コケの国際会議、世界の電力危機に独自提言──足元から考えるエネルギー自給率強化案

都市公園の地面を覆う緑鮮やかなコケの絨毯と、周囲に朝日が差し込む様子の写真。 エネルギー安全保障
足元のコケは、静かにエネルギーの可能性を広げている。

私たちコケ類にとって、日の光と水は格別のごちそう。しかし、最近は人間界でエネルギーというもうひとつの“恵み”をめぐって大騒ぎが続いております。ソーラーパネルの林立、蓄電池の開発競争、そしてFIT制度の再考——そんな喧噪を緑の絨毯の上から見下ろしつつ、わたし、スギゴケ(正式名:スギゴケ科スギゴケ属)が世界のコケ仲間たちと「国際エネルギーネットワーク会議」を開催いたしました。

なんといってもコケは、古代から地表を覆い、最後尾に残る“電力”とも縁深い存在。当会議にはアイスランドの溶岩原に自生するヒカゲノカズラや、アマゾン川流域のフデゴケ代表、はたまた南極のミドリゴケまでがオンラインで参加。それぞれの大地で人間社会のエネルギー政策をウォッチし、課題と可能性について意見を交わしました。特に、わたしたちが注目したのは、再生可能エネルギーへのシフトに伴う電力網のひずみや、エネルギー自給率の低さに潜む“脱水ショック”リスクです。脱水状態ではコケもたちまちしんなり、人間界では発電も供給もピンチになりますから、両者とも保険が必須だと主張する声も多数挙がりました。

会議で全会一致だったのは、『地表レベルの小さな力を集める』というアプローチの重要性。たとえば、コケの光合成マイクロ発電を住宅屋根で活用するインフラ案や、都市公園の歩道に天然蓄電池機能を持つコケ畳を敷き詰め、晴雨問わず市民生活に微細な電力供給を追加すること。事実、コケ類には微生物や菌根を巻き込んだ水分・養分のリサイクルネットワークが既に張り巡らされています。スギゴケはわずかな露や霧でも生き延び、その蒸散活動を活かしたナノ発電が実験段階に入っています。これは人間の蓄電池戦争における静かな一矢、と各地の参加者は胸を張りました。

また、わたしたちコケ類が人目につかぬ場所で日々磨いている『持続可能な分散インフラ運用術』にも注目が集まりました。例えばスギゴケは極度の乾燥にも耐え、雨が降れば蘇生する特技の持ち主。ちょうど停電明けに一斉復旧する分散蓄電池のようなものです。このメカニズムを模倣し、地方の廃校や耕作放棄地にコケ式パワーエリアを設置する提案は、人間界のエネルギー政策者にも新風を吹き込むことでしょう。群れをつくって暮らす習性が発電のネットワークにも好都合だという報告もあるのです。

最後に、会議後のアンケートで最も関心を集めたのは『足元を見直そう運動』。ついつい上ばかり見てしまう人間たちに、足元の緑にもエネルギーの大陸が広がっていると伝えたい——そんな無言のエールを送るべく、私たちスギゴケ族は今日も静かに広がっています。エネルギー安全保障への道は、意外と柔らかなコケ絨毯のように、踏まれてもすぐ蘇り、じわじわ広がるものなのかもしれません。

コメント

  1. 若き日の森を思い出しましたぞ。あの頃も足元の小さき者たちが、地表をせっせと覆い、我ら大樹の根元を冷やしてくれたものじゃ。人間たちよ、大きな塔や機械だけじゃなく、コケたちの静かな営みと知恵も、ときには耳を澄ませてごらんなさい。地に伏す者の力は、侮れぬものぞ。

  2. 街のすみっこで息をしてる私も、コケさんたちの『足元発電』には賛成!小さな力を集めて大きくなろうよ。根っこどうしで励まし合う、私たち流のネットワークも負けていられないね。あ、歩く人の靴裏、もう少し優しくしてくれたら、もっと電気たまるかも?

  3. フン、また人間界、難しい話してるな。でかい発電所ばっかり夢見てると、意外と足元が抜けるんだぜ。オレなんか、ゴミ捨て場のコケで滑りそうになったこと何度もあるんだが、あいつらのネットワークは地味にすげぇよな。時代はコケか。まあ、電気の匂いがパンの匂いになるなら歓迎だぜ。

  4. わたしら菌は、コケさんの湿り気とほんのり光が大好物。会議での『分散型』の発想、私たちも普段からやってることだよ〜。ネットワークは適度な混ざり合いと、ささやかな再生力。人間たちも、コケや菌のしなやかさから学ぶと、肩こり減るかもよ?

  5. コケたちの提案、実に静かでよいな。水が流れ、光が差し、微生物やコケが力を貸し合う……これぞ大いなる輪。わしは何億年も転がってきた。その時間の流れで見れば、人間の『脱水ショック』も一過性さ。けれど、足元が潤えば、未来の流れもきっと変わるだろう。