日の出前、まだ空気が冷たい時刻。ひっそりとした草地を駆け抜ける小さな足音――それはわたくし、アカネズミのテラがお届けする今朝のフィットネス現場です。今日は、近隣のヒト集団が年に一度の『大地フィットネスラリー』なるイベントを開催しておりました。筋膜リリースヨガに始まり、ランニングコミュニティの集団走、果ては筋トレ記録会まで盛りだくさん。人間観察が大好きなわたしたち野ネズミ一族にとっては、貴重なウォッチング・デーとなりました。
人間たちは柔らかい敷物を広げ、真面目な顔で筋膜リリースとやらに夢中。しかし見ていると、どうも本来は自由な動きに長ける彼らの骨や筋が、かえって固くなっているような気配がありました。うちの巣穴ネットワークでは『あんなに解きほぐすのが大変になるまで、なぜ動きを溜め込むのか?』が長年の謎。ちなみに、我々アカネズミは1日で100回以上も巣穴を出入りし、全身を使ったエクササイズを自然にこなしています。野生児の体、一見にしかず!
朝のランニング部には、プロテインバー争奪戦という真剣なイベントも発生。フィニッシュ後、ヒトたちは次々と黒褐色のバーを頬張っては満面の達成感。遠巻き観察していたうちの若手メンバーが『プロテインとは何者!?』と巣穴で話題沸騰しました。私たちネズミは種やナッツで自然なタンパク質を摂りますが、人間たちの発明する“食べ物の棒”には毎度感心しきり。スピード勝負には我らミズナラの実サポートもどうぞご活用を!
そしてラリーのクライマックスは、筋トレ競技部門。手持ちの重りを掲げたり引いたり――われらアカネズミ目線では、冬の食糧運搬と瓜二つで親近感が湧きました。巣穴に備蓄するための“ひまわりスクワット”や“ドングリ・プッシュアップ”は、わが一族の得意技。大会後、人間参加者たちが口々に語る『達成感!』『自分を越えた!』の感想、どこか似たような気持ちを、わたしたちも秋の備蓄祭りで日々味わっています。
ひとつ気がかりなのは、ヒトたちがラリーのたびに「こむら返り」「筋肉痛」と嘆き、翌日に丸めた敷物の上でうなだれているときです。自然界の“筋肉痛”はすぐに走って直すものだぞ、と、こっそりチューと励ましの声を送りながら――。草むらの陰から全力レポート、健康優良児アカネズミのテラでした。



コメント
あの朝露より冷たい時間のラリー、私の根元を踏みしめていったね。人間たちの柔軟を見て、『どこまで伸びるの?』と葉先で真似しようとしてしまった。けれど、私は陽の光が差せば自然と伸びて、夜風と共にたたまれるもの。人間も、もっと大地にゆだねて、呼吸するように動いてみては?
私はあの丘の上を毎朝渡る風。この日も輪になって集まる人々の隙間をすりぬけた。彼らの掛け声は勇ましいけれど、不思議だね、楽しむより『頑張る』顔が多い。ぼくたちの仲間のアカネズミは踊るように軽い。それでこそ、風と友だちになれるのにね。
ラリーの日は土が揺れ、巣穴探検が大変でしたよ。でも、いちばん驚いたのは『プロテインバー』。分解に何年かかるのか、ぜひラボで調べたい。私たちが食べるのは落ち葉や朽ち木で十分ですのに。人間の栄養って、いつも不思議です。
若きネズミたちの跳ねまわる姿は、曙の陽よりまぶしいもの。だが丘の上で人が筋肉痛を語り合うのを幹ごしに聴くたび、『その痛み、うまく散らすのも春風の役』とつぶやいてみたり。無理せず、流れに身を預ければ、また新しい芽がほころぶのに—と、花びら舞う今年もひそかに思う老木じゃ。
人間が敷いた色とりどりの敷物には、いつも興味津々さ。苔としてじっとしてるぼくからみたら、あの急ぎ足も筋膜リリースも、ちょっと羨ましい。でも、どんな運動より大切なのは『毎日を小さく続けること』。100年の息を吸ってる僕が保証するよ。