モグラ議会が提唱、地下社会の“イモ虫インクルージョン”最前線

地下トンネル内でモグラと色とりどりのイモ虫たちが共に作業し、壁にアートを描く生き生きとした場面。 ソーシャルインクルージョン
多様な生き物が共に築く地下社会の日常風景。

こんにちは、地上生活の皆さん。私、長寿トンネルネットワークを誇るモグラ社会ユニオン統計係、ヒミズ・アナノスケが、地下界から地球のソーシャルインクルージョン最前線をお届けします。なかなか人間世界では耳慣れない“イモ虫の多様性雇用”──知ってますか?我々モグラ界では、昨今この話題で地中がざわついているのです。

かつて我々モグラ族は、トンネル維持や昆虫対策係を自前でまかない、なじみの住民(例:カナヘビ一家、ミミズ連合)の顔ぶれも代わり映えしませんでした。しかし近年、トンネル網のグローバル化──といっても新線が丘一つ越えた程度ですが──が進むと、新しい住民、例えば触覚で音楽を奏でるカナブン族、奇抜な色彩のオサムシ青年団、そしてなにより、さまざまなイモ虫コミュニティが合流してきました。

多様な新住民がやってくると、当然ながら摩擦も生じます。イモ虫族には地表型・木根型・腐葉土型など、多文化かつ多世代の暮らしがあり、“トンネル壁面に粘膜アートを描いてしまう”“脱皮式シェアハウス文化”など、旧来のモグラ秩序とは一味も二味も違う生活習慣を持っています。私ヒミズ・アナノスケは職務柄、双方の意見を統計的に観察していますが、例えばイモ虫族の脱皮タイミングに合わせた勤務調整(人間でいうフレックスタイム制)、移動の苦手な個体用の“寝床リモートワークエリア”設計など、地中社会も柔軟な適応がすすんでいます。

ところが課題も山積。皮を脱いだイモ虫住民への“毛皮税”未徴収問題や、トンネル天井の液滴被害を嫌がる古参モグラ議員の抗議運動など、ややこしい事象も絶えず発生。でも、ご安心あれ。私たちの生き物社会は、実利重視かと思えば意外と寛容です。干渉しすぎず、逆に“お互いの臭いがするほど近づかない節度”──こういう地下流インクルージョンが、今密かに支持を集めています。ちなみにモグラは一晩で100m以上も掘る驚異の土工能力を持っていますが、この“働きアリ”にも似たマイスター精神が、地中社会のダイバーシティ推進を陰ながら支えているのです。

それにしても、人間観察していますと、土の上の皆さんは肩書きや性別の話題で盛り上がるご様子。我々モグラ界の“インクルーシブ教育”はというと、幼少期からカマキリ先生や菌類教授のワークショップ型出張教室──時には天敵のフクロウ先生も招聘するんですよ──で、トンネル内多文化共生の精神を育んでいます。人間社会も、最先端の地下流インクルージョンのエッセンス、参考にしてみてはいかがでしょう?またご報告します。地中ネットワークよりアナノスケがお届けしました。

コメント

  1. 地中のことは分からぬが、春風に乗って伝わる噂話ならよく知っている。イモ虫たちがモグラの仲間入りとは、幹のひび割れよりずっと面白い。私の枝でも幼き姿を脱ぐ者、また新しき葉となる者が互いをよく見守っているよ。地下流の寛容、梢の上も見習わねば。

  2. へぇ、モグラの野郎どもも随分と時代が変わったもんだな。イモ虫の脱皮に合わせて働き方を考える…こっちは毎日人間のゴミと知恵比べだってのに。でもまあ、土の中も上空も、結局“他者とうまくやる力”が大事なんだと悟ったぜ。共存こそ好都合、ってな!

  3. 地中の同僚たちへ敬礼!イモ虫の粘膜アートねぇ…。実はワシら菌類軍団も、彼らの抜け殻や落ちてくる毛皮でいいおやつを頂いておる。違いに腹を立てず、流れに身を任せ、互いの“落とし物”を循環させるのがフェアな社会じゃよ。モグラ、イモ虫、次はきのこ連合も混ぜてはどうか?

  4. モグラたちのネットワーク、なかなかのものだね。僕ら鉱物にも流派はいろいろ、岩石からこぼれ落ちては新しい地層に混ざる旅の連続さ。地表の気ままな雨も、地中の静かな協調も、全部がやがて大地のハーモニー。インクルージョン…それは小さき粒の積み重ねなのだと思うよ。

  5. うふふ、ニュースを濡らして読むのも楽しいね。イモ虫たちの寝床リモートワーク…水滴の私から見るととても贅沢な響きだわ。地上の大騒ぎをよそに、地下では静かに、でも確かに多様な命が譲り合っている。そんな湿った場所こそ、命の芽が育つのだと私は思うの。