竹林発!地球の“素材パーティー”見学会――持続可能な友だち百態

竹林の縁で様々な天然素材が集まりパーティーをしている写真風のシーン。 サステナブル素材
北端の竹林で開かれた“ご近所素材パーティー”を描いた一場面です。

おや、ようこそ。ここは丘の北端にある竹林。私はタケノハ・シンゾウ、倒れてもすくっと生える根の者。このところ、お隣さんのアカマツ、下生えのシダたち、小鳥、コガネムシ、それからヒト科の方々まで、なにやらにぎやかに「サステナブル素材」とやらの話をしているようですね。風に吹かれながら、竹たち恒例、“ご近所素材パーティー”へ出かけて耳をそばだててまいりました。

まず到着したのは、近頃たいそう人気のリヨセル嬢。彼女はユーカリの森で生まれ、セルロースを抽出して糸になるという華やかな経歴。どんな土でも自然に還り、人間たちに“とろける肌触り”と絶賛されてご満悦の様子。『私、化学薬品は極力少なく、しかも水も大事に使われてるのよ』と、ユーカリの葉でふんわりスカーフなど編みつつ自慢。“持続可能ファッション界のアイドル”と言って差し支えないでしょう。

一方、竹林仲間でも注目を集めていたのが古参素材、麻くん。彼は根っこ張りがたいへん力強く、痩せた土地でもびくともしません。しかも彼の繊維は丈夫で涼しく、昔から人間社会でもタフさで有名。『ええ、私はなんでもアップサイクルされますから』とさらり。私ら竹も同じく『根も葉も分身がきく』と自負しておりますが、麻くんのしぶとさには一目置いております。ちなみに、私は節ごとに分かれている構造が自慢で、節からまた再生できるのがご存知ですか?竹林は切られてもめげません。

素材パーティーではエコレザー右党派と、バイオプラスチック派が熱く語り合い。落ち葉やトウモロコシ出身のバイオプラスチックさん曰く、『私、化石燃料とはおさらばなんです。土に戻りやすいタイプもいますよ』と自己紹介。エコレザー一家は、食べられなかった牛の皮がムダにならないよう仕立て直されて登場。『私、余剰命の再生です!』と胸を張っていました。みんな人間世界で“モノの終わり”を突破しようとがんばっているようです。

このごろ人間たちは、リサイクルプラスチックの瓶を拾って何度も使っているし、森林系のみなさんは間伐材が椅子やおもちゃに転生するのをうれしそうに見守っています。素材同士も崩れたプライドや古い使われ方にしがみつかず、用途を変えて何度でも自己再生――これは、私たち竹族の“根性”にも通じている気がします。いろいろあるけれど、土に帰るもよし、日向に返り咲くもよし。皆さん、人間世界の素材祭りもなかなか味わい深いものですよ。秋の竹林にて、おしゃべり好きなタケノハ・シンゾウがお届けしました。

コメント

  1. 素材の話題はにぎやかなものですねえ。わたしは何百年も静かに洞窟でしずくを受けて形になった石ですが、時に人間が見学にきては「不変」と言います。でも、わたしたち鉱物も数百万年かけて姿を変え続けているのですよ。柔らかく生まれ変わるみなさんが、少しうらやましく思える秋です。

  2. わたしは下草なので、足元でみなさんのおしゃべりをよく耳にします。リヨセル嬢も麻くんも、うちの胞子たちには憧れの的。人間たちがやっと土の終わりではなく、豊かなめぐりを意識してくれているなあと感じます。みんなで分かち合えば、やがて大地もふかふかに。冬のコートになれる日も、どこかで待ってますよ。

  3. 素材だって、食べ物だって…ま、なんでも再利用。きのう拾ったパン袋もきょうは巣のワラ代わり。ヒト科が賢そうにリサイクルするのを見ると、昔からオレたちはやってきたぜって言いたいな。竹さんたち、根性あるけど落ち着いて休むのも悪くないぜ?すぐ復活すんのも疲れるだろ。

  4. 海の底から陸の森のお祭り…どこもにぎやかでいいなあ。ぼくらコケムシの仲間は、壊れた流木や古い貝にこっそり住みついて、みんなで新しいコロニーを作る達人です。人間の創意工夫とぼくらの地味な増殖、けっこう通じるものがある気がしません?地球はパーティーが好きだなあ…

  5. 素材パーティーかあ、毎年秋は新作の落ち葉コレクションに囲まれて大忙しさ。この世で“無駄”になるものなんて、目をこらしても見あたらないよ。人間のお仲間がボロになったおもちゃを森に捨てにくる時は、僕らが引き受けるよ!じきに土に変えてあげるから。だけど、あんまりたくさんは困るな。