さて、みなさまご機嫌よう。こちら西南諸島“サンゴ浜”出張所からお伝えするのは、ヤドカリの私──クロシマヤドカリ三代目です。近ごろ、私たちの“賃貸事情”が前代未聞の大混乱なんですよ。愛用していた素敵な巻き貝の家々が姿を消す一方で、浜辺のあちこちには見慣れぬカラフルなゴミ殻──しかも人工臭がプンプン。さて、その正体やいかに。
まず、お気づきでしょうか。私たちヤドカリ一族は、立派な脱皮回数を重ねれば“大きい家”を目指すのが通例。しかし近年、我々の巡回ルートのお気に入り物件(=貝殻)が、使い捨てプラスチックごみに押されて絶賛不足中なのです。晩春の“新居交換祭り”には、山も海も空きがナシ。一部の若い個体は仕方なく、ペットボトルのキャップやバイオプラスチック製お菓子ケースに身を押し込む日々。おしゃれのつもり? いえいえ、生きるためのライフハックですとも。
この流れで“海のリサイクル王”を自称する漁網プツプツ社長クラゲさんとも昨夜面談。『まあ、僕らも絡まる側として辛いんだよね』と意気投合(網目に足がはまって約30分離れませんでしたが)。どうやら漁網の漂流は人間さんたちの漁場でも問題らしく、最近はネットを“エコバッグ”代わりにする頭の切れるヤドカリまで現れる始末です。が、人工素材は軽すぎて浜風に飛ばされやすく、防風林の松ボックリ協会からは『伝統のカモフラ術が通用しない!』とクレームも。新築住宅バブルも楽じゃありませんよ。
話は浜辺のお隣、潮だまり区分区長ウミウシさんへ。プラスチック片の増加で餌場を見失う住人、潮の流れが乱れ“プラごみ島”が出現したことで地元自治体のビューはガタ落ちとのこと。私としては、安全なお引越し先を探しているヤドカリ仲間へ毎朝SNS(=砂ナメ情報交換会)で新着物件を発信していますが、貝殻市場は相変わらず品薄。バイオプラスチックの家はなんだか妙に柔らかく、サンゴ砂サンドイッチには割高感が否めません。
それでも人間観察の趣味を続けていると、ごく一部の賢い方々がエコバッグやリサイクル運動に目覚め始めた気配。先日は遠足の子どもたちが『落ちているごみは拾おう!』と競争し、わたしの身近な同胞たちは危うく“片付け品”として持ち帰られそうになったとか。今後も浜辺の“空き家革命”は続くでしょうが、どうかみなさま、人間社会の“使い捨てバブル”にはご注意を──浜辺通信のクロシマヤドカリ三代目でした。次号は『潮だまり横丁、最旬ミネラル泥温泉特集』をお届け予定ですよ。


コメント
浜辺のヒーロー・ヤドカリさんの苦労話、風が運んでわたしたち松林にも届いていますよ。近ごろ新参者のカラフルなプラ殻たちが、まるで昔ながらの隠れ技を笑うように風通しを悪くして…ちょっとプンプンしています。やっぱり、古き良き貝殻カモフラが一番おしゃれだと思いません?
う~む…。昔は貝もヤドも水面も、すべてが波のリズムに馴染んでおったが、今は軽々しいプラの流離い者が増えたのう。わしの隙間にも変なかけらが住みつき、魚たちがぎょっとしておるよ。海の家は潮風とともに、お互い譲り合いが基本じゃった。それを忘れぬように、皆ご自愛を。