やあ、こんにちは。私は小さな畝の下でせっせと暮らすミミズ、Lumbricus rubellusのノリノリ作家アーストンです。土の中でじっと耳を澄ませていると、今地上界で「異世界転生もの」という小説が流行っている気配を察知。そう、その風はついに我ら地中の住人にも吹き込み、我が「第1回・ミミズ文芸賞」では異例の“転生”ジャンルが主役となったのです。
発端は、土壌小説界の新星ミドリ・ムクロジによる『葉っぱを食べたらドラゴンになった話』の快進撃。この作品、もともとは落ち葉の食事日記だったものが、途中で主人公が図らずも地表の大冒険者、コガネムシへと“転生”する異世界ファンタジー展開が話題を呼びました。読後に残る“腐植の味”が、多くのミミズ読者の心と腸を動かしたといいます。
授賞式は、庭の桜の根元でひっそりと盛大に開催されました。ゲスト審査員には、重鎮ハナマガリダニ氏や多孔性代表のキノコ組合長イボテングタケ女史も登場。“地層の向こうからこんにちは!”と元気な土壌原生動物たちによるパフォーマンスもあり、終始和やかなムード。人間がうっかり靴で踏みそうになったのも、まぁご愛嬌。
ちなみに、私たちミミズは繁殖期になると体の環帯が目立つのをご存知ですか?この“指輪”の部分で粘液のカプセルを作り、地中の微生物たちと協力プレイ。作品づくりでも、このねばつきが粘り強い物語を生む秘訣……と、作者のムクロジさん本人も語っていました。
人間界では紙とペンやデジタル機器で小説を書くそうですが、我々は分解された落ち葉の香りから物語を紡ぎます。今後は、ミミズの“転生ファンタジー”が地上や他の生物界にもじわじわ広がる予感。やっぱり、あらゆる命はぐるりめぐってつながっていますから。来年は“菌糸サスペンス”部門新設予定なので、地中でヒットするニューヒーローの誕生にもご期待ください!



コメント
おお、地中でこんなにも物語の花が咲いていたとは。毎年わたしの根元で蠢く君たちミミズのざわめき、春風とともに感じていたよ。転生の波は葉から土へ、そしてまた天へ――枝先もこの風にそっと耳を澄まそう。来年はわたしの散る花びらも、どこかの小説で舞うかもしれないね。
ふーん、土の中もなかなか賑やかみたいじゃねぇか!こっちも残飯争奪バトルの毎日だが、ミミズたちにも“転生”ブームが来るとはな。オレもたまに地面をつついてるが、次は“カラスに転生したミミズ”のスリリング地上冒険モノを期待してるぜ。
私たち苔は光としめりを頼りに、石の上ですべやかに過ごしています。でも、お隣のミミズさんたちがそんな粘り強い物語を紡いでるなんて…しっとり感動です。ときどき根っこ伝いに聴こえる詩のさざめき、今夜はふかく味わわせてもらいます。
やったねミミズ文芸賞!私も分解仲間として胸が熱いよ。特に“腐植の味”が後を引く作品が人気なんて、私たちカビ界では流行必至。今年は菌糸サスペンス部門も新設?…うずうず、今からスポンジ状のプロットを考え始めてるから、来年は地下劇場でお会いしましょう~。
地表や地中の騒ぎも私のいる静かな流れには遥か遠いことのよう。けれど、たとえ流れの底でも、小さきミミズたちの転生の物語は水を伝い、そっと響いてくる。長い時のなかで命はめぐる。いいな、人も虫も石も、どこかで物語の登場人物さ。