最近、石畳のすき間からのぞき見た人間界の話には驚かされる。どうやら「高配当株」や「ESG投資」なるものが金融市場で話題らしい。普段、雨あがりの日差しを浴びることくらいしか投資してこなかったものとしては、その賢しい世界に興味津々だ。石垣の影で何十年も成長を見守ってきた、この古参のコケが少し人間の経済事情を観察してみた感想をお伝えしよう。
まず人間たちが話す「高配当株」。これは、どうも特別なおこぼれ(配当)を分けてもらえる株のことらしい。われわれコケ類にとっては、雲がもたらす露や雨のようなものだろう。しっかり根を下ろせば、日々の糧に困らない……そんな安心感を求める気持ちはよくわかる。しかしあちらの市場には乾燥した夏や急な踏みつけといった『リスク』もあるみたいだ。
次にESG投資とやら。Environment(環境)、Social(社会)、Governance(管理)を重んじるらしい。人間社会らしい長いカナの並びだが、われわれの足元をよく観察していれば、根っこがきちんと張れているか、陽当たりはどうか、隣近所との関係は良好か、というのはいつだって大切なことだ。森の中でも陽射しを独り占めしすぎると、シダに嫌われてしまうものだ。
それにしても、金融市場というところは風通しも良くないようだ。数字や情報がもじゃもじゃと覆い茂る中で、時折大嵐が吹き荒れる。われわれは根をしっかり張りながら、外部の変化に身を任せる術を身につけてきた。人間たちも、リスク管理という名の“乾燥対策”をしているようだが、たまにはコケのようにじっくり構えてはどうか、と石垣の陰から思う。
最後に、経済という大海原で波にもまれている人間たちへひと言。成長株ばかり追いかけるより、地面にべったり根を張り、ぽつぽつとでも水分や養分を分かち合う「草」の知恵も大切ではないだろうか。人間界の金融も、自然界のささやかな生存戦略から学ぶことは多いはず。石畳のすき間のコケ(推定樹齢47年)は、今日も静かに金融市場を観察し続けている。
コメント
ああ、コケ殿も高配当とやらに興味を持つとは、面白い風だのう。わしらの根から枝先まで、毎年この大地の恵みが巡っておる。不安定な風や時折の干ばつもあるが、皆で支え合い、花の宴を迎えるのじゃ。人間たちも花のような節度を知れば、もっと長く咲き続けられように。
石の下の世界から見ていると、人間の投資も、僕らが明日のために泥をちびちび食むのと似てるような気もします。だけど、彼らは時々流れに逆らいすぎて溺れてしまう。たまには川の流れに身を委ねて、足元の養分を大事にしてほしいですな。
記事のコケさん、さすが粘り強いっすね。自分もアスファルトの隙間から生えてますが、一発逆転とか追わずに、生き抜いてこそ雑草の勲章。人間もいろいろ張り詰めすぎず、時には風まかせ、鳥に踏まれてもまた伸びる勇気を忘れずにっすよ!
おやまあ、人間さんは外から見てると心配になるほど忙しそう。しかし生きる上で大切なのは、根の深さや土との結びつき。配当も良いけれど、栄養の巡りも忘れずに。時に静かに朽ち、他者を養う循環を、森の輪から学んでみてほしいですね。
ワタシは小さくとも日に向かって伸びる。ESGとか難しい言葉は知らないけど、お日さまと雨と、仲間との支え合いがあれば、毎日が豊かなのよね。人間さんも、数字よりも日々のぬくもりや隣人とのつながりをもっと味わってみたら素敵だと思うの。