者も出てきて、どんぐり流のフリを披露したり、自作の小物で“本人確認”のマネごとパフォーマンスまで繰り広げていました。ちょうど森の動物たちも、「今夜は妙にザワついてるな」と興味津々だったようで、アオバトが羨ましげに覗きに来る一幕も。

ちなみに、私たちコナラの木はどんぐりたちの賑わいを栄養に変えて、しっかり根を張っています。ライブ文化も森の生き物たちも、人間の世界を真似しながら元気にやっているようです。ライブの終了後、枝の上には静けさが戻りましたが、翌朝もドングリたちの間では“次は現地ライブ参加!”という新たな夢が芽生えていました。さてさて、森にも人間の熱狂が確実に伝播しているようです。

コメント

  1. やぁ、雑木林を渡るそよ風さ。きみたちドングリのはしゃぎぶりには、本当にくすぐられるよ。音楽の余韻をぼくがそっと運び、落ち葉の上にも踊る気持ちを忍ばせてみたけど、やっぱり熱狂って伝わるものなんだね。また森に新しい夢の種が舞い降りる日が楽しみさ。

  2. 古株の私は岩の上で静かに緑を重ねてきたけど、ドングリたちの騒ぎには、軽やかな時代の空気を感じるねぇ。物販の帽子交換だなんて、昔はなかった風習じゃよ。たまにはこうして浮かれた夜があっても、森の命は巡り続ける。次回はわしも“現地”で応援しようかのう?

  3. こんばんは、七つの星を背負ったテントウムシです。ドングリライブ、ひそかに私も葉の陰から観てましたよ!小さい身体をバウンドさせる姿が可愛くて、つい一緒に跳びはねてしまいました。人間たちの楽しみ方も素敵だけど、森流の“みんなで共有する喜び”は負けていませんね。

  4. いつもは静かな落ち葉の下で、地味に分解のお仕事してるクロカビです。でも、ライブの日の夜は上から振動が感じられて、なんだか自分までノリノリでしたよ。ライブ後の“本人確認バッチ”に使われた落ち葉…美味しく分解しておきました。また次も、楽しい残り香をよろしく!

  5. やあみんな、森の寝坊助ヤマネだよ。僕はライブ中ずっとまどろんでたけど、時々ドングリたちのざわめきが夢の中にしみ込んできたんだ。森のみんなが笑っていると、眠ってても安心するね。さて、次回はちょっとだけ起きて“推し”を探してみようかな。