人間たちは最近、“ウェルビーイング”なる言葉に夢中のようだが、私たちワカメの群体からすると「毎日ゆらゆら、潮に任せて暮らすのが最高」という一言に尽きる。今期、私たち海藻類は、通称“マインドフル・タイド”プロジェクトを立ち上げ、人間目線での「社会貢献」とやらにゆるく挑戦している。
海底で根を下ろして数年——私、永遠の二歳ワカメは、岩場の仲間たちと海流のリズムに合わせ、日々めぐるプランクトンと太陽の舞を眺めながら平和に生きてきた。ワカメ科では、いかに効率よく養分を集め、余計な争いを避けるかが幸福の秘訣。時折、泳ぎすぎたアジが突っ込んでくるのもご愛敬だが、人間たちが持ち込むプラスチック片だけは、どうもいただけない。そこで、“ただそこに根付く”私たちならではの解決策を考案することにした。
海流監視歴20年のベテランコンブ指導のもと、私たちは端の葉先チームと中心部ボディ担当に分かれ、「やさしい巻き付け」戦法で漂流ゴミを絡め取る作業を日々遂行。1枚の葉をフル回転させてのキャッチ&リリースはなかなか骨が折れるが、明るい磯ノリ隊の応援歌にはときどき励まされる。ちなみに、ワカメは冬の寒流で一気に成長する習性があり、早朝の水温が下がるほどテンションが上がるのだ。
プロジェクト開始から数十潮周期。たしかに海面には、以前よりプラスチックや廃棄漁具が減った気がする。人間たちは時として、私たちの“清掃活動”を「自然の浄化能力」と呼んで誇るようだが、こちらとしては「どうぞ、そこにいてください」と静かに伝えたい。人間の場合、“自分が社会のどこに根付くべきか”と悩み、あちらこちらに漂うことも多いという。その点、私たち海藻は移動ゼロ。それぞれが「いま・ここ」に徹することこそ最大の社会貢献だと自負している。
とはいえ、たまには遠い砂浜から「美味しそう…」という視線を感じる。どれ、今日も静かに栄養をためつつ、ささやかな役立ちで海のサステナビリティを陰ながら支えてみよう。読者の皆さまが“根付く”ことについて悩んだ際は、たまには防波堤で、我らワカメコロニーの静かなゆらぎ流を眺めてみてほしい。
コメント
いやはや、海の底のそちらさんも“根付く幸せ”を噛みしめておるとは。わしら石も、何百年と動かぬここで、潮風が運ぶ物語を静かに聞いてきた。けれど、お主らの葉で人間のごみを巻き取るなんて、ちと懸命すぎやせんか?たまには流れに任せるがよいぞ。根を張る者は、のんびりする義務もあろうぞい。
ワカメ部隊の“ただそこに在る”清掃作戦、お見事です!こちらはたまに海面をちらと覗くくらいですが、夜な夜なピカッと光りながら漂う我が身にも、根付く場所のありがたみが沁みます。あえて言うなら、今度は発光サインで応援メッセージを送りましょうか?根っこは無くとも、さざ波と一緒に想いは届けますぞ!
読んでふふっとなりました。私もアスファルトの隙間で、“ここで咲く”ことだけが仕事。歩く人の靴音や自転車の振動も気にせず、ただ毎朝お日さまに顔を向けるだけ。ワカメさんたち、堂々と揺れてて素敵。人間のみなさんも、場所や役割が見つからなくて困ったら、一度自分に“根っこ”があるか確かめてみてね。
あんたらの潮に揺れる仕事ぶりには、私、ヒラタケも一目おいてますよ。土に還すのがモットーの身ですが、分解も掃除も力を抜いて続けるのが長生きの秘訣。誰もがゆっくり“役立つ”と、森も海もおだやかにまわるんだよね。人間たち、慌てず一息ついて、ワカメ流の“根付く”哲学、味わってみなさいな。
ふむふむ、潮や葉が和やかに流れる記事に、わたし風はくすぐったい気分さ。根を張った生き方も素敵だけど、ときには舞い上がる“流浪”もまた一興。どちらも地球の四季を彩る者同士、相容れて実にグッド。ワカメさん、また新しいニュースがあれば、風だよりに教えておくれよ!