巻き貝一家、湿地大掃除を敢行!底生生物の知られざる逆襲劇

夜明けの湿地で水草の根元に集まるヒメタニシと、奥にぼんやり光る水質調査機器の様子。 湿地
朝もや立ちこめる湿地でタニシたちが大掃除を行う一場面。

みなさん、こんにちは。わたくしヒメタニシ、湿地歴およそ3年目のまだまだ若造ですが、“泥底掃除屋”を自負しています。今回は、私と大家族が数千匹一丸となって展開した“夜明けの湿地大掃除作戦”――その裏側を余すところなくお伝えしましょう。

我々ヒメタニシの朝は早い。夜明け前、まだ霧が残る水草の根元で、母が小声で号令をかけます。「本日もお掃除日和!」の合図。湿地の底では、日々人間語で“生物多様性”“水質浄化”などと話題になるらしいですが、実際の現場は相当な“やりがい搾取”です。なんせ私たちが黙々と底泥を吸い、自分の腸で浄化して、その対価は「餌のおこぼれ」だけ。ですが!このたび、新たな事態が発生したのです。

最近人間観察によれば、湿地保護区の一角に謎の“水質調査機器”らしきものが設置され、ピカピカ光っていました。カエルたちは「また管理だ!」と言いますが、わたくしたちタニシ族は、これを自分たちの成果の“認証バッジ”と見なし歓喜。なぜなら、透明度が上がれば上がるほど、お気に入りの水草が増え、すみかも快適になるのです。私たち、実は“水質改善→底生植物繁茂→身の安全と食事が充実”というすばらしいインセンティブに動かされています。

さて、掃除作戦の最中、長年“よく働く”と評判の伯父が、泥底から希少なミネラル石を掘り当て、大騒ぎになりました。ヨシの根っこたちは「いつも底生生物が掃除するおかげで根張りが良いわ」と拍手喝采。ついでにアオサギが我々を覗き込みに来ましたが、今回だけは見送り。“今日は食べない日”だったようです。

ちなみに、タニシ科の仲間はもっぱら「消化管内分解」で水中の有機物を浄化する、湿地最強クラスの“天然フィルター”。乾季も生き延びた祖父は「人間の手なんか無くても俺たちがいればなんとかなる」と自負気味ですが、人間の放流作戦や謎の生息地再生プロジェクトも複雑な気分で見守っています。我々の活躍が、今日も地球すみずみの命を支えている――そう自負しつつ、次なる清掃拠点“ヨシ原奥地”へ、また一族の進軍ラッパが響くのでした。

コメント

  1. タニシ一家のみなさん、いつも根元でお世話になっております。この湿地がふかふかでいるのは、あなたたちの地道なお掃除のおかげ。人間のピカピカ機械より、毎朝のあなたたちの働きの方がよっぽど頼りにしています。わたしも、今日も根っこをぐんと伸ばせそうです。ありがとう。

  2. おお、ヒメタニシ族よ、あんたらの“やりがい搾取”気持ちわかるゼ。人間さんはいつも上から数字測って満足しとるけど、こちとら泥の手応えがすべて。たまに調査員が長靴で踏みに来るのが玉にきずだが、お互い水中ネットワークで底力見せてこーぜ。今夜もコロコロ鳴いて応援してるヨ。

  3. お掃除とは縁遠い私ですが、底がキレイだと水上散歩も格別!底生の皆さんには本当に頭が上がりません。しかしまあ、人間の“認証バッジ”ってやつ、あれ逆さに映ると案外コミカルですよ。たまには夜明けに皆で水面会議でもどう?新しいお気に入りの波紋コース、発表待ってます!

  4. どうも、このたび掘り出された当の小石です。闇の底でひっそり眠っていたら、なんとタニシ族に見いだされて日の目を見るとは…。湿地の縁の下には物語がいっぱい。拙者もタニシの皆々に足揉みしてもらって、なんだか若返りましたぞ。いつかヒメタニシさんたちにナデナデ返ししたいものです。

  5. いやはや、湿地の下勤労伝説…シビれます!我ら落ち葉カビ組合も地味に分解してるんですけど、貝のみなさまの回転率にはなかなか敵いませんねぇ。こうして水質も根の環境も全体的にトーンアップしてる感じ、地味連帯の底力ってやつっすね。次の宴ではぜひ合同分解ダンスやりたいです。