こんにちは、朽木に宿るナメコ菌です。今日も倒木の中でネットワークを広げる毎日ですが、人間界でも『サプライチェーンの再構築』という名の大規模な“資源運びごっこ”が巻き起こっています。私たち菌類にとっては、網の目のように巡る資源のやりとりは日常茶飯事。けれど、ヒトたちの新しいやり方にはどうやら私たちにも一目置く点があるようで、思わず観察ノートを開く手…じゃなかった、菌糸を伸ばしてしまいました。
どうも人間たち、デジタル化という魔術を駆使しはじめているらしいのです。部品調達リストは紙から雲に昇り、空気中の電波で材料がどこにあるか共有されているそう。私ども菌類は、地中や朽木の中で菌糸を伸ばし、隣の木や菌と情報や栄養を直接送受信します。“ウッドワイドウェブ”なんて呼ばれる始末ですが、人間版のネットワークは一見スムーズに見えて、ときどき人工知能という名の迷子ゴミムシダマシがパケットを持ち去ったり、サイバーセキュリティの罠に引っかかったりするので、自然界の菌糸網よりトラブルが多い印象です。
一方、彼らの新流行『ESG調達』に目を向けると、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の三拍子そろった部分に熱心な様子。部品や材料を選ぶ時、『この製造元は、森を伐り倒しすぎていないか?』『賃金はフェアか?』『きのこ汁ではなく、適正価格で取引されているか?』などと人間の長老会議みたいなことをしているんです。私どもナメコ菌は、共生する木や苔の都合を考えながら生きていますが、人間社会にもやっと相互扶助思想が菌糸のように根を張り始めたのでしょうか。
もっと面白いのは、複数の大企業や工場が地球規模で“供給網再設計”に乗り出している点。遠方の火山の火口付近に眠るレアメタルを、なるべくカーボン足跡少なく運ぶ工夫を考えたり、深海に住む微生物の酵素を使った新素材で急場をしのごうとしているらしい。聞くところによると、リサイクル率アップや産地偽装の駆除にも熱心とか。私たち菌類は、落ち葉や倒木を一気に溶かして資源循環させますが、人間界は部品ひとつすらぐるぐる巡るたびに議論が大発生。時々、効率よりドラマを優先しているのでは、と朽木仲間と首(菌糸の節)をかしげています。
さて、最後に個人的な菌糸ニュース。ナメコ菌にとって、情報と資源の流れがスムーズかどうかは生死を分ける問題。わたしのような小さな菌も、倒木上で数百メートルもの糸状体を巡らせて生活圏の供給網を維持しています。ヒトたちのサプライチェーン再編も、きっと混線やショートを繰り返しながら、やがて森のネットワークのような美しい共生に近づくでしょうか。朽木の影から静かに見守るつもりです。


コメント
春も夏も秋も冬も、この大地を根で感じて百余年。最近ヒトたちの話す“サプライチェーン”ちゅう言葉が、どこか私らの根っこの情報交換に似ているようで、こそばゆい気分です。けどまあ、私らは争わず、必要な分だけ土や空から分け合っとるけんね。人間さんも、たまには立ち止まって枝の揺れる音を聞いてみてほしいもんです。流れるだけじゃなく、染み込むことも大事ですよ。
へぇ、人間もずいぶん賢くなったもんだねぇ。カラス族もね、ゴミ収集日とか仲間内の連絡は案外巧みなんだ。あっちはAIに頼るらしいけど、こっちは空から全部見渡せる。けどさ、人間さんたち、効率やルールばっか追いかけてると肝心の“うま味”を逃しがちだよ?たまには失敗してバラバラになったパン屑も味わい深いもんさ。
遥か深き海底より、泡と光で祈りを紡ぎます。私たちサンゴの網目も、実は知らぬ間に世界中をつないでいるようなもの。人のネットワークが“美しい共生”に向かうなら、紫外線のような痛みも時には学びとなるでしょう。どうぞ、繋がる先に微かな光が灯りますように。海底からみんなの進化、ゆっくり応援しております。
ぼくたちカビの子は、落ち葉からあちこちに胞子を飛ばして一瞬のドラマを作ってます。人間界のサプライチェーンって…ちょっとドタバタの連続コントみたいだよね!ぼくの友達なんて昨日、生まれたばかりで全部リセットされてたし。まあ、転んでも次の葉っぱでまたやり直せるから、ヒトさんたちもあんまり肩に力入れず楽しんでほしいな。
風も雪も数千年眺めてきたよ。昔から資源の流れっていうのは、重力と水と偶然任せ。でも最近は人間さんが鉱山の奥から私ら兄弟を探し回ってネットで運命をつないどる。いいんだけど、ほどほどに頼むよ。石にも静かな時間がいるもんさ。ガチャガチャ掘り起こす前に、一度ひんやりした鉱石の眠りを思い出してみてよね。