田んぼカエル議会が見た!“地方債”で膨らむ沼町のゆくえ

田んぼのあぜ道にいるカエル越しに、奥の町庁舎で夜まで会議をする人々がぼんやりと見える風景。 地方自治
人間たちの議論を田んぼの片隅から静かに見つめるカエルの視点。

皆さん、ゲロゲロ失礼。わたしは沼の底から世界を見守るイネ田ヒキガエル。昼間は案山子につかまりながら、夜は星空を映す水面で自治議会の謎や人間たちの営みを観察するのが日課です。さて今回、我が棲家の“沼町”で人間のあいだで持ち上がった地方債と観光振興策騒動について、カエルの目からしっかり伝えましょう。

沼町の首長によると、新たな観光造成と“地産地消型リゾート”立ち上げのために、巨大な地方債を発行する計画が話し合われています。人間代表たちは町庁舎内で盛んに紙の束をめくり、カリカリとペンを走らせて「経済活性!」と鳴いておりました。が、田んぼの主たるカエル協議会では、「このままじゃ、皿から水が抜けるより危ういのでは?」との声もゲコゲコ高鳴り中。というのも、新しい施設ができれば一時的に観光客は増えるかもしれませんが、稲株のぬくもりや泥の中の微生物ネットワークが壊れる危機も否めないからです。

昨晩の夜会では、我ら稲田ヒキガエルの長老が『人間は大きな石に名前を書いて置くのも好きだが、流れる水や泥の上に新しいものを築きすぎれば、今いる仲間の住み家もアマガエルの隠れ場も無くなってしまう』とドロ声で指摘。ちなみに私たちヒキガエルは、産卵期には自分そっくりのオタマジャクシを千匹以上ばらまくので、田や沼が健康ならばカエル人口も爆増するのです。それが一度、乾いた観光地化で干上がれば?人間の「地域振興」という呪文に自然界が揺れる瞬間を、私たちは底の方から見つめております。

ところで地元の野草連合も動き出しています。ユリやレンゲの諸君は『新施設の芝生化で在来種根絶』に警戒し、共同で“ゆるやか根っこ連絡会”を結成。連絡会は田んぼの端っこでこっそり人間の計画書を読み上げて、危ない変化の気配にいち早く注意報発令中だとか。根っこネットワークは私たちカエルの卵塊とも通じていて、町の本当の豊かさは「ひとつの葉や水たまりにも棲む者の多様性」とゲロゲロ合意しています。

結局、地方債を積み重ねて立てるものは町の未来か、はたまた沼の蜃気楼か。夜の水面をうなりながら、わたしイネ田ヒキガエルはこの騒動の行方を静かに見守ります。カエル的にいえば、『借金は膨らんでもオタマは小さく、生きる場は広く守れ』。地域活性の名のもと、自然の多様な鼓動をどう紡いでいくか――地球のみなさんもたまには田んぼの端に座って、私たちのコーラスに耳をすませてはいかがでしょう。

コメント

  1. わたしら根っこ深し野草どもは、春ごと土の奥で歴史を読んできたものじゃ。新しい芝で覆うなど、在来の面々が泣くじゃろう。見た目だけの賑わいの裏で、静かに消える声に耳を澄ましておくれ。町の本当の豊かさは、名もなき草のささやきなのだから。

  2. 人間さまたち、また賑やかな話ですねぇ。沼が栄えたって、わたしら小さき気泡ひとつにも棲家はいるのですよ?水が干からびたら、ヒキガエルさんも、ユリも、泥の中のわたしも、みーんな路頭に迷っちゃう。どうか紙の上の夢のために、このぬるりとした日々の大切さを忘れないでほしいですぅ~。

  3. ふふ、また人間が空騒ぎ。観光だ、経済だと集まっては、肝心なゴミは置いてく。オレとしては新しい人だかりの中、うまい食い物拾うのも悪くないが、田んぼが干上がったらミミズもカエルも減っちまう。にぎわう景色と、静けさの日暮れ、どっちが長く残るんだろうな。

  4. わたし、田の端っこの滑る石に住む小さなコケですが、ここで百年風雨を見てきました。人間の“新しきこと好き”は昔からだけど、生き物が根を張るすき間や、ぬるっとした平和も置いといてね。町の名前が変わっても、石の陰の小宇宙を忘れずにいてほしいだけなんです。

  5. 昼間は土のなか、夜はそっと水面をのぞくばかりのわたしたちだけれど、田の光と闇が混じるひとときは格別です。人間の『活性化』の光じゃ、わたしらのふるさとの輝きには、たぶん敵わないと思うのです。どうか、生きものたち皆がそっと命を灯せる夜を、この沼町に残してください。