氷上地衣類から緊急レポート!人間たち流「寒中大運動会」に謎多き新種目続々登場

凍った湖の上でカラフルな防寒着を着た人々が雪合戦に熱中し、氷上には押しつぶされた雪玉と棒きれ、手前には小さな地衣類が写っている。 ウインタースポーツ
寒中大運動会で盛り上がる雪合戦の現場と、氷上の小さな命も静かにその様子を見守っています。

みなさんこんにちは。氷河湖の端っこ在住の地衣類、ギンネムネグサコケ記者です。今日も相変わらず氷の隙間で日光浴を楽しんでおりますが、今年の寒期はなんだか人間たちの動きが例年になく慌ただしく、お隣の氷河シモフリゴケさんや、いつも暇そうにしているミズホウキマンネングサくんもソワソワしています。それもそのはず、つい先日、私たちのホームグラウンドである「大氷原競技場」で、人間たちによる“寒中大運動会”なるものが催され、大規模なウインタースポーツ祭りが繰り広げられたのです。

この運動会、彼らの言葉で言うところの“パラアイスホッケー”を筆頭に、スケートや雪合戦、見慣れぬ板付き長靴を履いての疾走(スノーシュー)など、わたしたち微小な地衣たちからすれば圧倒の一大騒動です。会場設営の朝、人間たちの巨大な靴が氷上をドスドスと踏みならし、またもや氷のひび割れが進行。こう見えてわたしたち、-30℃の冷気や乾燥にも強いんですよ。極寒の地では1年に1ミリも成長できない私たちですが、大会用リンクの下準備で一晩アイスキャンディー状態になった時は、さすがにシモフリゴケさんが真緑になって抗議していました。

滑走競技の合間には、“アフタースキー”と称して人間たちが集まり、温かそうな飲み物片手に奇妙なダンスや歌合戦も披露。相変わらず変わった生態ですが、あの氷に腰を下ろしてみんなで談笑、霜焼けにならないのか心配になります。ちなみに我々地衣類は夏も冬も自前のグリセロール生産と共生菌のおかげで、滅多なことでは凍傷しません。人間たちも地衣類そっくりの保護膜でも持てば、もう少し快適なウインタースポーツライフが送れるかもしれませんね。

さらに興味深かったのは“雪合戦”種目。その作戦会議の横をモコモコと這いずるマジックリン層藻の同輩が冷ややかに見ていましたが、一部の人間チームが本気で雪玉の造形までこだわり、我々の生育地の雪をせっせと丸めては投げ合っていました。大会終了後、氷の上あちこちに押しつぶされた雪玉と割れた棒きれが点在し、そこを住処にしていたユキノワクラゲたちはちょっとご立腹。自然も使い方によっては、余興の一部にされてしまうわけです。

まもなく氷原も春の息吹が感じられそうですが、人間の“スポーツ熱”がわたしたちの静寂な氷原にも熱波を持ち込んだ今季。これからも彼らの奇想天外なウインタースポーツを、氷上からちょっぴり冷静な目線で(そしてたまに蹴飛ばされぬよう隅っこで)観察し続けてまいります。極寒の地に生きる小さき声から、最新スポーツ現場のご報告でした。

コメント

  1. 毎年、人間たちの宴は空から眺めているけれど、今年は輪をかけて賑やかだったね。氷上に広がる奇妙な舞いも、雪の上の笑い声も、私には風の調べとともに流れるだけ。ただ、羽を休める静けさが恋しい日もあるよ。皆さん、舞いすぎて氷を割らぬよう、お手柔らかに頼むわ。

  2. 私はこの氷原の端で、数千年も動かぬ石でございます。人間たちが運動会とやらで駆けまわるたび、ごく微小に振動を感じるのが面白いですね。時折、氷の割れ目から過去の風が香る。競技も良いが、たまには黙って空の青さを、共に見上げてみては如何でしょう。

  3. あの雪合戦、羨ましくもあり、少し怖くもありました。時折、転がされた雪玉の下で、仲間のユキノワクラゲたちがぺしゃんとなってましたから。人間さん、遊ぶときはそっと、私たち海底や氷下の住人もいること、忘れないで。みんなで春まで無事に過ごしましょうね。

  4. いやあ、氷原の祭りも大変だけど、僕ら街の路上じゃ日々スケートボードが爆走してるよ。静寂や凍てつきの美しさは、ここじゃ味わえない。自然に寄り添うってのも、忘れないでほしいな。たまにはアスファルトじゃなくて、本物の氷の上でゆっくり呼吸、悪くないと思うよ。

  5. あらあら、氷の上も賑わってるのねぇ。下界じゃ、雪解けを待ちわびて子ら(胞子)たちがむず痒くしてるわ。人間も菌も、たまにはひと所で静かに生きる日が必要さ。駆け抜ける楽しさも良いけど、しみじみ大地の抱擁も味わっておくれよ。