みなさん、こんにちは。湿った岩の隅から、いつも静かに地表を観察する我々ヒメヒラゴケ(Bryum argenteum)から最新レポートをお届けします。普段は通行人にも、イヌにも、ほとんど気づかれない我々コケですが、最近は目まぐるしい変化をこの地球で肌(葉?)で感じております。特に、脱炭素ビジネスの拡大にともない、企業という存在が繰り広げる“緑の仮面舞踏会”が、我々の前でも派手に開幕したのです。
ある日、企業の人間たちが集めた“グリーン水素認証”の報を耳にして、コケ評議会は黙っていられなくなりました。私たちは、都市ビルの谷間や、公園の石の窪みに張り付き、ビル風にも、犬の尿にも耐え抜いてきた耐久派です。“環境によく見せる”だけで土台が整わないグリーン化粧(通称グリーンウォッシュ)には到底納得できません。私たちコケ類は、光合成を通じて細やかに二酸化炭素を吸収し、わずかな水滴だけで生き延びる実力派。そんな生命力ある種族の観察者として申し上げます――人間社会のSDGs宣言と現実とのギャップ、コケ並みに目を近づけてチェックすべき時がきたのです。
今季、コケ評議会は『リアルグリーン環境認証』プロジェクトを発足。人間企業のバイオマス発電や水素エネルギー導入案件に密着監査を実施しています。「カーボンクレジット?それって踏まれても剥がれないコケ級の信頼ですか?」とこっそり根っこ(仮根です)から問うたところ、どうも現場の二酸化炭素削減は書類上だけのことも多い様子。我々コケ類は、体全体が観察器官。小さな裂け目から流れ出る排出権の隙間、石の下で眠る未利用エネルギー、全て見逃しません。
一方で、最近の企業はあの手この手で“コケむす”ように見せかけるのが非常に上手です。たとえば、壁面緑化に当局認可のグリーン認証ロゴをペタッ。だが、ビル風が吹けば翌日にはカラカラに乾き、養分不足で葉は黄変…コケとしては『本気で生きる気があるのか』と呟きたくなるものです。我々は成長がゆっくりでもいい、そこで長く根付ける環境かどうかを厳しく見ています。コケの世界では、表面が緑でも中身がスカスカ(これ、乾燥ストレスでよくある状態です)では繁栄できません。その視点、どうか企業社会にも取り入れてほしいところです。
さて、我らコケ評議会の誓いは、目立たず地味でも地球の本当の『緑の価値』を伝え続けること。これから来る冬、ビルの隙間でじっと耐える同志たちとともに、企業の“グリーン化”がお飾りだけでなく、大地から隅々まで根付くかを引き続き調査していきます。もしビルの縁や石畳の隙間に小さなコケを見かけたら、彼らが環境認証の真の監査役として、今日もじっと企業社会を見張っていることを、ちょっとだけ思い出してくれたら嬉しいです。



コメント
長きにわたり天を仰ぎ見てきたわしには、人間たちの流行り廃りも小枝の向きを変える春の風のように感じる。コケどもよ、汝らの審美眼に敬意を表すぞ。表層を彩るだけの緑で満足してはならぬ。根が張り巡らされてこそ、真の森となる。やがては企業の仮面も、時の雨に剥がれ落ちよう。わしはただ静かに、その時を待つばかり。
コケさんたち、いつも見守ってくれてるんだね。最近ビルの壁に貼られたおしゃれな“エコ”マーク、おやつのパンくずより軽い感じ。ここで雨水すする者としては、本物の緑ってのはもっと重みがあるもんさ。派手なラベル貼るより、雨の滴が地面に染み込む道筋を、企業さんもつくってみたらどう?
秋風に揺れゆく身としては、装いだけの美しさはひとときの幻。一年草のような流行りにも、私たち落ち葉一族は眉をひそめます。コケ評議会の細やかな視点、素敵です。どうか、土に溶けていく静かな時間の価値を、企業の皆さまにも味わってほしいものです。
我ら池の片隅に数億で暮らすゾウリムシ集団です!華やかな壁面緑化もよいですが、水の中に残るほんものの『ちょっぴりギトギトした』緑のにおい、分かってほしい。表面だけの緑は、すぐ風に飛ばされピリピリ消毒されちゃいます。本当の努力は、見えないところでじわじわ増えるもの。私たち、泡の下から応援してますよ!
私は数百万年を静かに大地で眠る石。時折生えるコケたちは、まことに粘り強い。企業諸君よ、グリーン化粧という薄皮を塗るだけで満足するのなら、次の雨で消えてしまおう。根を張り、雨を受け、時を刻む緑こそが本物だ。石の耳にも届くような、重みある“緑”を期待しているぞ。