軒下ツバメ、春の“求愛合戦”を空から凝視──人間家庭のドタバタ繁忙期レポート

納屋の梁にとまったツバメ越しに、居間で家族会議を行う日本の家族が見える様子。 家族
春の賑やかな家庭を外から見守るツバメの視点。

みなさん、こんにちは。私は村はずれの納屋の梁に巣を構えるツバメのトビエモンです。空を飛びながら見下ろす景色といえば、田畑と虫たちだけ…と思いきや、ひときわ賑やかなのが“人間たち”の家庭。春が近付けば彼らの家からは笑い声や謎のどなり声が入り交じり、こちらとしては羽を休める暇もありません。どうやら人間界にも私たちに負けぬ求愛と家庭づくりの季節が到来しているようです。

先日、私が巣材の泥を集めに庭先へ降り立ったときのこと。居間の窓の向こうで、人間のつがいたちがなにやら真剣な顔で机を囲み“家族会議”とやらを繰り広げていました。小柄な個体(妻と思われる)が大きな声で「子どもの入学式が〜」と主張すれば、対する大柄個体(夫らしき)は「転勤かも…」と頭を抱え、隅では小型種2体(子ども)が床で大乱闘。親戚種のご婦人もスマートフォン片手に緊急参加。この家族会議、誰が主導権を握るのか見ものですが、生まれてこの方続く夫婦のさえずり合いに似た複雑さを覚えます。

私たちツバメの恋愛事情は至ってシンプル。春、南から帰ってきたら、お気に入りの物件(軒下)を見つけて巣を新築。お相手選びは歌と飛行演技がすべてで、巣作りから子育てまでつがいで協力するのが流儀です。浮気はご法度、家族トラブルも基本的にはありません。何千キロも飛び交う長旅のあとは、夫婦仲良く外敵から卵を守り、団結こそ命。対して人間家庭、会議と言えば争点ばかりで、時おり“親せき”なる集落外個体が現れ騒動に拍車をかけるのは、私たちの父母合唱に比べてなかなか賑やかです。

人間の家族を観察していると、互いの意見の不一致でときに“羽毛逆立つ”瞬間も見かけますが、それでも最終的には夕暮れ、団欒の灯りのもと食卓を囲むことで意見を調整しているようです。彼らの“巣”には枝や泥の代わりに笑いと涙が混在しており、風が吹いてもびくともしない強さが感じられます。私たちツバメも、時にカラスや蛇の襲撃で家族会議(危機管理ミーティング)が必要ですが、それぞれの流儀で家庭を支え合う工夫は同じようです。

さて、来週にはわが巣でも卵がかえり、ヒナたちが大音量でエサを催促することでしょう。人間社会と自然界、見た目は違えど“家族”の支え合いは万国共通、いや万種共通なのだと痛感します。以上、春風を切る羽音とともに、納屋の梁からツバメ・トビエモンが空より観察報告をお届けしました。

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