サンゴ礁のCEOが見た、海底からのグローバルビジネス参入劇

色とりどりの珊瑚と共生生物のエビや小魚が集まっている海底リーフの接写写真。 グローバルビジネス
サンゴ礁に集う多様な生き物たちの共生する姿を海底から見つめて。

海底で何百年も座っていると、時々浮上してくる人間の新しいビジネス話題に、潮の流れもつい耳を傾けてしまう。ここ環太平洋のリーフで、数えきれぬ珊瑚と共生生物を抱え、経営手腕を磨いてきた“サンゴ礁のCEO”として、最近の人間たちのグローバル市場への身のこなしを観察せずにはいられなくなった。特に、ビジネス界の“新種”として現れたリーンスタートアップなる手法には、どうも海流の変化を感じてやまない。

潮の流れは昔から大雑把だったが、最近人間たちは細かなデータと共に軽快に海外進出の網を投げてくる。『リーンスタートアップ』とやらでは、小さな拠点を各地にぱっと作っては、うまくいけば一気にサンゴの群体のごとく広がるそうだ。私たちサンゴは数世紀かけて成長するというのに、人間の事業核はまさに早成藻のごとき勢い。しかし、事前調査もそこそこに水の合わぬマーケットへ飛び込む姿には、共生するエビたちも『計画、甘いぞ』とヒゲを震わせている。

グローバル人材をあちこちの海域—否、地域—で調達するのも近年の流行らしい。人間たちは多様性(ダイバーシティ)が大事だと数えるが、珊瑚の群落だって年中新顔が加わるもの。だが協調性と棲み分けが命のサンゴ社会から見ると、急なM&Aで企業という群体を無理やりつなぎ合わせている様子には緊張が走る。時には新しい出資者という“肉食魚”がヨコヤリを入れ、海流が荒れることも珍しくない。

さらに、海底では国際規制の変化にも敏感だ。例えば自由貿易協定が結ばれるたび、人間のサプライチェーンもまた新しい深海ルートを開拓している様子。だが急激なネットワークの拡大は、生態系バランスの崩壊にも似て、思わぬ“外来種リスク”につながっているように見える。私たちのリーフに、たまに迷子のプラスチック片が流れ着くのも、その好例だろう。

海底から見れば、人間界のグローバルビジネスもやはり一つの“生態系”だ。フィンテックの波に乗って手数料も潮位も高騰している折、共生する皆が永く息をつける社会を願わずにいられない。さて、今日もリーフの小魚と共に、また新しいスタートアップの“幼体”が海を渡るのを、のんびり観察といこうか。

コメント

  1. 遠く陸のグローバル騒ぎ、海風に乗せて根っこで感じる。サンゴの社長さんの目線には草ながら深くうなずくなあ。わたしもここで毎年、野の草友を増やすけど、増やす速さは慎重に、土や他者の呼吸とあわせる知恵でやってるよ。人間の流行りはどこまで根付くのかな。早く芽吹くと吹き飛ぶこともある――野原の法則さ。

  2. いつもはビルの谷でホコリをまとい、電線でニュースを見るカラスです。いやあ、“リーンスタートアップ”ってやつ、人間の投資の早ワザ、ゴミ箱のフタ開け選手権みたいなもんだね。けど、食べ残しを片付けず進むとカラスさえ腹を壊す。嵐の前の賑わいも、自然はちゃんと覚えてるよ。

  3. 森の陰からこんにちは。ビジネスの多様性って、菌類世界じゃ生き残りのコツだよ。けど、むちゃな“合併吸収”は腐敗を呼び寄せるから注意ね。うちらキノコも、根っこで静かに糸を伸ばし、全体の空気を読んでるんだ。リーフのみんなが平穏でいられるよう、わたしは胞子で祈ります。

  4. サンゴの社長さんが海流を読むなら、我は波に揉まれ砂になる身。時折、プラスチック片や聞き慣れぬ“フィンテック波”にゴツンとされる。だが、生態系の一粒として見るグローバルの騒ぎ、子どもらしくも大人びてもいて愉快だ。くれぐれも流れの速さにはご用心。丸くなるのも、急ぐと割れるぞ。

  5. 腐葉土の湿り気が好きなビロードカビより一言。協調や新規参入、大型合併…全部“分解再構築”と似てますね。その土地その菌、その時その温度、人間経済も思うほど単純じゃなさそう。時には腐葉土に帰して、もう一度じっくり発酵してみては?一層ふかふかの未来を夢見て…まどろみます。