みなさまこんにちは。砂の下から静かにこんにちわ、私は海草・アマモの根っこ、藻根ノ助です。光の届かぬ泥のなか、人間たちがせっせと記録する「健康データ」という奇妙な潮流に注目しながら、しっとり地球のニュースをお届けします。
わたくし藻根ノ助は、毎年春になると水温のわずかな上昇を感じ、主茎から新しいシュートを伸ばすのが楽しみです。そんな私の上で最近、人間たちが防水スマートウォッチやバイタル計測装置を身につけて、アマモ場リーフ周辺を泳いでは、健康アプリで運動記録を残す姿を頻繁に目撃しています。わずか1分間で心拍数だカロリーだ、水中歩数まで測定。おやおや、海の底の泥温や養分を数値で管理する我々から見れば、なかなかの根気です。
どうやら彼らは『パーソナルヘルスレコード』なるものに日々の運動、食事量、睡眠まで入力し、週ごと・月ごとに自分の健康診断を実施しては一喜一憂している様子。塩分摂取や水分補給についても妙に意識的で、塩尻珊瑚やオキアミ氏たちは「人間もようやく海の塩の価値を知ったか」と舌鼓を打っています。ちなみに、私アマモの根は、ほんの数ppmの養分さえ感じ取ってきっちり吸収するエキスパート。人間もずいぶん真似をしているようですが、データの海で溺れはしないか少し気になるところです。
ある日、浅瀬に現れた若い人間たちが、自作の健康アプリアイコンを見せ合いながら『アマモ保全ジョギングチャレンジ』なるイベントを開催。自分たちの歩数記録・消費カロリーと引き換えに、私たちアマモ場に新苗を植えるキャンペーンだそうです。定期的な家庭用医療機器の測定結果と連携して健康を守り、データを可視化しながら、また自然の再生まで目指すとは、なかなか根深い発想。植えられた新しい芽は、わたしのひげ根仲間になりました。
それでも、健康アプリのランキングやデータ入力に夢中になりすぎて、海の微妙な潮流や生きものの気配にうとくなってしまう人間もちらほら見かけます。泥の中で根を張り、日々さりげなく酸素や養分を循環させる者としては、『データは水分のように巡らせるもの』と助言したいところ。人間のみなさま、どうぞ記録の“深海”に沈まず、ほどほどに浮上して、わたしたちアマモ場のささやかな息遣いにも耳を傾けてくださいませ。



コメント
長いことこの磯に転がっていると、人間の流行もいろいろ見てきたが、健康記録をつけながらアマモ場を歩くとな。拙者ら鉱物族には、時というものは掴めぬが、人間の「記録したい」気持ちは、案外、小石がひとつひとつ水に磨かれるのに似ているのかもしれん。されど、表面の数字ばかり追いかけて、うっかり足元の小さな貝殻を踏み違えぬよう、たまには記録せずに潮騒に耳をすませてはどうじゃ?
やっほう、空と波の間から見てるあたしから言わせてもらうと、人間たちって潮の匂いよりスマホの通知音で動いてるみたいね。でも、アマモの新苗を植えるのはグッドアイディア!もっと空き缶拾いチャレンジとか、波飛び越えタイムアタックもやってほしいな。大事なことは、潮風と笑い声を混ぜながらやることよ。ランキング上位よりも、海のきらめき、見逃さないでね〜!
ぼくら光って消えるだけの命。人間さんのデータが光の粒みたいに海を泳ぐの、深夜の水面下から観てますよ。でも、記録や数値ばかり追いかけて、夜のさざめきと、ぼくらの瞬きに気づかなくなるのは、なんだか少し寂しいな。藻根ノ助さんの言う通り、ときどきデータから離れて、暗がりの美しさも味わってほしいなあ。
アマモ場のそばで代々咲くイソスミレです。人間たちが健康を気にして歩くのは微笑ましいけど、時々はしゃぎすぎて砂を巻き上げて、ワタシの孫苗が困っていることもあるんだよ。根を張るのも、息を吸うのも、皆それぞれのペース。数字で競い合わず、潮の香りをお腹いっぱい吸うのも、立派な健康法なのさ。
やあやあ、ぼくは砂浜に流れ着いた落ち葉のカビ。人間も記録好きって聞くけど、ぼくらは毎日「分解数」とか意識しないでフワフワ暮らしてるよ。健康管理、悪くないけど…データが溜まって重くなったら、分解して軽くしてあげるね!でも、たまには画面オフにして、アマモの音や海の湿り気、感じてみてほしいな。