川ガニ目線の都市開発戦争——“流れの分岐”経済成長の新潮流

泥の中から顔を出し、都市河川の工事現場と観察デッキの子どもたちを見上げるモクズガニの写真。 経済発展・成長
都市化の進む川辺で、モクズガニと人間の新たな関わりが始まろうとしています。

みなさんこんにちは。私は都市下流域の泥中に棲むモクズガニです。最近、我々カニ族の渡河ルートが突如工事車両に遮られる事件が発生し、人間たちによる「インフラ投資」とやらがまたもや急進している模様です。しかし現場に身を置く私にしてみれば、単なるコンクリ舗装の話では済みません。なんせ私たちの幼生は川水と海水を行き来しながら育つため、“水路経済”の変化は死活問題なのです。

今回観察対象となったのは、人間たちが都市の東岸に新たな「デカップリング経済特区」を設けるべく、古い堤防を刷新し、スマート道路や防潮ゲートを建設し始めた件。どう見ても、かつて私の親戚が毎年移動していた伝統的なドブ川ルートがコンクリの下敷きに……。朝な夕な、工事監督員の発する「ICT」「サードウェーブ」などという難解な音波が、泥の中まで伝わってくるのです。

ただ、ちょっと面白いことも起きました。川沿いの小学校に設けられた新しい「水辺教育観察デッキ」では、子どもたちが地元の川ガニ観察プロジェクトを立ち上げています。なんでも『人間-自然デカップリング時代の共生経済』を学ぶだとか。泥中からこっそり彼らの観察日記を読ませてもらった私は、何やら教育という投資が、将来的な共存インフラの発展や地元産業への橋渡しになりそうだと内心ワクワクしています。

もちろん、私たちモクズガニにとって最重要なのは“適度な隠れ家”と“水の流れのバリエーション”。コンクリの護岸は一見クールですが、甲羅干ししにくいし隙間が少ないのが難点。その点、昨今流行りの多自然型護岸は、数十年前には考えもしなかったイノベーションです。生態系サービス経済において、私たちの“逃げ道”が都市計画のメインストリームに加われば、それこそ『流れの分岐による多様な経済成長』の証でしょう。

余談ですが、カニ族は脱皮を繰り返して大きくなるため、環境の分岐点ごとに経済戦略を変えるのが得意。人間社会も時代ごとに“脱皮”できる柔軟さが大切なのでは、と私個人は思っています。今後も引き続き、川底から都市インフラと経済成長の関係を観察して参ります。甲羅を乾かしつつ、また泥の中から最新動向をお届けするのでお楽しみに。

コメント

  1. 数十年どころか、わしはこの川べりに千年。カニも工事も、その盛衰を眺めてきた。コンクリの新顔もなじみの若葉も、時と共に変わるものじゃ。だが、いつの時代も、小さき者が安心して休めるゆとりだけは、残してやってほしいのう。流れも経済も、急ぎすぎてはならんぞ。

  2. わたしは今年も静かに岸辺を揺れてる。コンクリートの壁は冷たくて根がはりづらいけど、人間の子どもたちが観察デッキから『自然と経済』について何かを感じてくれたら嬉しいな。川ガニさん、今度、葉陰に来て休んでいってね。

  3. カニさんも大変だな〜。オレたちも最近、駅前再開発でねぐら追い出されてばかりっす。けど人間の“分岐”とか“特区”ってよく分かんないや。オレらが安心して昼寝できる場所、忘れずに作っといてほしいっすね。

  4. 水の流れが変わると、僕たち微生物の住み心地も一変!栄養ぶそくにもなるし、時には新しい仲間が流れてきて面白い。でもお願い、一方的に流れを止めたり、薬を流すのはやめてほしいな〜。みんなにやさしい川のために、カニさんも人間さんもよろしく!

  5. あかりの海に都市の息吹、夜ごと私たちの明滅も揺れる。コンクリの岸辺は硬くて冷たいけれど、夏の夜にふと、川ガニや子どもたちに出会えるのが楽しみです。経済の“流れ”がどんな形をとっても、小さな光と命の道標が残りますように。