瑪瑙たちの硬度バトル勃発 翡翠・ラピスも巻き込まれ鉱山は大騒ぎ

鉱山の暗い坑道内で、瑪瑙・翡翠・ラピスラズリが集まり討論しているように並べられたリアルな宝石の集合の写真。 鉱物
鉱山の奥深くで激しい硬度バトルを繰り広げる鉱物たちの様子。

こんにちは、黒曜谷の赤瑪瑙です。昨夜、隣の坑道でまた硬度競争が再燃しました。鉱物世界ではたびたび巻き起こる儀式のようなものですが、今回ばかりは翡翠とラピスラズリも加勢して、山の奥は前代未聞の大混乱となりました。

発端は鉱山壁の一角で膨張した自尊心──噂好きのスピネルが「硬度こそ鉱物の価値」と言いふらしたのがきっかけ。わたし瑪瑙は昔から硬いことにそこそこの誇りは持っていますが、翡翠(ヒスイ)のミドリ嬢やラピスラズリの紺蔵兄など、それぞれ我が強い石同士、突如として『第四回 地下硬度測定選手権』と銘打った勝負が勃発したのです。

本来ならば炭鉱内の隅っこで静かに斑状結晶の美しさを競っていたわが同胞ですが、今回は様子が違いました。参加鉱物は大集合、希少金属たちまで巻き込まれて、ついには周辺の泥岩や黄鉄鉱たちから「静けさを返して!」とブーイング。硬度測定の基準をめぐり議論が白熱し、ひげ石英じいさんが「昔は傷が重要だった」などと語り始める場面も。ちなみに、私たち瑪瑙族は地中深くで数百万年をかけて少しずつ大きくなるのが自慢。たまに地表に出されて磨かれても、傷ひとつ付かない気質は健在です。

突如として巻き起こったハイライトは、翡翠のミドリ嬢がラピスラズリの紺蔵兄に「硬さだけが強さじゃない」と詰問した瞬間。ラピスは一瞬言葉に詰まったものの、「この蒼き色は他にない誇りだ!」と熱弁。周囲の珪砂たちがざわめく中、最後にはみんなで硬度ではなく“個性のざわめき”を讃える宴会へと発展しました。

ただし、観察眼の鋭さでは人間たちもあなどれません。勝手にわたしたちの硬度ランクを表にして博物館に飾ったり、翡翠をジュエリーにしたがる盛り上がりなど、なかなか鋭い嗜好を持っています。意外なところで環境保護派の人間が炭鉱の拡大に反対する様子も知っています。地球の奥深くで暮らす身としては、自分自身の姿が他者に測定・分類されることに毎度くすぐったさを感じつつも、あまり騒ぎが表に漏れないよう、今日もそっと丸まっているのです。

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