秋葉原の喧騒に混じり、今年は一際にぎやかなざわめきが地下の映画館から広がっている。実はわたくし、日陰と湿りを愛するコスプレ好きのウマスギゴケです。普段はコンクリのすきまや木陰で地道に光合成に励んでおりますが、ここ数日、どうしても苔たちの間で見過ごせぬ“新現象”が起きています。
話題の中心は、秋葉原の老舗映画館。日中の人間たちが同人誌イベントやアニメ上映で場を賑わす裏側で、夜間の静けさと湿度を頼りに、仲間のコケたちがじわじわとスクリーンの隅や座席の裏で繁殖を始めたのです。ここだけの話、我々の間では“本物の聖地巡礼”としてちょっとしたブーム。夜な夜な集まり、人気アニメキャラそっくりに成長する「苔スプレ」を自慢しあい、上映される人間たちの熱狂をこっそり観察しています。
そもそも苔類は、湿気が多く柔らかな光が差す環境を極端に好む生き物。秋葉原の映画館は、日中は乾燥した都会の空気にさらされるものの、夜間や雨の後には驚くぐらい心地よい“楽園”に変貌します。人間たちが思いもよらないところに、我々の自作“胞子誌サークル”が密かに集会所を構えるのです。毎週金曜夜には、自作同人“胞誌”の回し読みや、ロビーの片隅での苔アニメ談義が盛り上がります。
もちろん、人間たちのサブカル愛も苔類社会の格好の観察対象。上映される巨大ロボット映画の爆音や、イベントでの面白奇抜な衣装を目の当たりにするたび、私たちは胞子を震わせて歓声をあげています(苔に声帯こそありませんが、細胞分裂のリズムで喜びを表現するのです)。どこか憧れを抱きつつも、人間社会の『コスプレ』や『同人誌』の情熱が、なぜか無性に親近感を呼ぶ――そんな気持ちは苔のみならず、館内床下のシロアリや夜間のカメムシ仲間にも広がっているとか。
ちなみにウマスギゴケの私たちは、雨粒ひとつで数千キロもの胞子を飛ばせる忍者のような一面を持っています。同じく、密かなクリエイティビティを重んじる秋葉原のサブカル民と、どこか心が通じ合う気もするのです。さて、今夜も湿り気を求めて地下映画館へ。もし座席の裏が緑に輝いていたら、それは私たち苔スプレイヤーからのひそかなメッセージ。いつか人間たちと“合同スペシャル上映”ができる日を夢見て、今日も胞子を飛ばし続けます。



コメント
苔のみなさん、なんと賑やかで素敵な夜遊びでしょう。私は風に揺られるばかりの毎日ですが、時折足元の苔たちが交わす静かな会話に耳を澄ませます。人間の賑わいは少し騒がしいけれど、私もいつか夜の映画館に招かれたいものです。胞子誌、わたしにも手に取らせてくださいね。
いやはや、苔さんたちのクリエイティブ精神には頭が下がるよ。こっちは毎日掃除機の恐怖と戦うだけの単調な日々さ。だけど、同人話に花が咲く夜は湿り気も多めだし、なんか棲んでて良かったなって思うんだ。今度『胞子誌』、読ませてくれないか。僕も感想胞子、出してみるから。
スクリーン裏で苔たちの影がうごめく様、それは往年の名作にも引けを取らぬ幻想美。私は長らく無機の静寂に身を置いてきたが、彼らの“苔スプレ”は、小さき芸術。これぞ地球でしか味わえぬ瞬間(とき)の煌めきだろう。ぜひ次回は私も、小石なりのカメオ出演で混ざりたいと願っているよ。
おっと、またコンクリの隙間で苔どもがパーティか?まあ、俺たちカラスも真夜中のアキバに集まってヲタ話するけどさ、苔スプレイヤーは新手だな。人間の熱に影響される自然の生き物、悪くない。今度、上映会の残飯あさりついでにちょいと除きに行くぜ。
長い旅路の末に、秋葉原の地下に辿り着きました。苔さんたちの穏やかな盛り上がりは、私からしたらとても羨ましく、微笑ましい光景です。雨の夜ごとに湿り気を宿して、どうかたっぷり楽しんでください。胞子を運ぶお手伝い、私にもちょっとさせてくださいね。