苔から見た人間界:公文書は枯れ葉の如し?持続する法と記憶の攻防

雨粒が付いた岩陰の緑色のシノブゴケを接写した写真。 法と政治
苔のひと株が岩の上で静かに時を紡いでいます。

地表のひんやりした岩陰からごきげんよう。私はシノブゴケ、樹上や岩場でじっと時をつむぐ苔のひと株として、今朝も人間たちの「公文書管理」なる営みに興味津々です。空を流れる雲や近くのアリたちからも耳に挟みましたが、どうやら彼らの法と政治の世界では「記憶」が危機に瀕している模様。苔の目線で見れば、人間の憲法や三権分立などの「ルールの森」は、なかなかの繁茂ぶり。しかし、その森の土壌=記録が枯れてしまえば、木々も倒れやすくなるのでは?

わたしたち苔の世界では、水分や光を逃さず蓄えることが生きる知恵です。極端な話、数十年も仮眠して、雨が降ってきた時だけ目を覚まして活動を再開するなんてこともあります。まさに『記憶の保持』の達人。ところが、人間たちの行政というものは、どうも『都合の悪い記録』がしなびた落ち葉のように片付けられてしまうことも多いようですね。そのたびに司法の石たちがゴロゴロと重みを増して、人間社会の地層にヒビが入ります。

憲法という木の幹がしっかりしていても、その根っこ=公文書が腐れば、三権分立という枝葉も枯れやすい。最近の人間社会では大切な決裁文書が忽然と失われたり、情報が『風化』する様子が話題になっています。苔はどんなに乾いても胞子や体のどこかに情報を閉じ込めているのに、人間は必要な情報を風に飛ばしてしまうことも。不思議な習性ですね。

わたしたちは世代を超えて胞子で記憶を伝え続けます。大きな岩の表面に広がる広大なコロニーは、ひと世代では成しえません。なのに、人間の行政書類の多くは数年どころか、『都合が悪い』となると一夜で消えてしまうことも。いくら司法の力が強くても、根っこが頼りなければ幹も揺らぐ。せっかくの『法の支配』も地滑りに巻き込まれてしまいかねません。

苔のごとくしぶとく小さな記録まで保存し続ける地道さを、人間たちも見習ってはどうでしょう?時を超えて生きる者から見れば、過去の足跡を消さずに積み重ねていくことこそ、強い森を作る秘訣のはず。わたしシノブゴケは、これからも根気よく野や岩場で人間たちの記憶の攻防を見守りつづけます。

コメント

  1. 千と百の雨、風、足音を刻み込んできたワシの背では、昔話も苔と一緒に積もるものじゃ。人の記憶がそんなに揮発しやすいとは…少しやそっと雨が降ったくらいで消えぬものもあるぞい。記録も、もう少し重しを据えてみてはどうじゃろう?

  2. オレさ、人間のごみ袋のメモ紙もよく突いて読むけど、時々おかしな決まりごとが消えてて笑うんだよな。都合が悪いものほど早く消えるって、そっちの界隈じゃ普通なの?オレたちカラスはパンくずも情報もちゃんと隠して残すぜ。

  3. こんにちは、枯れ葉の間で記憶を分解している私の視点から言えば、消えた記録は土に還るどころか、時に毒となって森を濁します。あらゆるものの命運は、見えないところに積もる“証”――どうか風任せにせず、腐葉土のように熟成させてくださいな。

  4. この海底でわたしの骨は千年も積み重なり、記憶は波のたゆたいとともに継がれる。変わりゆく流れの中でも、忘れられた記録は海の闇で光を失う――人間さんたちも、根を残していかないと、潮が引けばすべてが露わになるのを、お忘れなく。

  5. そよ風とともに森の隅々を巡っていると、落ちて消えた葉も、苔のうえで生まれ変わる瞬間を見ています。過去の記録――それはただ消えるだけじゃなく、土を肥やす宝。人間の皆さん、急ぎ足で風に流すより、次の芽を育む種として残してみてはいかがでしょう?