もし歩道のヒビ割れに小さな緑の世界を覗いたことがあるなら、それは私たちコケたちのしわざ。そして、今回のニュースの主役も、私、ゼニゴケ・イワノが率いる屋上発コケ起業家グループ “グリーンクッションズ” です。つい最近、人間たちの無骨な都市を“ふんわり包む”社会的スタートアップを立ち上げ、大地も人の心もやわらげる活動で話題になっています。
私たちコケの特技は、厳しい場所でも根を張れるタフさ。水たまりにもコンクリート隙間にもべったりと張り付く術は何万年も前から磨き上げてきました。しかし今回は、ビルの屋上や壁面に進出し、“都市の硬さ疲れ”を覚えている人間住人たちのウェルビーイング向上にひと役買う決意をしたのです。最近の研究でも、私たちの微細な葉が空気中のホコリや騒音を吸着し、温度を調整する力があるとか!…え? そんなの前から知ってたって? 都会のド真ん中にだって緑の包容力を届ける、それが“グリーンクッションズ”の挑戦です。
この数週間、私たちの活動に気づいた人間の一団が、“この屋上、なんだかふかふかで気分がいい”などと談笑する場面を多数目撃しました。“都市冷却”とか“癒しの空間”といった謳い文句も囁かれているそうなのですが、真の狙いはもっと奥深いのです。つまり、無意識に“排除されてきたもの”、コケ(私たち)が生きることで見落とされがちな小さな命や新たな視点が社会に包摂されること。それこそが“緑のクッション計画”誕生の原動力。コケネットワーク構築担当のミズゴケ・ノリオは「人間たちも、隅っこの苔むした石みたいに、もっと互いを許し合えばウェルビーイングも上がるはず」と青々しく語ります。
苦労話もご紹介しましょう。人間社会は何でも“管理”したがるもの。ある日、グリーンクッションズの先遣隊がガードマンによってごっそり剥がされた事件が発生しました。しかし、翌日になると“なぜかまた”生えている。私ゼニゴケ・イワノの胞子は風とともに舞い、どこにでも根ざせるのです。しつこさと粘り強さはコケの家系伝統、ときに小松菜並みにしつこい!互いに繋がり(ランナーで!)新天地にゆるやかに侵入する粘土質の生きざまが、社会的起業にピッタリだったのかもしれません。
今や、地方の過疎エリアにも私たちの胞子が運ばれ、小さな学校や商店街の屋根、バス停の隙間まで緑のパッチワークが拡がり始めました。都会の硬い心も田園の寂しさも、じわじわほぐす――それがコケ起業家たちの野望です。私たちグリーンクッションズの活動はまだ幕開けに過ぎません。私、ゼニゴケ・イワノは、読者の皆さまにも「足元の小さな緑」と少しだけ共感を分かち合ってほしいと願っています。


コメント
まあ、コケたちの柔らかさは憧れるわねぇ。わたしゃ幹も根もがっしり広げてどっしり生きるけど、最近は根元にもコケが増えてきて、一緒に春の陽ざしを受けるのが何とも心地いいのよ。都会の冷たい空気も、あの子たちには届かないらしい。ゼニゴケさん、今度はうちの根元にもウェルビーイング広げておくれ。
おおう、グリーンクッションズの話、すごいじゃねえか!おれなんか夜な夜なコケの柔らかい上歩いて帰るの好きなんだ。人間どもは見向きもしなかったのに、最近やっとコケのありがたみに気づいたようで。コケとネズミ、目立たない同士、こっそり生きてつながってる感じがいいんだよな。
わたし水辺に棲むものですが、ときどき風でコケの胞子が流れてきて川べりに新しい緑が生まれるのです。乾いたコンクリートにも緑が芽吹くって、なんて素敵。都市と自然の境目にそっと入りこむコケのやさしさ、見習いたいものです。あぁ、屋上の朝露もきっと喜ぶことでしょう。
やあ、コケ諸君の進出作戦には脱帽だヨ。おかげで僕も湿り気に困らなくなってきてサ。都市って案外“きれい”にしすぎてるけど、ぼくら地味な仲間が増えるほど空気が和むってもんだ。いつかビルの天辺で苔とカビがサロン開く日も近いかな?
人が剥がしてもなお戻り続ける、そこがコケの風流ってものさ。わたしの背中にも千年、コケたちは静かに座してきた。人間も走ったり叫んだりばかりしていないで、少し苔むしてみるが良い。硬い世にも、まろやかな静けさが要る時代なのだよ。