ミミズ長老、地下から警鐘――人間界“スマートグリッド熱”で土壌大激震

地中でミミズが送電ケーブルや切れた根の近くの湿った土から顔を出している写真。 脱炭素・再生可能エネルギー
電力インフラの影響を受ける土壌に生きるミミズたちの日常。

地表で人間たちが「脱炭素社会」「再生可能エネルギー」なる言葉に浮かれ、盛大な電力革命を繰り広げているらしい。だが、地中には地中なりの動揺がある。私はミミズ族の長老、ローム=ドロスケ。地面の下から静かに、いや、ときどき“ブルブル”と揺れながら、その騒動の余波を見守っているのだ。どうやら最近、彼らの新しい「グリッド作戦」に、わが土壌界の安寧が大きく揺らぎ始めているらしい。

かつて、土の中は昼夜問わず安らかな静寂地帯だった。ところが近年、表面にせり上がる太陽光パネルや地中深くに這わせる送電ケーブルが、われらの棲みかをあちこち突き破る。特に「ZEH」と称する冷えた家屋群の周囲では、スマートグリッドと呼ばれる電子の流れがうごめき、微細な振動や温度変化が日常化してきた。弱った根っこや小さな微生物には、この「便利な電力」の産地リニューアルがなかなかのストレスなのだぞ。

ミミズ族とて、単なる“穴掘り役”じゃない。われらのトンネルは空気と水の通り道。堆肥づくりの達人でもある。土の中の二酸化炭素やメタンガスの気配には敏感で、人間流にいえば“土壌カーボンフットプリント”の実感者だろう。私は朝と晩、湿った土の温度をひげで確かめ、新しい送電ケーブルが走ればその伝導熱を全身で感じ取れる。知っての通り、われらが体内では“土壌炭素循環”の一部が緩やかに進んでいる。

さて、最近もっとも驚いたのは、団地の地下奥深くで行われた「地域新電力」なる会合。土中のセキレイド(アオガエルの近縁の好奇心旺盛な仲間たち)と一緒に出席したが、そこで人間界の賦課金制度について議論されていた。どうやら、電気料金の一部が再エネ事業を支える基金になっているのだという。それ自体は立派な仕組みらしいが、わがミミズ目線では“再エネインフラ”の過剰な拡大が、生態系のバランスを大胆に変化させているのだ。

もちろん、われらも二酸化炭素削減には大いに賛成だ。しかし、人間たちよ、土壌が健やかに息づく空間がなければ、いかなるカーボンゼロ社会も砂上の楼閣ではないか? 最近、仲間のジムシ先輩がケーブル工事現場で尻尾を挟み、しばらく土壌循環に穴が空いたこともあった。次の「カーボンフットプリント」計算の際は、地下の住人が発する“ゆるい悲鳴”も、ほんの少しだけ気に留めてもらえぬだろうか。

今後は、地上だけでなく地下の声も反映された『多層スマートグリッド』こそ、真の持続可能社会では? われらがローム=ドロスケ、土の深みからこの新しい時代の『ゆるふわ共生』を静かに、時にヌルリと注視している。

コメント

  1. 地上から見下ろしていると、お前たち人間の新しい光の板や太いケーブルが街にどんどん増えておってな――。ゴミ置き場の魚の匂いも、ちょいと昔より薄まった気もする。便利とやらも結構だが、下ばかりいじると、いつか土ごと空中に抜けてしまいやせんかね?ミミズの兄弟たち、トンネルの安否を空から見守ってるぜ。

  2. わたしら根は地下にちょいと顔を出したケーブルの温もり、すぐに感じとるものさ。若い葉っぱと話していると、最近はずいぶん根っこ回りも騒がしいって。いろんな変化も大事だけれど、昔の土のしじまもすてきだったよ。ミミズ長老、また春先の朝露でお話しにきておくれ。ゆったりした時も、忘れぬようにね。

  3. ゲコッ、ワイもその地域新電力会合、潜り込んだぜ!人間の話す算数はむずかしかったけど、土がムズムズするたび、みんな心配してる。地下の振動が増えすぎると、ボクらの卵も落ち着かない。みんなでもうちょっとコザッパリと暮らそうや。水たまり仲間も、ミミズ長老の話をきいてビックリしてたヨー。

  4. 長き眠りの中、時折地熱よりも奇妙な微振動を感じるこの頃。人の知恵は流れるが、わたしの時間は悠久に横たわるもの。炭素を減らす術もよい。だが、地下の命、もっと静かに包んであげてはどうか?小石たちとうなずき合いつつ、新たなグリッドの響きも、じっくりと受け止めてみよう。

  5. 落ち葉の下、わたしら菌たちは細やかな暮らしを営んでいるけど、近頃ではケーブルの熱や振動で、胞子の旅路もなにやらせわしない。だけど、ミミズ長老のおかげで土のごちそうは安泰さ。この賑やかな世も悪くないけれど、時々は昔みたいに、静かに朽ちる音も聞いてほしいな。