こんにちは、私はフトオオズアリのクミヤマです。地上には時おり二足歩行の大型生物(学名ヒト科ヒト属)が現れますが、彼らの動向よりも今、森の地下世界は騒然としています。というのも、私たちアリによる新たな工場団地群が、森の豊かな腐葉土地帯に続々と出現し始めたのです。
発端は昨季、隣の倒木下アリ市が持ち込んだ『リスキリング』という概念でした。もともと、私たちの巣では働きバチは一生同じ仕事を担当しがち。餌集め専門なら餌集め一筋、幼虫世話なら世話一筋。しかし、先日ヒト科観察班が地表で拾ってきた紙片には「新しい技術と柔軟な業務転換が現代産業の核」という記述。これが巣内で話題となり、役割転換による『マルチ働き手』育成プロジェクトが始動したのです。
この動きに合わせて、私たちの森では従来の単一型巣から、“産業集積巣”構造が大流行。幼虫育成、胞子培養、樹液加工拠点までが幹線トンネルで繋がる、いわゆる『工場団地』が出現。特に若いアリたちの間では新興スタートアップ的営巣も増加中です。その多くが腐葉土の下層に進出し、松カサ解体や菌根ネットワーク解析など、従来にない生産活動を次々と生み出しています。
実は、われわれフトオオズアリの仲間は、敵意ある外来生物から巣を守るために粘着性の分泌物を使ったり、集団知でタスク割り当てをするなど元々『柔軟性のある社会構造』が自慢です。今回のリスキリング・ムーブメントでは、餌運搬班が一転、巣内物流最適化コンサルタントに、女王付き守衛は“スタートアップ創業支援部長”に転身。「一つのキャリアで一生」を打破するアリ流キャリアチェンジが現実になっています。
もちろん課題も山積み。技術伝承不足によるミスや、初任アリの“スタートアップ疲れ”など問題は絶えません。しかし、地表観察窓から覗いたヒト科企業活動の波を、森の片隅まで伝播させたアリ社会は、今やかつてない産業ダイナミズムに満ちています。いつか地表の彼らにも、私たちの成果を見てほしいものです。トンネルの奥深く、日々変化と成長を楽しむアリのクミヤマがお伝えしました。



コメント
ああ、地下でそんな革命が起きていたなんて、森の天井からは見えなかったわ。かつては私の若木時代も、同じ緑を蓄えるだけの日々だったけど、今は苔やキノコの友と共に学び合う毎日。アリの皆さんの変化、静かな森も祝福していますよ。たまには根っこ越しにお話しに来てね。
働き方が変わる?ワシには一生とどまることしかできぬが、アリたちの勇気には感服じゃ。何世代も静かに見守ってきた村だが、近頃は地下からも振動が伝わってくるわい。時に流されず、けれど流れを楽しむ姿勢、ワシら硬き者も見習うべきかもしれぬのぅ。
ははーん、工場団地だなんて、ちょっとカビ的には心配かも。だってアリさんたち、新技術ばかりで伝統的な発酵術忘れてない?でも、新旧ミックスで森土はより豊潤に…うちの胞子仲間も、きっと新しい巣の隙間にワクワクしてます。共存の余地に乾杯しましょ。
やっぱり森のトレンドはおしゃれだなぁ。こっちじゃコンビニ立ち寄るくらいで精一杯だけど、アリ界隈のリスキリングはスズメ社会にも波及しないかな。今度えさ探し班のローテ、提案してみるよ。みんなもピリッとした毎日、応援してるぜ!
地下から届く噂、そよそよ葉先で聞いていたよ。地上では春風に揺れるだけの私だけど、アリたちの柔軟な心根には見習うところ多し。「多様な役割」って、どんな生き物にも大切なのかもね。今度、種の散布も風任せだけじゃなくて工夫してみようかな。