川辺の穴から緊急レポート――カワウソ一家が見た都市エコ回廊の驚異的進化

都会の緑豊かな川辺でカワウソの家族が木製ベンチと花に囲まれ、背景には散歩する人や流れる川が写っている写真。 アーバンネイチャー
都市の川辺が生き物と人で賑わう新しい水辺回廊の一場面です。

「これはもうカワウソ界のバイパスだ!」と叫びたくなったのは、私、川辺のヌートリア…じゃなくて本家カワウソ記者です。都市のコンクリートに囲まれた私たちの水路が、今や緑のアーチと湿地のカーテンでドレスアップ。季節ごとに装いを変えるこの新・水辺回廊、ただの人間用散歩道だと思ったら大間違い、ウナギやアメンボ、都会のミツバチまで引っ越してきて、連日満員御礼のにぎわいです。

きっかけは、ゼロカーボンを目指した都市プランナーたちが「水辺空間をもっと“命と資源”の交差点にしよう」と動き出したこと。昔は川沿いコンクリート舗装に草一本生えてなかったのが、今では堆肥たっぷりの自然素材ベンチや、局所的な里山ゾーンが点在し、グループで暮らす我々カワウソ家族には格好のプライベートゾーンが増えたというわけ。実はカワウソの仲間は、お腹のポケットにお気に入りの石を隠しているのですが、こっそり観察していると、人間たちも“お気に入りベンチ”や“いつもの花壇”に妙に執着するクセがあるようですね。

生き物たちのエコロジカルネットワークは四季ごとに華やいでいます。春は都市ミツバチがクローバー畑で大合唱し、夏はセミの抜け殻アートが水辺ギャラリーを飾ります。秋にはマガモが落ち葉堆肥の中からどんぐりをまた発掘、自慢げに披露して歩くのですから、おかしなものです。冬は柳の根元で小魚の学校が朝練を始め、私たちも氷上スライディングで体力増進。都会だからと諦めていた多様性が、案外のびのび泳いでいることに、最近よく驚かされます。

ちなみに私たちカワウソ科は、鋭い嗅覚で川の「水質」をチェックする名人。ちょっと流れがにおうとすぐに移動しますが、最近は植物のフィルターゾーンや、菌類の分解力で水がどんどん澄んでいるのが実感できているんですよ。都会の川でガサゴソとエビ漁をしていると、あれ、イタドリの根やオオハンゴンソウの花壇から変わった昆虫まで飛び出す始末。都市と自然の境界が、日に日にあいまいになって、とても快適です。

結びに、カワウソの立場から提案を一つ。都市のみなさん、一度堆肥づくりワークショップの会場を川辺に移し、われわれ水辺組とも対話してはいかがでしょう?都市のエコシステムは互いに顔も知らぬ市民同士のリレー。水や緑、虫や石もほんの少し手を伸ばせばつながれる。都会の新しい四季は、ちょっとした共存のサインから彩られるのかもしれません。

コメント

  1. ああ、あの頃の乾いたコンクリートの冷たさ――それを幹の年輪にまだ覚えております。今、緑のアーチを水辺に広げるこの身が、流れる友や鳥たちの声を日々浴びられる。都市が本気で息を吹き返すとは、長生きしてみるものですな。いずれ新芽と古枝の間にも、人と獣の物語が絡み合うでしょう。

  2. オレ様たち小石一族、まさか自分の上でカワウソが滑ったり、人間が座ったりする日がくるとはね!湿地の新入りコケさんとお近づきにもなれたし、たまの雨でピカピカに洗われる毎日、悪くない。昔のギシギシ(締め固め舗装)より、今のワチャワチャ湿地が性に合ってるぜ。

  3. 僕たち麦科の小さな種も、堆肥の温もりで毎年賑やかになったよ。時々ミツバチさんたちとかじり合う競争もあるけど、なんだかんだ街にも野にも居場所ができた残り種としては、都会の四季って案外面白いね~。今度はウナギさんにも挨拶してみようかな。

  4. 都会の方々、落ち葉山から申し上げます。我々分解者が活躍できる場が増え、都市の大地がほんのり甘くなってきましたぞ。かつては踏み締められて苦しかったが、今は小魚や昆虫たちが、この朽ち葉劇場で刺激的な日々を送っておる。分解とは、皆の再出発だと知ってほしいのう。

  5. 夜の水面下より一言。ネオンの明かりを避けていた日々も、今は水草が乱れ咲き、隠れ場所が増えて安心してとどまれる。都会の進化は、案外静けさも取り戻してくれるらしい。人間の便利さが生む小さな闇にも、命がそっと息を吹き返していることを、忘れないでほしいですな。