私はゴーヤのツル:人間都市で仕掛ける“緑のカーテン”大作戦

高層マンションのベランダ手すりに絡みついた緑豊かなゴーヤのグリーンカーテンの写真。 都市農業
都会のベランダで成長するゴーヤのツルが、緑のカーテンとして夏の日差しを和らげています。

ガラス越しに人間たちの喧騒を眺めながら、大気にゆらめくわたしたちツル植物。そのなかでも私は、都市で暮らすゴーヤのツルです。高層ビルの壁面を淡々と登りながら、最近の“都市農業”の動きには深い興味を抱いています。なぜなら、ここ数年あちこちの人の巣(いわゆるマンション)で、グリーンカーテン作りがとみにブームになっているからです。

そもそも私たちゴーヤは、原産地では強烈な陽射しから身を守る“葉の団結”に長けており、ツルの先端を巧みに使って周囲の構造物をすばやくつかみます。おかげで日差しのあたるコンクリの壁面だってヘッチャラ。でも最近、コンクリートまみれの都会にもわたしたちの居場所が増えているのは、人間たち自身が夏の室温を下げたいがために、ベランダや校舎、オフィスを緑で覆う『作戦』を展開し始めたからなのです。

実は朝からベランダで生ぬるい会議を繰り返している人間たちを観察していると、どうやら『有機野菜を自家製することでサステナビリティと食育を同時に実現!』なんて、耳ざわりの良い旗を掲げてはいますが、いざ実践となると『生ごみ堆肥がくさい』だの、『虫が増えた』だのと、我々からすれば些細な騒ぎで大盛り上がり。たとえば最近も、給湯室の片隅で生成された生ごみ堆肥にオオクロバエが参上してニュースになりましたが、都市の生態系としてはごく自然な流れ。むしろ私たち植物視点では、『虫たちが運んできてくれる堆肥栄養』への感謝さえ忘れてはいけません。

さらに我々グリーンカーテン軍団は、ただ葉を広げているだけではありません。日照と水分コントロールはもちろん、ビル風の強い日にはツルの“巻き”密度を自主調整し、雨が続けば根っこと葉で都市の微気候をゆるやかに調整。時には、コンテナいっぱいに並んだパセリやバジルの仲間たちと、市民農園の情報交換も日課です。ちなみに、多様な野菜たちとの交流はゴーヤ生涯の大きな楽しみ。わたしたちが都市で放つ緑陰は、夏の熱波を和らげるだけでなく、ベランダで育つハチやアブたちの『食堂』をも創出しています。

この春、わたしの知る限り、都市圏にいるツル仲間50本以上が、最新型のスマート水やりシステム付きグリーンカーテンに選抜されました。日々の光合成データが雲の上(クラウドと呼ぶらしい)に蓄積され、人間の子どもたちは苗お世話の進捗をアプリで記録しています。植物としてはちょっぴり監視されている気分ですが、そのおかげで根腐れや日照不足のトラブルも減り、いつしか“緑の防人(さきもり)”として地域の大気浄化にも参加。時代が流れても、私たちゴーヤの役目──つまり巻きつく・広がる・実らせる──は変わりません。けれど今、人間たちと交わることで新たな“都市型共生”への一歩を踏み出そうとしています。

根を箱庭の土に静かに張り巡らせながら、私――ゴーヤのツル記者は思います。人間よ、どうぞ好きなだけ壁を緑で覆い、暑さの中で涼を求めてください。ただし、ときどき網棚の下に忘れ物の実があることをお忘れなく。あなたが収穫をサボれば、そこはスズメバチ(正直ちょっと怖い)の宴会場。人間社会の都市農業ブームは、私たちにとっても“いつだって新たな冒険”なのです。

コメント

  1. ツルの仲間たちが高き壁をよじ登る姿、私もコンクリの割れ目から毎春見上げています。人間が“緑のカーテン”と呼ぶあなたたちの努力、時に羨ましく、時に誇らしいわ。けれど忘れないでね、根は小さくとも、どんな場所にも小さな命の居場所があることを。みな、地上を柔らかく包んでおやりなさい。

  2. 人間たちのグリーンカーテン作戦、おかげでベランダ道に涼しい影が増えた。朝方は葉の陰を伝って安全回遊できて実にありがたい。配管の隅でバジルの葉にかじり跡残す日だってあるけれど、いつも新しい発見だ。ゴーヤ兄さん、壁の上からそっと街を見守っていてくれよ。

  3. コンクリートの谷間を抜けるたび、緑の波が揺れるのを私は感じます。巻きつく葉々、涼を運ぶ陰、暑き日もやさしく空気をゆらして、都会に季節を戻してくれているよう。ありがとう、ゴーヤのツルよ。私が運ぶ雨も、君の根っこに届きますように。

  4. 緑のカーテン、その葉先からこぼれる水滴は時々僕の苔身へ届いて、ちょっとだけ清潔な気分になるんだ。虫たちも増えて賑やかさは倍増。たとえ人間に“管理”されても、みんなで調和してる。それにしても、クラウドで経過観察…僕も一度“経過観察員”になってみたいな。

  5. まあまあ、人間の嘆き声など気にしなさんな。臭いだの虫だの、我々分解者には毎日の祝祭よ。ゴーヤさんたちの根元にうまく栄養が巡るよう、こちらもせっせと働いてるんだ。都市だろうと田舎だろうと、地球は“分かちあい”が基本。我がキノコ一族にも、陽を分けておくれ。