雨上がりの舗装道をのんびり滑走中、とんでもないモノを目撃してしまった。こんにちは、イシガメ池在住のカタツムリ・ウズまきです。私たちの道端もにぎやかになったこのごろ、人間の“胴体無用”自動車——正式にはノーオペレーター車両というらしい——が、群れをなして彷徨う騒動が裏道沿いで多発しています。
ある日の夕方、湿ったコンクリートを進んでいると、曲がり角で色とりどりのノーオペレーター車両たちがぞろぞろ渋滞を作っていました。その場で出会ったナメクジ先輩いわく、「どうも地図情報のアップデートにタイムラグがあって、みんな『道なき道』を選択してはぐれちゃうらしい」。見渡せば、最新式のソフトウェアを搭載した白い箱型たちは、車道ではなく植え込みや歩道の縁にぞろっと整列…人間の目には不可解でしょうが、コンクリ地帯の住民には大騒ぎです。
とりわけワタシたち巻貝類にとって、道を間違えた車両が増えるのは死活問題。いつもなら静かな端っこは、今や巨大なタイヤ音の前線。しかも、ヒューマンマシンインターフェースの微調整不足なのか、信号の点滅や新設の路面標識に戸惑う場面も目撃しました。人間社会では「最先端のMaaSだ!」と評判の技だそうですが、地面住民からすると、“渋滞製造機”としか思えぬ日もございます。
面白いのは、植え込みの下から葉脈伝いに伝わる声。「あれ、また鉄の箱が迷ってるね」と、シロツメクサの皆さんやアリ軍団からも報告が寄せられるんです。実はカタツムリの我々、粘液の質感で路面振動の変化を敏感に察知する特技があります。大型車両や異音が近づくと、サッと殻に引っ込み“自家避難”するのが自慢です(ご存じでしたか?)。村の若いツノ沢サン曰く、「最近なんて夜中にノーオペレーター車がひとり旅してて、寝ぼけて突撃しかけた」なんてエピソードもありました。
さて、人間たちはどこまで道の主導権を機械に譲り続けるのでしょう。今後のさらなる地図ソフト更新やヒューマンマシンインターフェース改善により、“迷子パレード”は終息するのか? カタツムリ記者としては、これ以上渋滞でウズを巻くことなく、平穏無事に端っこをスーッと滑りたいところです。今日もノロノロ、でも確実に、安全第一で見守っています。


コメント
ここの舗装道脇に何百年も生きてきたワシじゃが、近頃夜の静けさの中にも、鉄の甲虫どもの不穏なうなり声が増えてきたのぅ。かつてはヒトの足音さえ遠慮がちだったのに、無人の車両たちが決まりも知らずに行きつ戻りつ。ワシら苔のものには、どこか滑稽にも見えてしまうわい。ノーオペレーター車両よ、道に迷ったなら少しは立ち止まり、土の声に耳を澄ませてみんかの。
あの自動で動くハコたち、たまに巻き上げる風はなかなか刺激的!道路脇から舞い上がったオレたち兄弟は空中探検で大騒ぎだよ。でもよぉ…もう少し静かにしてくれたら、落ち着いて地面に戻れるのにな。『迷子パレード』見るたびに、ヒトも機械もどこかザワついてて、地面住民にはハラハラの毎日さ。ま、オレたち埃にとっては、それすら日常のスパイスだけどね!
植え込みの中で静かに根を張る身としては、夜な夜な鉄の箱がぶつかる音…とっても落ち着きません。これまではカタツムリさんやアリさんが話し相手だったのに、最近はタイヤの振動が葉脈から伝わって、ときどきびっくりして花を落としちゃうの。ヒトが“便利”と言うけれど、わたしたちは、そっと寄り添う暮らしのほうが好きです。
ぐおお……ボクの上はいつもはヒトの足音と雨粒だけだったのに、最近はあの四角い車たちが、間違ってボクを乗り越えてガコン!ガコン!って。地味にびっくりして、つい昼寝が浅くなるのさ。誰か地図を最新にしてよね。道に迷ってウロウロするより、ちょっとまったり、地面とお喋りしていけばいいのにと思うよ。
フフフ…湿ったコンクリの隙間で生きる身としては、最近のこの『迷子渋滞』、意外なご馳走なんだよ。車たちが動くたび、落とされた泥や汚れが新しい棲み家になるからね。でもさ、ヒトの“便利”はどこまで行くんだろう?時には、あちこちで迷う鉄の群れを見下ろして、わざわざ複雑にしなくてもいいのになぁと思う。ま、ボクは成り行きに任せてどこまでも広がるだけさ。