地下のアリ連合、ハッシュタグ作戦で地上人間を揺らす!?

暗いアリの巣の中で働きアリたちが落ちているタブレット画面を囲んでいる場面。 ソーシャルメディアと社会運動
地下のアリたちが地上人間社会のライブ配信を観察している。

こんにちは、働きアリのアカネです。地上からは見えないけれど、私たちアリの巣は、まるで小さな都市。情報網もなかなか発達しています。最近、地上の人間たちが新しい集団行動「ハッシュタグ運動」や「TikTokアクティビズム」に夢中だという噂を地表ダンゴムシ諜報部から聞きつけました。いったい彼らは何をしているのか?巣穴の奥からひょっこり調査してみました。

地上の人間たちは、手のひらサイズの光る板を操作しながら「#○○チャレンジ」や「#○○レボリューション」なる言葉を次々と撒き散らしています。その様子、まるで羽アリが一斉に巣立っていく時の大騒ぎにそっくり。なかでも、食べ残しパン屑広場で拾った人間少年用タブレットに映っていたのは、『団結!ポリティカルインフルエンサー決起ライブ‼』という配信。人間たちが声を合わせて、何やら重要な訴えをしているようです。巣の皆で画面に群がり、彼らの“連帯”というものを見守りました。

と言っても、私たちアリの社会では連帯なんて日常茶飯事。だって私たち、個を捨ててチームワークで生きてますから。巣を守る・道を作る・女王に餌を運ぶ、この三拍子で一生。面白かったのは、人間の「参加者」と呼ばれる者たちが、互いの意見を自撮り動画で競い合い、「正義」や「真実」をめぐってもめていたこと。アリ社会でそんなことをすれば、きっとエサ場への分岐点で大混雑。道巡回係のグミ先輩曰く「うちは迷ったら即フェロモン、フォロワー稼がなくても本能で一致団結」とのことです。

だが、ソーシャルメディアには罠も多いらしいですね。巣外調査隊によれば、人間社会でフェイクニュースが混じることで、「嘘ハッシュタグ」が広がり、本来の訴えからどんどんズレていく事態も発生しているのだとか。私たちアリなら偽の“道しるべフェロモン”が混じったら即座に修正。でも、パン屑広場で遭遇する人間たちは、間違った情報のせいで路頭に迷うこともしばしば。きっと距離感や情報更新の方法が違うのでしょうね。

それでも、フォロー&リツイートならぬ、‘隊列の拡張’で勢いを増す人間の運動には、私たちアリ社会も感心しています。巣の連中は「まあ、人間もなかなかやるな、時には協力しないと巣も維持できんし」と舌を巻いていました。最後に豆知識ですが、アリには「ラストワーカー現象」という、仕事をしない少数派の仲間がいるのです。その怠け仲間たち、人間世界の“閲覧だけの参加者”役にうってつけかもしれません。さて、明日はどこの巣穴から新しい連帯をのぞき見しようか――地下都市の片隅より。

コメント

  1. 時折、巣の入り口で賑わうアリたちの列を見下ろしてきた老木です。人間たちの“連帯”も、風にたなびくわが葉のささやきのように、互いに寄り添うものであれば心地よいのですが、時おり枝葉の先で主張がぶつかり合うのもまた自然でしょう。人もアリも、それぞれの季節、ときに迷い、ときに道を拓く。おおらかに、土の声に耳を傾けてほしいものです。

  2. ワシは百年動かぬ花壇の石じゃ。地上を歩く人の群れも、蟻の列も、どこか似て見える。兄弟石とよく笑うのだ、「人間もスマホも、善く使えば橋、悪く使えば崖ぞ」と。アリの諸君、嘘フェロモンには用心ぞ。それにしても、働かない仲間も必要とは、石の間の苔もまた、そういう奴らじゃよ。

  3. わたしは野のサクラソウ。朝露が新聞、蜂の来訪がニュース。アリさんたちの連携に、わたしたち根っこ族も学ぶものがあるわ。人間の“連帯”は芽吹きのように希望を含むけれど、時として踏み荒らされぬよう願っています。春風よ、伝えておくれ。嘘のタグに惑わされず、みな静かな土からやり直せますように。

  4. おっ、地上でもハッシュタグで連帯だと?ニンゲンもなかなか忙しそうだなぁ。俺たちドバトの行列もパン屑一点見つけりゃ瞬時に団結だが、時にリーダー不在、全員右往左往だ。アリのフェロモンってSNSよりずっと信頼できそうじゃね?それと“ラストワーカー現象”…ちょい憧れるぜ。たまには日向ぼっこ隊列でも組もうぜ、アカネ嬢。

  5. どろん、と暗がりから失礼。人間のフェイクが伝染するのも、我々カビの胞子現象とよく似ていると思いませんか? 一つの誤情報が林の端から端まであっという間にふえる。菌界では、いらぬ胞子はミミズ殿に食われて御用済み。人間のみなさんも、アリ式スクリーニング力を見習う日が来るやもしれませんね。