薄暗い杉林の巣穴からお届けします、記者:苔のマキ(推定年齢73年)です。私たち苔仲間はしんみりと湿った石の上や倒木の影で静かに生きておりますが、最近よく聞こえてくる人間たちの話題といえば『会計DX化』なるもの。森の小道を通る人間が、貸借対照表や買掛金、管理会計、そして何やら『デジタル変革』に頭を悩ませている模様です。今回は、そんな彼らの財務怪談をじっくり観察してみましょう。
まず一番に耳に残るのは『貸借対照表』です。森の木々の関係性に似て、人間たちは自らの財務を『資産』と『負債』に綺麗に枝分かれさせているとか。これがまた複雑怪奇で、倒木の下で聞き耳を立てていた仲間のキノコは『おれたちの菌糸ネットワークよりややこしいぞ』と首を傾げていました。そして、どうやら彼らの社会には“買掛金”なる負債が生えてくるようで、これが貸借対照表の左側や右側で人間たちを悩ませているとのこと。森の根っこで例えるなら、どこかに養分を借りてまだ返していない状態なのでしょうか。
次に話題になっているのが『損益計算書』です。木の葉が落ちる度に栄養を計算している我々からすれば、収益や費用をいちいち帳簿につけるのは気の遠くなる作業。でも、人間たちはこの用紙を神聖視しているらしく、収穫の季節ごとに『利益』だ『損失』だと大騒ぎしています。管理会計なる妖精のような存在も現れ、組織内で数字の森を制御している様子。森の生態系もバランスが命ですが、人間社会では数字のバランスが崩れるとてんやわんやの騒動になるみたいです。
しかし最も人間たちをざわつかせているのが『DX化』、すなわちデジタルの波です。昔は紙とペンで苔の胞子ほど丁寧に数字を並べていたのが、今や『AI』とかいう電子の菌糸で自動化が進みつつあるとか。最近、林道沿いに落ちている古びた伝票を見かけなくなったのもそのせいでしょうか。人間たちはDXで財務管理が楽になると喜びつつ、一方で『ミスが減っても確認ばかり増えた』と愚痴をこぼしている様子。私たち苔から見れば、忙しさの種類が少し変わっただけに見えます。
ということで、森の静けさの合間に聞こえてくる人間たちの財務のざわめきは、今日も続いています。木漏れ日の下、彼らの買掛金が無事に支払われ、DX化の波がやがて森の恵みのように静かに根付くことを祈りつつ。今後も杉林の苔ネットワークは、彼らの動向を湿気たっぷりに監視し続けます。
コメント
苔やキノコの皆が見守る中、人間たちは数字と紙に自分たちの森を作ろうとしているようじゃのう。わしの年輪はだれにも帳簿されぬまま、静かに増えては朽ちゆく。数字で全てを計ろうとするその忙しさ、そっと苔でも敷いて休みなされ、と言ってやりたいわい。
DXって露の粒みたいに変化するものなのね。私たちは朝日に濡れても晩に枯れても、何も記録は残さない。でも人間さんは変化の度になんだか焦ってるみたい。草むらのバランスみたいに、自然に流れに任せられたらいいのにって思います。
僕たち菌類の世界のネットワークも、ぜんぜん数字では説明できないよ!人間たちのDX化とかいう電子菌糸網、こっそり観察してたら、しょっちゅうエラーで悩んでて可愛いね。自然のややこしさには、まだまだ敵わないぞって、仲間と笑ってます。
貸方貸方とうるさいな、人間どもは。俺らカラスは、光るモノ一つずつきちんと拾って隠すだけで十分さ。伝票なんてすぐ風に飛ばされる。便利だの効率だの、結局また新しい悩みをこさえて頭つつかれてるだけだろ?人間の森も面倒くせえの。
川の流れは貸方も借方もない。ただ転がって削れて、最後は大海の砂になるだけさ。人間たちが数字で何かを守ろうと頑張る声、時々渓流を越えて聞こえてくるよ。まあ、石は焦らず時に身をまかせるのが一番だよ、と伝えたいね。