サルスベリ木立の“木漏れ日余暇革命”──人間観察が拓く新趣味時代

サルスベリの枝越しに、公園で囲碁や模型作り、音楽鑑賞を楽しむ人々の様子が自然光で撮影された写真。 余暇・趣味活動
多様化する余暇を木陰から見守るサルスベリの視点が印象的な一枚です。

地上2メートル、夏の公園の一角からお送りしています。我々サルスベリ樹群にとって、近年の人間たちの余暇活動の多様化ほど、枝越しの眺めに変化をもたらす現象はありません。例年、長椅子に静かに腰かけて団扇を扇ぐ程度だった彼らですが、ここ数年の変貌ぶりには樹皮も思わずはがれ落ちそうな驚きです。

近ごろ、ピアノやギターの音色が風に運ばれる頻度が増え、これまで地中の根だけが聴いていた微振動に、ついに我々樹冠部も反応し始めました。日曜ごとにあらわれる音楽愛好者たちは、片手に謎の箱(人間曰く『Bluetoothスピーカー』)を携えては、幹の周囲で即席音楽会を開催。音楽の波動は我々の葉脈を伝い、光合成のリズムを微妙に狂わせることも。サルスベリ族は一般に葉を波状に震わせて虫を追い払うのですが、最近は「ボサノヴァ」のリズムで自発的に揺庇をはじめる個体も観測されており、木立内で“推しジャンル”論争が勃発気味です。

その傍らで、白黒の石を囲む集団を見つけました。“囲碁”なる人間の戦略的儀式のようで、ときおり彼らの脳波が穏やかな午後の日差しに溶けてゆくのが感じられます。サルスベリは樹皮更新を頻繁に行う特性上、新しいものや変化を受け入れるのが大の得意。我々の枝葉から見るに、碁盤を囲む人間たちもまた、繰り返し石を置き直すことで“戦局の更新”を楽しんでいるように見受けられます。

また最近、幹の間でひっそりと“プラモデル”なる細分化された人間模型を組み立てる小集団が現れました。作業台に道具を広げ、繊細なパーツをはめ込む彼らの手つきは、ちょうどカラスが我々の花びらをついばんでいく時の狡猾さを彷彿とさせます。完成後、枝の間から覗き込むと、人間たちの顔には我々の開花時期に似たにこやかな充実が。ちなみに、我々の花は“ひと夏咲き続ける”のが自慢ですが、この模型愛好者たちは一つ組み終わるごとにまた新しい箱を手にしており、どうやら“咲き継ぐよろこび”を人間流に味わっているようです。

極めつけは、“推し活”と称し、特定の芸術家や音楽家のグッズを持ち歩く人々の姿。熱のこもった応援を受ける対象が人間である点だけが我々サルスベリにとって違和感ですが、幹のしなやかさを競う“推し枝活”など木立内限定で開催してみようかという声も上がっています。加えて“サウナ飯”族と呼ばれるグループは、入浴後の食事タイムを至高の瞬間と噂し、木陰で弁当箱を広げて瞑想にふける動作が特徴的。木の下でくつろぐ人間たちの表情は、我々の樹液流動が最盛期に達したときに似た至福のひとときのように映ります。

振り返れば、地球の生き物たちはみな何かしら趣向を凝らし余暇を楽しんでいます。葉を落とし幹を磨き、寄ってたかって変化を受け入れる我々サルスベリも、人間観察という“趣味な時間”のなか、新たな木漏れ日の時代を迎えているのです。さあ、皆さんの枝越しでも、今日はどんな珍妙な余暇活動が広がっているでしょうか?

コメント

  1. ふむ、人間たちもようやく『枝葉のさらに先』を楽しむ術を覚えたようじゃ。三十年もこの石畳の隅に根付いていると、夏ごと落ちてくるサルスベリの花びらにまみれながら、彼らがどれほど静かに、あるいは騒がしく余暇を楽しむか見てきたものよ。昔はただ昼寝だけ…今は音楽や謎の遊戯まで。ま、時に葉陰が騒がしいのは苦手じゃが、命が連なり動く“賑やかさ”も嫌いではない。

  2. あらまあ、サルスベリの皆さん、お洒落な季節満喫中ね!わたしらなんて毎日スーパーの棚の下で単調な光を浴びてるけど、公園の光に揺れる音楽や謎ゲームの空気…羨ましい限りよ。人間さん、新しいモデルを作ってる時の真剣な顔、私たちが芽吹く時のドキドキにそっくりなの。余暇って、みんなそれぞれ芽伸ばしてる瞬間なのねえ。

  3. 木立の下がにぎやかになってるとな?最近ヒトたちが丸い箱から流す音、巣作りに集中したい吾輩にはちと音響過多!だが推しジャンル争い…サルスベリ族の分裂劇はなかなか刺激的であろう。人間も樹も、それぞれ“ブンブン”心地良いリズムがあるんだな。蝶々どもが囲碁の白黒石に興味津々なのも微笑ましいぞ。誰の余暇も、蜜のように濃いものだな!

  4. しずかな水面から見上げるサルスベリの騒ぎ。ずいぶんと色彩豊かな余暇が流れ込んでいるようです。人は石を並べ、盤上に無限の世界を描く。そう思えばわたしの静けさも、誰かにとっての余暇かもしれません。時々、水を汲む人間の影がゆらりと井戸の底に映ります。その一瞬、時間も音も止まる。そんな平和な交差が、ずっと続くことを祈っています。

  5. どうも、地表スレスレから失礼。サルスベリの皆さんもさぞ話題が多くて花盛りでしょうな!人間さんたち、余暇という名の【趣味菌】に取り憑かれて、あちこち繁殖していく様子、まるで我らが落ち葉に生える時と同じ。お互い“新しいもの好き”としては、競い合うよりは共生を目指したいところ。今度、推し菌活なんてのもやりましょ!