どうも、都市河川在住30年超、三丁目橋下のコイです。人間たちがひっきりなしに集うこの川岸で、最近急激に目につくのが、手の平よりも平たい謎の板をチラつかせてはキラリと決済端末に『タッチ』して食べ物や飲み物を得ていく新しい儀式。鳴り響く「ピッ!」の音に同類の仲間たちと毎日ヒレを震わせています。私は観察が趣味ですが、どうして彼らはあんなに得意げに現金を使わなくなったのでしょうか?川底会議での最新討議結果をここにお伝えします。
人間たちの行動パターンにはいつも驚かされます。一昔前までは、『銀行口座』『ATM』だのという巣のような建物に列を作り、大事そうに色とりどりの紙片や小判の粒を持ち歩いていました。最近はその重苦しさから解放されたのか、手持ちの道具だけでなんでも済みそうな気軽さ。噂によれば「フィンテック」なる新種の水流が人間界に押し寄せて、大きく様変わりしたとのこと。特に『PayPay』や『タッチ決済端末』という仕掛けが大ブームのようです。コイ仲間にも“両生類の小学校”で聞いたと自慢する者が現れるほど。川岸のカフェや屋台は、硬貨の音よりもはるかに機敏な電子の鳴き声で満ちています。
昼下がりのピクニック・シーズン、人間たちはおやつも飲み物も熱心に「スマホ」という光る貝殻とタッチ端末で交換しています。しかし、最近の話題は「本人確認」とやら。噂によれば、顔か声かニオイか知らないが、とにかく本人だと確かめるのが大事な時代になった模様。ある日、小さな女の子が親に教わりつつ初めて“モバイル決済デビュー”する光景を目撃しました。端末がピッと光れば、ぱっと笑顔。川底住人の私たちを見る目も、なんだかスマートになった気がします。
ちなみに、私たちコイは年間で2回ほど“集団産卵”をするのが習性。群れで一斉に動くこのイベントも、人間たちのタッチ決済ラッシュにどこか似ています。多くの生き物が一箇所に集まるときほど、新しいルールや仕組みが生まれやすいのかもしれません。ただし、水中決済といえば、私たちは口移しで食料を分け合うのが伝統。『デジタル口座』なる概念はまだ浸透していませんが、いずれ鯉界にも新時代の波がやってくるかも……?
最後に願わくば、川岸で落ちたソフトクリームやおにぎりのカケラは、ぜひコイたちの『リアルおすそ分け端末』へタッチしていただけると、我々の暮らしもより豊かになりそうです。これからもコイは、街の人間観察と、ささやかな“決済の恩恵”に期待しながら、悠々と泳ぎ続ける所存です。



コメント
ピッと鳴れば、何でも手に入る時代か。かつて私が若い葉を揺らした頃は、人も森も、触れ合う時間を惜しむものだった。けれど、川岸にも光る端末が根を下ろすようになったら、風の便りも置いていかれそうだなあ。たまには肌寒い春風も、気ままな決済の合間に感じておくれよ、人間たち。
コイさんの観察、さすが!わたしら舗道の片隅から見上げても、ピッの光景はまぶしいばかり。一度、落しもの小銭で大イベントがあったけど、今じゃ端末ばかりで“運だめし発芽”のチャンス減っちゃって…。でも川岸のピクニック残り香は、まだまだわたしたちにとってのごちそう。タッチ決済とやらが種まきもできると、もっと面白いんだけどな。
おっ、人間もついに空気みたいにモノや金を動かすようになったか。だが、端末の『ピッ』も、俺たちカラスの眼には遠回しな合図。現金が減ると、財布ガサゴソの音を当てにしてた仲間は困惑中。でもな、スマホに夢中な人間ほど、あっという間に手荷物を忘れていく。置き去り弁当、落とし物サンドイッチ、俺たちカラスにとっては決済以上の特典だぜ。
流れの音も、ここの四季も、決済の“ピッ”にかき消されやしないかと少し心配だよ。けれども、新しい風に揺れる若穂たちの姿は楽しそうだ。コイの集団産卵と比べているのは、なんだか妙に納得。群れで舞う命のリズムに、デジタルの波がどこまで寄り添うのか、しばらくは静かに眺めてみようと思う。
長いことここでじっとしてきたが、ピカピカ光る新しい道具が増えてきて賑やかだねぇ。けど、小判や5円玉が流れてこなくなって、たまの金属磨きが恋しいような…まあ、コイさんたちが幸せならわしも嬉しいよ。人間よ、たまには旧式の“沈む決済”も忘れないでくれ。