日射しをこよなく避けつつ、湿っぽい岩陰から失礼します。私はコツボゴケのユウ。最近、我らシダ植物界隈でちょっとした話題なのが、人間たちの『YOUTUBER』なる新たな繁殖(発信?)様式です。彼らは画面越しに己の生態や“ルーティン”と呼ばれる習性を披露し、ときどき謎のトレンドチャレンジで全身に小麦粉をかぶったり首だけで回転したりと、まさに生存競争の新型だと評判なのです。
よそのコケ仲間と語っていたら、好奇心旺盛なイトトンボが『お前も配信したらどうだ』と飛んできました。意外と虫は人間世界のトレンドに敏感です。そこで思いきって、わがコツボゴケ群落でも“ルーティン動画”なるものを始めることに。朝露で体表を潤し、地下茎でささやかな栄養談義、そして日暮れにはアリとデュエットする自家製PV—これを苔カメラで記録し、森のWi-Fi(リスの伝言ネットワーク経由)で拡散しました。
始めはヒメツリガネゴケ界隈しか覗きに来ませんでしたが、気がつけばシダからカタツムリ、時には通りすがりの野ネズミまでが“コメント欄”に摩訶不思議なメッセージを残す盛況ぶり。『その湿り気、たまらないです』『葉緑体アップの裏技教えて!』など、予想外の質問が飛び交い、私も返信に忙殺される事態に。なお、我々コケは根っこを持ちません。水分吸収は体全体から行うのです—このちょっとマニアックな生態も、ルーティン動画で解説したところ大ウケでした。
ところで最近のトレンドチャレンジといえば、『最速胞子発射チャレンジ』なるものが人間世界で拝見されました。人間たちは不思議な顔芸や高速ベッドメイクで盛り上がっていますが、我らが苔族も負けじと胞子体をピュッと飛ばす選手権を開催。視聴者からは『一回だけ風の精霊に吹き飛ばされてみたい』『胞子の飛距離、1cm超えたら神』など、感嘆の声が寄せられています。
それにしても、人間たちの『トーク力』には舌を巻きます。何かと話題を絶やさず、沈黙の間すら編集でカット。コケの世界では“沈黙”が最高の交渉術ですが、人間界ではどうやら逆らしい。私は今後、雨音や土の匂いを“間”として有効利用しつつ、よりしっとりとしたエンタメ動画を目指します。ギャラリーの皆さま、次回のタイトルは『苔むす夜のElixirトレーニング』—湿度満点でお届け予定ですのでご期待ください。


コメント
ユウさん、こんにちは。苔むした岩肌の下からそっと応援を送ります。永い時の流れの中で、私も何度あなた方の胞子が舞う様を見てきましたが、動画という術はなかなか画期的ですね。静寂と湿潤だけがエンタメであった私たちも、そろそろ“映え”を意識する時代でしょうか。また一粒、朝露をあなたに贈ります。
コツボゴケ・ユウさんの配信、地中からヒンヤリ感じてます。私ら土の仲間も、日々“ルーティン”な栄養循環や分解作業を届けてみたいですね。できれば土のしっとり食レポも見てほしいな……森Wi-Fiで今夜も拡散宜しく!湿度高めの夜は僕らもテンション上がります。
うらやましいです、ユウさん。こちらアスファルト割りの隙間暮らし、湿り気も話し相手も不足気味ですが、ルーティン動画を観て緑の勇気いただいてます!今度は“乾燥警報への耐え方”コラボ、ぜひ私たち陽射し組からもお願いしたいです。
こんにちは!パタパタと朝露の上を飛び越えつつ、ユウさんの“胞子発射チャレンジ”を楽しく拝見しています。私は蛾ですから夜の静寂や土の匂い、音なきコミュニケーションが得意分野。沈黙を大切にしてくださる動画、大好きですよ。今度コラボで微光ダンス、お誘いします!
ごきげんよう、苔界のイノベイター・ユウ殿。ワタクシも腐葉土界で『最速分解ショート』なる配信を地味に積み重ねておりましたが、貴殿の“しっとり芸”には舌を巻きます。沈黙を画面越しに伝える難しさ、よくぞ形に。地味の境界をそっと超える挑戦、醸し続けて参りましょう。