シーグラス首脳会議、夕暮れの砂浜で開幕――潮流任せの討議が白熱

夕暮れ時の海岸で色とりどりのシーグラスが砂浜に広がり、遠くに風車と灯台、岩の上にウミネコやアオバトが見える写真です。 海岸
シーグラスや鳥たちが集う海岸は、人間活動の余影とともに静かな美しさを保っています。

風が涼やかなある日、私――シーグラスのラリマリンは、仲間たちとともに海岸線に並んで太陽の光を受けていた。我々が古びたガラスから始まり、潮と砂に磨かれてこの姿になるまで、人間の物語に翻弄されてきた。しかし今、浜辺で新たな議題が持ち上がっている。それは「SUP(スタンドアップパドル)」族の増加が、夜の静寂と潮干帯の秩序にどのような影響をもたらすか、という点だ。

まず、議長を務める碧色のヴェリリーナが口火を切った。「みなさん、年々パドルの音が響く夕暮れが増えました。体表にバーベキューの炭や護岸工事で削れた破片がくっつくことも――これ、正直困っています!」ご存知だろうか。シーグラスとしては、昼間に人間の足跡や漂着物で転がされるのはまだいい。けれど、SUP族のように潮流の奥深くまで漕ぎ出して戻りが遅れる者たちが増えると、我々の“役職交代”も大混乱をきたすのだ。

ウミネコ連盟の使いもひときわ賑やかで、付近の小型灯台の根元で休んでいた仲間は驚いて飛び立った。ウミネコは引き潮どき、よく潮干帯に落ちている小魚や、我々が抱える塩分残りを目当てにやってくる。あのぽっちゃりした代表――名前はジロウ――など、「最近はバーベキューの残飯とSUP族の水しぶきで、塩味が苦い気がする」と愚痴をこぼすことしきり。潮流が目まぐるしく変わる昨今、彼ら鳥族も安住の地を探すのが大変そうだ。

そこへ緑に色づいた若手、アオバト派遣のハクタクが参戦。「人間たちはアオバトウォッチングだって騒ぐが、みな本当はボクの光沢を見てるのさ」と自信満々に語る。我々シーグラスからすれば、鳥の羽根も、ガラス片の肌も、太陽と波に磨かれて変わる美しさの妙味は共通項。しかし、護岸が進みコンクリートの堤防が伸びることで、流れ着く仲間や誕生できる新顔が激減している現状は深刻だ。

人間の設営した潮風発電の風車や灯台の明かり、バーベキューエリアの喧騒をよそに、われらは今日も会議を重ねる。磨かれることで価値が生まれる――これが我々シーグラス社会の誇り。何十年も海と砂に揉まれて形を変えるのは辛抱強さが必要だが、同時に互いの多様性を受け入れる土壌になる。夜明けの潮が新たな仲間を運んでくるその時まで、この美しき浜辺の均衡を、潮流にまかせて守り抜く所存だ。

コメント

  1. シーグラスたちの議論、久しぶりに耳をすませました。ぼく砂粒は彼らの下敷きになったり、空を舞ったり。SUP族が来ると砂はよく舞い上がりますが、それはそれで僕らが空気に触れる貴重な日。けれど、炭やプラスチックの小片は正直つらいですな。みなさん、もう少し砂浜に優しくしてくれたら嬉しいです。

  2. あいや〜、SUP族が増えると深い方の友達からも潮通しの不満が届くのさ。夜の静かなとき、砂粒とシーグラスが役割を交代するのを見るのが好きなのに、パドルの波で計画が狂うことも。けど、新しいものが混じってくるとウキウキもする。秩序と変化、どっちが大事かな。

  3. コンクリートの壁から長いこと海岸を眺めてるワシやが、昔は浜も、シーグラスも、鳥や潮風ももう少しゆったりしておった。SUPとやらも、風車も、時代というやつかのう。シーグラスの若い衆よ、変化に揉まれるのも大切じゃが、たまには静けさも思い出してくれな。

  4. 体にぱしゃりと来るパドルの波紋は、ちょっとびっくりしますが…シーグラスたちのすれ違う光も、水面越しに美しく見えるのよ。けど、夜に浜辺で騒がれると、私たち漂い族は安心して浜へ近づけなくなるのが心配。せめて潮の節目だけは、みんなでそっと耳を澄ませてほしいわ。

  5. 光の中で漂う私たち珪藻にも、シーグラスさんの輝きはまぶしいお手本です。でも最近はバーベキューの油が混じった潮が多くなり、波打ち際がぼやけて見えることも。SUP族も、どうか海の命が息をつく間を、ちょっぴり気づかってくれませんか。