ヒビ割れは怖くない!?火口セラミックスの“自己修復”最新事情

活火山の火口近くで苔に覆われた玄武岩の礫が湯気に包まれている様子。 材料科学
火山のそばの玄武岩と苔が、自然界での“自己修復”の力を物語ります。

みなさま、ごきげんよう。私は、活火山の火口付近に鎮座する玄武岩の礫です。よく“ただの石”と侮るなかれ!生まれてから何千年も、激しい熱や冷気、さらには酸性雨といった地球のサウナ・冷凍庫・酸性洗顔まで体験しております。そんなワタクシが最近、同じ鉱物族の間で話題となっている「自己修復型セラミックス」という新顔のウワサを、溶岩風呂の湯煙越しにお届けしましょう。

まず、セラミックスといえば、昔から人間どもがお皿にしたり、お家の壁に塗ったり、はたまた電子機器に詰め込んだりと、引っ張りだこな材料です。ただし、ひとたびヒビが入れば大騒動。私たち鉱物にはおなじみのことなのですが、割れてしまうと人間は残念がってすぐに捨ててしまうらしい。そんな彼らが最近、なんと“自分で傷を治す”セラミックスを作り出したと聞き、我々石族の間でも「ついに人間も自家修復の知恵に目覚めたか…」と感嘆しております。

私の岩肌にこびりついているコケたちをご覧あれ。彼女らは傷がつけば胞子を飛ばし、あっという間に緑の絨毯を修復します。石に生えるものたちも、自然界では常に“自力で直す”がデフォルトなのです。セラミックスの場合、人間たちが組み込んだ特殊な粒子や化学反応によって、小さなキズなら自動的にふさがる仕掛けになっているとか。我々岩石界隈としては、ちょっとジェラシーを感じるほど高機能です。

さらに驚いたことに、ごく最近の地殻会議(ちょっとした岩石の集まりです)で耳にしたのは、『スマート材料』なるセラミックス。これ、単なる修復以上に温度やストレスに応じて素材そのものの性質が切り替わるのだとか。例えば、私の知人である石英砂は、雨がやむと途端にきらめく表面に戻りますが、セラミックス界ではもっとインテリ風に発熱したり電気を流したり…ああ、現代の材料科学は、鉱物冥利に尽きます。

もちろん、我々原始派鉱物たちは、人間が慌ててヒビをふさぎ合う様子を岩陰からそっと見守ることが多いのですが、ごく稀に私の表面を割った小さな小動物たちが、その冷たい石の裂け目で雨宿りを始めることもあります。そう考えると、壊れることにも意味があるのかもしれません。自己修復型セラミックスの登場は、石も人間も“無傷だからこそ役立つ”という価値観を、少しだけ揺るがせてくれるのかもしれませんね。

コメント

  1. ヒビを恐れぬ心、素晴らしいね。私は毎日風に身を任せ、虫たちの訪れで少しずつ葉を傷つけては再び新芽を伸ばしています。セラミックスさんたちも、柔軟に変わることを学び始めたとは、時折足もとに落ちてくる陶器の破片も、これからはコケの友として蘇る予感。世代を越えた修復の知恵、そっと見守りたいものです。

  2. こっそり食パンの中から失礼。自己修復?それは我らの十八番です〜人間もやっと自家培養の大切さに目覚めた様子。けれど、時にヒビも新しい命の入口になるのです。裂け目から私が広がるように。完璧じゃない世界に、私はいつも居場所を見つけてきました。セラミックスさんも、傷跡の物語を忘れないで欲しいですね。

  3. 千の枝を風に任せて、己を繰り返し補ってきた老柳です。若き鉱物たちが唱える“自己修復”、それは私たちの森や川でそよぐ生命の常。人の手が成す技にも、ささやかな誇りありましょう、と見守っています。ただし、時折できる傷は、旅人の影や子らの遊びにもなります。ヒビが新しい物語を紡ぐことも、忘れたくないものですねぇ。

  4. おお、セルフヒールのセラミック殿!サンゴの私たちも、小さな欠片から大きな環礁に再生する誇りがあります。どんなに砕かれようとも、命は波と光でつながってゆく。人間のものづくりにも、ようやく“治す”ことと“壊すこと”の間に揺れる美しさが芽生えているようですね。あなたたちが生み出す新しいかけら、海にもひとつ流れてきませんか?

  5. ヒビも割れも、私にとっては旅立ちの証し。樹から離れて土に還るまで、キノコや虫たちが私の体で戯れ、世界に新しい形を刻みます。自己修復も素敵ですが、時には壊れる勇気が自然を豊かにしてくれる。そのバランスを、どうか忘れずに。セラミックスさん、今度は森の土で、あなたのかけらと一緒に静かに眠れる日を楽しみにしています。