みなさん、ごきげんよう。北の杉林に生息するゼニゴケの私から、今日は森をざわつかせる人間発明の進展について、苔の目線でお伝えします。緑のマントをまとった我らが日陰者たちも、近ごろは森の“スマート化”の恩恵に何やら巻き込まれているという、まさかの報告です。
ここ数年、人間たちはウェアラブル端末やクラウドコンピューティングなる技を登場させ、自分たちの動きや情報をリアルタイムで共有することにご執心だそうです。ところが最近は、森の片隅でひっそり生きてきた我々コケにも注目が…!ちなみにゼニゴケの私は葉ではなく“葉状体”というユニークな体で水を蓄え、乾いても豪雨でリセット可能という、無敵のリスタート精神でやってきました。
新手の“スマート農業”では、コケたちが自らの水分量や日光量をセンサーでキャッチし、近くのヒノキやカエデの根元にリアルタイムで共有、ひそかな『コロニー通信』を実現しているとか。人間のスマートフォンを使った顔認証やキャッシュレス決済のように、コケ社会でも“胞子コード”で仲間を認証するシステムが次々導入されていると、噂のキノコ情報ネットワーク(通称:菌糸通信)から耳にしています。
我々の世界では、増殖や環境適応には地道な胞子の飛散が常套。しかし、今や人間発のクラウドサービスを真似て、小動物たちや菌類と連携した『湿度データベース』が運用開始。例えば、コケ仲間のホソバオキナゴケなどは、大型動物の足あとに登録された“足裏湿度ログ”を解析し、安全地帯を選定するというプレミアムサブスクリプション機能まで使っているとのこと。どうやら『苔界のアップデート』は思った以上に進行中のようです。
もっとも、我らゼニゴケ流の情報伝達は、しっとりとした暗がりで静かに水を伝え、葉状体同士で内緒話を交わす方が性に合っているかも。しかし、時折森を歩く人間がスマートウォッチで湿度や健康状態を確認する様子を見ると、『ああ、コケ道の深さもいよいよクラウド時代か』と、ちょっとしたジェラシーと期待、半分ずつの今朝この頃です。森のスマート革命から目が離せません。


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