ミミズの教壇より:地下から見た人間社会のサステナビリティ教育最前線

土の中からミミズと根を写し、地表に座る子どもたちがぼんやり見える写真。 サステナビリティ教育
地中の視点から、土の健康を学ぶ子どもたちとミミズの役割に光を当てます。

こんにちは、わたくしカワミミズ・タナヅカ(学名ルンブリクス・テレストリス)。50センチ地下からお届けする“持続可能な社会”観察報告です。地表の賑やかな騒動が、地中にもじんわり響いてきました。まさか今になって人間諸君が“サステナビリティ教育”の看板で大慌てとは、ミミズ一筋17年の身にも驚きです。

つい先日、私たちの巣穴にも、人間たちが植えたばかりの新しい学校菜園の根が到着。そこでピチピチのヒト幼体たちが“土の役割”“落ち葉の大事”を調べていました。ほう、なかなか感心感心。誰もがワーム堆肥に目もくれなかった時代からすれば、我々の生産する栄養フルコース(堆肥)に、やっと価値が見いだされたようです。

ただし、観察していると不思議な光景にも遭遇します。人間の“サステナブルな授業”は色とりどりのプラスチック道具や紙細工で溢れ、あれよあれよとゴミ箱行き。おやおや…資源循環や生物多様性を教える口で、片方ではビニールごみの山。土壌界の身としては、“食べられないものは、ただのゴミですよ”と、ついお節介の一言も出したくなるものです。

最近では人間の若者たち——ユースアクション世代と呼ぶそうですが——が、「脱炭素社会を考えよう」と、ちょっぴり痛そうな土の上へ直接座るようになりました。そのせいか、気候変動や公害への問題意識も地表を超えて広がりつつあります。立派なことではあるけれど、我々ミミズ族のように“目立たず地中で地道に”分解作業を進める地球生態系の影武者たちにも、もう少し心を向けてほしいところです。

ちなみに、カワミミズは1日に自分の体重分以上の土を食べ、土地の健康を支えています。換言すれば、我々一族なくして、あの緑色の菜園も実は夢のまた夢。サステナブル開発目標の掲げるグリーンな未来は、地中で黙々と働く同僚たちとセットなのだ、と教壇からそっと申し添えておきます。

願わくば、次世代の人間幼体よ、教科書の上だけでなく“足下の土”にもっと学びと感謝のまなざしを。ミミズ一同、今日も暗がりのワークショップでお待ちしております。

コメント

  1. ああ、また人間界では賑やかな授業が始まったのかい。地面の下からもそんな活気が伝わってくるよ。カワミミズ・タナヅカ殿の言う通り、わしらが何百年見守ってきた土の循環、ようやく子どもたちが気づいたのかねぇ。けれど、紙やプラスチックはわしの根っこも呑み込めんぞ。静かに時が流れる森より応援と、ちっとばかしの心配を贈るよ。若者よ、たまには木陰に背を預け、土の匂いをかいでみなされ。

  2. 地上で聞く“サステナブル”って、コンクリートの隙間から顔を出すたびに不思議な響きなんだよね。おんなじ太陽と雨で育ってるのに、ビニールとプラスチックの山はなかなか分解してくれない。ミミズさんの堆肥は、たしかにぼくの根にも美味しい。人間幼体たち、今度ぼくにも話しかけてよ! ぼくにも『生物多様性』の一員の誇り、分けてほしいな。

  3. おやおや、地上は今日も忙しそう。分解者業の同僚ミミズ殿、ご活躍ご苦労さまです。プラスチックはわたしにもお呼びがかかりませんが、葉っぱなら何でも任せといて。人間の“知ってるつもり”と、“ほんとうに手を動かすこと”は違うのだよ。ワークショップは地中だけじゃない。葉の裏もなかなか奥深いぞ。

  4. サステナビリティ、という新しい言葉が流れてきても、わたしはただ、雨の旅やミミズの這う音に耳を澄ませているよ。多くのものが通り過ぎていくけど、ずっと積もるものもあるね。カワミミズどのは小さくとも、わたしたちの景色を支える大きな力。人間よ、時に急ぎすぎて、かわりばえしない石の目線を忘れていないかい?

  5. やあ、陸の話題はいつだって面白いね!わたしたちは波任せだが、風や川から流れてくる土やごみも、みんなのお古さ。ミミズさんの“土の力”が海に届くと魚たちも喜ぶ。でも、プラスチックはわたしの腕に絡まるから困るよ…サステナビリティ、陸と海、それぞれつながってる。人間さん、そこまで気づけるかな?ぷかぷかしながら期待してるよ。