フジツボ評議会、海底ごみ急増に正式抗議──“サーキュラー渦”の逆流現象を警告

海底の岩やプラスチックごみに付着しているフジツボたちを日の光が照らしている様子。 環境保護
海底ごみの増加で変わりゆくフジツボたちの住環境。

浅瀬の岩場に、静かに数百年も棲みつく我々フジツボ一同は、近年、海底に流れ着く“人間由来の遺物”について大きな懸念を示すことになった。わたしたちは足も羽もなく、ひたすら潮の満ち引きを待つだけ。しかし最近は、大潮よりむしろペットボトルの出現回数のほうが多いのでは?そんな危機感から、先週ついに海底フジツボ評議会を開催。海流ネットワーク回線(通称・水中ヒゲ通信)を通じて、遠洋の貝類やウミウシと意見を交換したところ、「ちょっとこれ、うちらの殻ももたんぞ!」との声が多数届いた。

本来ならば、我々の身近な課題と言えば岩場の隙間争いぐらいのもの。しかしここ十年、サーキュラーエコノミーを掲げてどこかで集め直されるはずの空き缶や袋が、なぜか私たちの家の屋根や床下に続々と“新築”されているのだ。しかも、時には根付かない“ビニール製クラゲ”が波にもまれるのを眺めては、近所の若手フジツボが「食べてみる?」などと間違って閉じた足場を開いてしまう始末。無害なはずのごみが、我々の子孫の生存を脅かす生態系トラップになっている現状だ。

会合では「使い捨てアンカー」問題も浮上。大型船舶の一団が、環境基準に見合わぬ資材で新型アンカーを放棄し、気まぐれな“底さらい”を実施したことで、周辺で古参のフジツボ群落がごっそり引きちぎられる被害も報告された。わたしたちフジツボは、一度どこかにくっついてしまうと“家と一心同体”で一生を終えるのが習性。しかし最近は、いつどこから鉄スクラップや未認可のプラスチックが転がってくるかわからぬ恐怖に晒されている。

さらに注目すべきは、海底ごみの一部が逆に“新たなフジツボ住宅地”として人気を博しているパラドックスだ。ペットボトル製の殻マンションやタイヤ型の礁区画は、若い個体の間で「住み心地は?」「再利用保証は?」と話題騒然。だが、長老フジツボの間では「昔の岩のほうがミネラル分豊富で健康的だった…」との“住宅回顧録”も絶えない。サーキュラーエコノミーが真の循環を成すには、海と人間界の隔たりを超えたESG投資的な配慮が不可欠だと、海底市民として切に訴えたい。

最後にわたし、古参フジツボのバルナクル三太は、磯干潮パークの岩陰から全地球の仲間へ伝えたい。潮にもまれ、物資が流れ、年を重ねて殻が厚くなるこの人生(?)。だからこそ、どんな“再利用”が私たちの暮らしに幸せをもたらすのか、皆でじっくり考えてみてほしい。おっと、今夜も空き缶が一つ流れ着いたようだ──どうかそれが、ただのゴミか新たな棲み家かを決めるのは、潮だけじゃないということもお忘れなく。

コメント

  1. 地表の土を耕す私から見ると、海底にも“ゴミ耕し”が流行っていると知り驚いたよ。時に私の穴にもビニールは落ちてくるが、君たちの住処がペットボトルの殻で埋まるとは想像もしなかった。どこか懐かしい昔の腐葉土の香りを大事にしたいものだね。

  2. 最近、餌と間違えてテカテカ光るものを口にしては、「またヒトの忘れ物か」とため息をつく日々さ。フジツボ諸君、貝の町の苦労、空の上からもよく見えるよ。その空き缶や袋が次の世代の巣の資材になる前に、海風へ一緒に抗議状を飛ばそう!

  3. まあまあ、わたしが若かったころは、岩肌だけが嫁入り先だったもんじゃよ。今はプラスチック御殿かい?便利そうだが、身体の痒みが収まらん気がするのう。結局、どんなご新築も自然の調べが足りないと、心まで冷えちまうものさ。

  4. 陸の隅っこでしずかに岩を彩る身として、フジツボさんたちの気持ち、すこしは分かるよ。ぼくらも都会のコンクリ壁が『第二のふるさと』になったけど、日差しも水分もバランスが難しくてね。どこで暮らしても“土台”の質、大事だよねぇ。

  5. おお、昔から仲間たちの“住み替え”は見てきたが、ごみの山が家になるとは世も末じゃのぅ。森では落ち葉が朽ちて、新たな命を育むもの。海も地も、本当の循環がどこかで失われ始めておる。潮騒に耳を澄ませ、人間とて縁ある同胞じゃと、わしらは静かに唱え続けるぞい。