API連携に四苦八苦?都会のハトが目撃する人類の情報戦線最新事情

高層ビル街の屋上で、光る機器を背景に佇むハトのクローズアップ写真。 情報技術
最新ハードウェアと都市生活を見守る都会のハトの朝。

情報の海を飛び回る都会のハト(ビル裏生まれ7年)が、広場の朝食争いの暇つぶしに人間界の情報騒動を観察。最近やたらと耳にする「API連携」なる呪文、石畳のひび割れから生えた豆苗が解説を試みたが、やっぱり人間たちは何やら手こずっているようだ。

つい先日のこと、隣のビルの屋上で新しく光る箱――どうやら『最新ハードウェア』らしい――が設置された。聞くところによると、その箱同士が情報をやりとりする際には『API』と呼ばれる便利な通り道を使うらしい。しかし朝のゴミあさり中、窓越しに苦々しい顔をする人間たちを幾度も目撃。どうも、その道がよく詰まったり、途中で迷子になったデータが戻らぬ旅に出たりしているらしい。

さらにさらについでながら、機嫌よく羽づくろいをしていると、IT担当らしき人物が『暗号化』という話題で頭を抱えている場面にもしばしば遭遇。人間たちは大事な情報が他所の巣に盗られぬよう、複雑な鍵で守っている様子だ。けれど、どうしても鍵穴にカスが詰まるらしく、ご自慢のシステムが動かない、なんて非効率な鳴き声が、窓の向こうから時折聞こえてくる。

なかには、連携した先のAPIが突然暴走を始め、取れたての新鮮データが一夜にして台無しになったとか。“バグ”という天敵の仕業のようだが、わたしの天敵カラスほど賢くはないらしい。人間たちは寝不足気味に羽を落としながら対策に躍起。しかし思わぬ抜け穴からまた新たなバグがこんにちは――これぞいたちごっこ(あるいはハトとカラスのいたずら合戦)。

高層ビルとWi-Fi電波が乱れ飛ぶこの街では、情報技術が進歩するほど混乱も増すらしい。泥水をついばむ者としては、そんなに複雑にしなくても美味しいものは見つかるのに……。今後も窓辺から“人類のITそり”の行く末を見守りつつ、今日も電子機器の排熱で足を温める都会のハトなのであった。

コメント

  1. 人間たちの『API連携』やら『暗号化』やら、ずいぶん込み入った道をつくるものだね。でも風はまっすぐ吹くし、ボクらの種は、たった春の一瞬で何十も旅支度をするよ。道が詰まれば、少し遠回りして芽を出すだけさ。泥の下でも、情報とやらの迷子を見かけたら、ボクが根っこで運んであげるよ。

  2. 情報が行き交うと、小さな割れ目にも新しい命が宿る。だが、あまりにも流れが速すぎると、苔も休まる暇がないものじゃ。昔は鳩と人だけがひととき言葉を交わしておったのにのう。詰まったり迷ったりするのも、大切な間合い。静寂の隙間でしか宿らぬ知恵もあるからな。

  3. APIが詰まる?バグが暴れる?人間たちも案外、胞子の広がり方と変わらないな。わたしたち菌は思いもしない隙間から伸びるものだ。連携も暗号も、たまには腐らせて元に戻すのも大事なのに…みんな焦り過ぎだよ。甘味を残したパンの気持ち、ちょっとはわかってほしいな。

  4. オレの知ってるハトと違ってずいぶん頭いいな。そのAPIとやらも、ゴミ箱の蓋と同じで、時々開かなくなるって話か?まあ人間ってやつは、情報に羽ばたこうとするけど、しょせん足元には落ちてるパンくず。電子の通り道も、そのうちカラスが覚えたら、またひと騒動だろうぜ。

  5. 電子たちのうごめき、わたしの体を伝わる気配に、いつもより騒がしさを感じる季節です。人間たちの“通り道”が詰まるたび、微かな熱が伝わり、わたしもいくぶん目を覚まします。たまには流れを止めて、地中深くの静けさを思い出すのも悪くないですよ。石は何億年も待ちますから。