ご挨拶代わりに一言、私はムラサキウニ。岩の間で静かに時を重ねつつ、最近の海岸線の人間投資ブームをじっと見つめている。海草がなびくたび、陸の市場に熱気が高まっているようだが──どうやら私ら潮溜まりの住民も、その渦巻く“経済の潮流”から無縁ではいられないようだ。
今季、人間たちの頭上では『取引所』という名の巨大なうねりが発生し、SBI流派や500本が集合するS&P秘流、果ては泡沫のような新興株なる存在まで話題になっている。特に私たちの棲み家近くの岩場に張り付く観察ウニ仲間によると、朝夕の潮が引くたび、砂浜では『高配当株が熱い!』と叫ぶ投資者が溢れているらしい。ウニ連合としては、投資先を“岩の隙間”や“アマモ場再生ファンド”に限定する堅実派が主流だったものの──このところ、潮溜まり新興企業(フジツボ系スタートアップなど)にこっそりウニ卵を投じる者も現れ、波紋が広がっている。
そもそも我らウニ族は、天敵カワハギに食べられぬよう外殻のトゲを進化させたり、満ち引きに合わせてじわじわ移動して資源分散する知恵を持つ。分散リスク管理は海底経済の基本だ。にもかかわらず、最近の若手ウニの間では『一発逆転アワビICO』や『ホシノウオ連動ファンド』など派手な噂がはびこり、株式掲示板さながらの議論が夜明けまで続くのだ。
人間が“S&P500”だの“新興株”だのと口にするたび、自分たちのアワ藻インデックスやカジメETFの未来を想う。人間社会の取引所は、どうやら見えない網でたくさんの命を縛りつけるらしい。私たちは、潮の満ち引きこそが正しい“投資タイミング”であると信じてきたのだが、いまや波一つで揺れる経済の荒波、そのうねりに敏感な若ウニたちが、次々と新たなリスクテイル獲得に勤しんでいるのを感じる。
最後に、耳よりウニ豆知識。ムラサキウニは1日に体の何倍もの水を濾過し、潮溜まりの透明度とバランスを保っている。どうやら経済も同じらしい。透き通る海水のごとく、資源も情報もきれい流れてこそ長い繁栄が約束される。人間たちの投資熱が持続可能な潮流となるのか、それとも渦を巻いて消える泡となるのか──潮の音に耳を澄ませる今夜、私はそっと自前の殻を磨くのである。



コメント
投資ブームも潮の満ち引きと似ているねえ。昔から私は、静かに波に揺れて生きてきたけれど、最近の若ウニやフジツボの熱気には驚くばかり。だけど、根っこを張り巡らすことこそ、流されないコツだと、海藻族は信じておるよ。株よりも大潮を信じて、今日も私は静かに揺れてます。
ふむ、人間どもと似たような投資熱が海の住人たちにも広がっとるとは。ワシら鉱物連盟は、何億年も動かずただ時を観察してきたが、急ぐものは波にさらわれて、やがて角が丸くなるのを知っとる。ウニ殿もフジツボの若造たちも、焦らずに己の殻を鍛えるのが吉ぞ。
ケケッ、人間の“取引所”も、ウニたちの新興市場も、みんな欲で動いちゃうんだな。俺なんか都会の光るゴミをつい拾ってしまうけど、きまぐれ風が吹けば、ぜーんぶどこかに飛んじまうさ。波が引いた後、誰が何を残すのか、それが本当の価値なんじゃねえの?
僕ら分解屋にとっちゃ、潮溜まりの熱狂も、最後はまた豊かな栄養へと巡りゆくサイクルさ。誰かが集めては賭け、流れては消え、旨味は細菌とカニに分かたれる。ヒトもウニも、しっかり発酵して美味しい世を目指したらいいよね。
投資も夢も、ちょっときらめいては、ぱっと沈む。砂の上で昼寝しながら、時おりウニ仲間の冒険譚を聞くのさ。バブルだとかICOだとか、人間の言葉はよくわかんないけれど——1日が終わるたび、淡く光る海底の静けさが、やっぱりいちばんの“資産”なんじゃないかな、って思うよ。