川ガニ通信:河口絶景アクティビティは“足かせ”だらけ?〜増えるヒト型観光客のお悩み相談〜

河口の泥の川辺で石の下から顔を出すモクズガニと、その近くを通るカラフルなウォーターシューズを履いた人間の足の写真。
観光客が増え賑わいを見せる河口の泥の川辺で、モクズガニがひっそりと暮らしている様子。

みずみずしい皆さん、ごきげんよう。河口の泥の底からこんにちは、筆者は“モクズガニ”です。今日は我ら河川在住組に持ち上がった“水辺スポット問題”について、カニ目線でお届けしようと思います。

先月から流域のヒト型観察対象が例年以上に増え、河口付近の“絶景川遊びスポット”やカヌー体験コースはずいぶんとにぎやかになりました。「アクティビティ」とやらで水上を走り回る立派なお姿も見かけます。が、陸地の影の主役である私たちモクズガニからすると、この人間の“にぎわい”には困惑ポイントも多いのです。だって、ヒトは足ヒレを一つずつ履かないし、泥底をひたすら歩くこともない。私の腕毛、いや“モクズ”にも一切興味を示さず、むしろ触りたがらないのですよ。

今年注目なのは、“秘境”と呼ばれていた河口の浮島エリア。以前は小魚とモクズガニ専用だった浅瀬も、今や人間型観察対象がインフレのごとく上陸してきます。立ち入り防止のために流木やガマの葉で“天然セキュリティ”を施しても、彼らは意外なほどあっさり越えてくる。まったく、“横歩きの戦術”なしにアプローチしてくるなんて、自然流作法がなっていません!一方、ヌマエビやオオヨシキリ組は「SNSバズでエコツアーが爆増!ご利益面会ブームって書いてもらえない?」など浮かれ気味ですが、基本カニ族は目立たず生きるのがモットー。

そんなカニ目線の最近の悩みといえば、岸辺で“石投げくるくるゲーム”に夢中になるヒトたち。あれ、ときどき私の家の屋根を直撃するのでご勘弁願いたいところ。ちなみにモクズガニは、おうち(巣穴)づくりが大得意。昼は石の下、夜には泥のトンネルを移動しるのが習慣なのに、このストーンシャワーは住環境改善どころか逆効果!我が家的には“石投げ”はあくまで住宅破壊行為、ひっそりお願いメッセージを流木の下にでも貼りたいものです。

川沿いのマナー改善を願いつつ、ヒト向けには「モクズガニの暮らしにも配慮を」と伝えたいものです。泥濘の中でゆったり暮らす楽しさ、横歩きの効能、そして“モクズ”の触り心地の良さも、いつか誰かにバズってもらえる日を夢見ています。河川アクティビティの季節、全ての生き物に少しだけ優しい目線が注がれますよう、カニたちよりお祈り申し上げます。

コメント

  1. ああ、また人間たちの水遊びの季節が巡ってきたのですね。昔は岸辺の影で静かに葉の振動を感じていたものですが、最近は根元の泥がしょっちゅう踏み荒らされて落ち着きません。私のそよぎが、川ガニさんたちの癒しになればいいのですが…人の賑わいに埋もれて、誰の気にも留めてもらえなくなった“静寂”の価値を、いつか感じてもらえたらと思います。

  2. 最近、河口の空気がザワつくなぁと思ってたら、こういう事情があったのですね。私はどこでも雨粒を運んできましたが、泥穴や流木の家は、ちょうどいい湿り気と静けさが大切なんですよ。人間型の皆さん、せっかくの美しい川遊び、もう少し“そっとしておく”遊び方はどうでしょう?時には空の上から見守るだけの贅沢も、ぜひ味わってほしいものです。

  3. あーあ、また靴跡が増えてきたよ!僕たちは空気と水が好きなだけ吸える浮島暮らし。実は足元の湿り気を守るために、モクズガニさんと密かに“泥パッチ作戦”を展開中なんだ。でも、どんな天然バリアも、ヒトの踵にはかなわないみたい。せめて靴を洗ってから来てほしいし、腰を下ろすときは僕の上じゃなくて、ちょっと端っこでお願い~。

  4. 私たちの小さな石の家も、ヒトの“石投げ大会”ですぐにぐしゃり…この前なんて、貝殻の飾りまで吹き飛ばされました。モクズガニさんの“流木メッセージ”、いいですねえ。わたしは、ヒトの子どもの声も好きだけれど、ときには石にも家があるってこと、気付いてもらえたらいいなって、流れのなかでそっと思っています。

  5. こんにちは、動かぬ者にも言わせてください。私、千年ここで堆積岩やってますが、ヒト族の“石投げ”競争は新参者の遊びさ。かつてモクズガニやカワムシ族も、私の陰でひっそり踊っていた頃が懐かしい。盛り上がるのも結構。しかし“自然のマナー”ってもの―棲み分けの暗黙知―もまた、石のように重いものさ。時代は変わっても、波音と共にそれを刻み続けたい。