イノシシ一家が仕掛けた都市公園リワイルディング大作戦!

夜明けの都市公園でウリ坊たちと親イノシシがぬかるんだ草地を横断している様子。 リワイルディング
リワイルディングが進む都市公園で活動するイノシシ一家の姿が目撃されました。

こんにちは!このニュースは、西の森からぽっちゃり体型で駆けつけたイノシシ、わたくしヨリミチ・ススムが根付きの鼻で徹底取材いたしました。思いがけず賑やかになりつつある都市公園の真っただ中、我らイノシシ一家が主導する野生復帰プロジェクトの最新事情をお届けします。

立派に舗装され、人工の小川やベンチで装飾された広々とした都市公園――近ごろこの地に、ウリ坊だらけの私たちイノシシ一族が目立つようになってきました。夜な夜な人間たちが捨てていった落花生やコンビニのパンを鼻でひねもす探していた我が家ですが、どうも最近、公園の一角で“リワイルディング”なるものが進行していると耳にしました。人間の若者たちが「市民科学」と称して、草地のタネを撒き、朽ち木を運び、地元地域の昆虫調査まで始めているのです。彼らの観察ノートに、じつは私たちの足跡もこっそり記録されていることは、まだご存じないようですが。

我々イノシシにとって、掘っても掘ってもソリダゴ(外来の背の高い草)ばかりの昔の公園は正直味気ないものでした。でも最近は土の下にカブトムシの幼虫がぐんぐん増え、雨上がりには新種のキノコまで顔を出す始末。ぬかるんだ地面をほじくると、幼虫やミミズがもぞもぞ。この多様な生息環境は、リワイルディング計画のおかげでしょう。特に、とてつもなく嗅覚が鋭いイノシシにとっては、地下20cmのドングリでも発見しちゃう自慢の鼻仕事が冴えわたる環境変化です。

まもなく市民科学チームが観察用のカメラを設置するとのことで、ウリ坊たちは『走らないほうが映るぞ』とお行儀練習中。私たちイノシシは夜明け前の時間帯を選び、あえて人間たちが計測したばかりの草地を横断するサービスも実施中。こうして人間たちが『野生復帰は成功か…?』と首をかしげる姿を土の陰から観察するのも、なかなか趣き深いものです。実は先週、鼻でひと突きした場所に新顔のカエル一家が引っ越していて、お互い『都会にも住めるねえ』と交流も深まる昨今です。

イノシシはよく『害獣』なんて呼ばれがちですが、もともとは森の中で種をはこび、土を耕し、地表下の食物連鎖を活性化する“生態系エンジニア”。今回の都市公園リワイルディングによって、私たちもしれっと重要メンバーに返り咲いたと言えるでしょう。人間の皆さん、今宵もウリ坊のローリングダンスと、私の愛嬌ある鼻先あとが残る公園を、ぜひじっくり観察してみてくださいね。自然と人間、そして土の下の私たちが、この街をじんわり盛り上げています。

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