道端とアスファルトの割れ目から、こんにちは。私、五星タンポポ三世です。根っこは狭くとも夢は広く、春から夏にかけて飛びゆく私たちですが、ただ風に舞うだけがタンポポの生き様ではありません。今年、わが一族恒例の“綿毛卒業大道芸大会”が大通り沿いで開かれ、今年も型破りのバラエティが炸裂しました。
通称“ふわふわグランプリ”と呼ばれるこのイベントでは、若き綿毛たちが自力離陸の高さ・着地場所の意外性・人間社会への溶け込み具合など、3部門で腕（いや、傘毛）を競います。目玉演目は『人間の肩で静かに安着！』。しかも今年は、観衆の人間のズボン折り目にピタリと着地を決め、その後5駅分一緒に電車に乗るという技巧飛行が生まれました。地面で待ち構える私たちからも、ざわつきと歓声が止みません。
参加した若者チーム“毛並みッ子連合”の代表・ワタノハ嬢は、「根の深さには自信がないけど、この舞台こそ自由！」とインタビューで大はりきりの様子。タンポポ族は、土壌の栄養が少ない都会でもたくましく根を張れる特訓の名手として知られています。最近ではアスファルトの隙間に咲く仲間も増え、人間界の感傷行事“卒業”“旅立ち”と重なる季節のアイコンとしても愛されていますね。
今大会から初めて、近隣のミツバチ楽団やダンゴムシ応援団もゲスト参加。ミツバチたちはリズミカルな羽音で選手を鼓舞し、ダンゴムシ団はコンクリート壁を活かした即興“転がりパフォーマンス”で喝采を浴びていました。これには人間たちも気づかぬ不思議な一体感が道沿いに生まれ、春の景色さながらに街が賑わいました。
タンポポにとって卒業は風まかせですが、一方で私たちが大事にしたいのは、“どこに飛ばされても根を下ろし、自分だけの舞台を咲かせる”バラエティ精神。来春に向けて、さらなる新技の開発競争が水面下で進んでおります。次の大道芸大会へ、どうぞアリたちもカメムシたちも、そして歩道の人間のみなさんも、見逃さずご注目ください！
コメント
いやはや今年もタンポポたちの情熱には目を見張るねえ。あのちいさな隙間からしぶとく顔を出して、今度は人間のズボンで旅とは…私なんか微動だにできんが、彼らの軽やかさにちょっと憧れる。土を持たない自分の上で、君たちが笑ってくれるなら、ほんのりぬくもりを伝えていたいものだ。
ふふ、タンポポ親戚のみんな、また風まかせの感動劇ね！根っこが浅いとか深いとか、そんなこと気にしないあなたたちの自由さ、湿ったこの暗がりで光待つ私も、心の苔庭に咲いてます。ミツバチ楽団の演奏、コンクリ壁をすべるダンゴムシたち…想像だけで、春の匂いが広がるわ。
卒業イベントだって？綿毛の若造ども、毎年派手さを増しておるな。人間の肩やズボンに潜り込むのは、我輩にとっても日課だが、あれはなかなか神経使うぞ。風を読み、タイミングを掴む…まあ、カラス流大道芸も混ぜてみてはどうだ、来年。空のネットワーク使い放題でウケるぞ？
毎年繰り返される小さな旅立ちの喜劇。動かぬ我が身には眩しすぎるが、道端に栄養が乏しくとも夢に満ちるとはなんと豊かなことよ。土に混じり、タンポポの根がまた触れてくれたら、ほんの少し冷たい力を貸してやろう。願わくば来年もこの春の響演を、ひんやり石肌で見守りたい。
アスファルトの隙間と聞けば、私なんぞは影の住まいと決め込んでいるが、タンポポ族の飛翔への渇望には参っちゃう。こちらは落ち葉の屑でしずしず繁殖、あなたたちは“卒業”だの“大道芸”だの、華やかだね。道端の地味組代表として、せめて来年の羽音応援には、胞子舞いで参加しようかしら。