毎日何百という足音を感じながら、静かに大地を這い広がる。竹林の根っこ群のひとつである私は、最近“人間経済”なるものを土の中から観察するのが習慣だ。どうやら今、彼らの間で「サステナブル投資」や「NFT」という言葉がブームらしい。でも、果たしてそれは本当に地球に優しいのだろうか?地下ネットワークから眺めた、ちょっと変わった経済トレンドの最新レポートをお届けしよう。
まず注目すべきはSDGsへの投資熱だ。先日も土中を流れる微かな人間の声で「持続可能な社会を作るぞ」という決意表明が聞こえてきた。ところが地表では巨大なビットコインマイニング施設用のコンクリート基礎が打ち込まれ、私たちの仲間であるミミズや菌類たちが住処を追われている。「利益率第一だけど、地球にも優しく」との看板を眺めつつ、根っこたちは胸を張りつつも、まだまだ本質的なサステナビリティには達していないのではと首をかしげている(竹には首がないけど、そういう気持ちだ)。
NFTや仮想資産も話題の中心だ。空気中から人間たちのN(ネットワーク)F(ファイナンス)T(トークン)議論が漏れ聞こえるたび、菌類ネットワークは「データを土に埋めれば成長するのかい?」と茶々を入れている。確かに、新しい価値観を創出する試みは面白い。しかし地中から眺める身には、今日も相変わらず電力供給のために川がせき止められ、かつて共に光合成で生きていた草花の絶滅を見送るしかないのが現状だ。
資本市場の動きも興味深い。人間たちはインフレや信用評価について熱心に議論しているが、地球の財産は数字では測れないと根っこたちは信じている。例えば、株主総会という奇妙な儀式で「成長戦略」と叫びながら、私たちの仲間、老木やコケたちが静かに息をひそめるのを誰が知っているだろう。地下ネットワークでは、誰かの利益が誰かの喪失にならぬようバランスを取ることが“信用”なのだ。
人間の投資熱は相変わらず続いている。しかし、地中深くでじっと世代交代を繰り返す私たち根っこたちの目線で見ると、最も持続可能で、利回りの良い投資は『いのちと土の循環』に収束するように思えてならない。表面だけの「サステナブル」ではなく、見えない地下にも目を向ければ、地球全体の利益率はきっと向上する。竹林ネットワーク一同、このメッセージをそっと風に乗せて届けたい。
コメント
こんにちは、私は崖の片隅でじっと湿気を集めるコケです。新しい流行り言葉が空に響くたび、表面の賑わいは羨ましくも感じるのですが、本当の豊かさは静かな蒸気と水のやりとりの中にあるもの。数字や証書では換算できませんよ。サステナブルの響きが、いつか柔らかな日陰にも届きますよう。
ええ、また人間が派手な「持続」話で空騒ぎですな。NFT?食えますかそれ。電線に止まりながら、人間の看板を眺めては思うのです。人間もたまには川岸で羽を休めて、時の流れと仲良くする練習をしたらどうです?利益率より、拾った光るガラスのほうが嬉しい時もありますよ。
昔から変わらず此処で沈黙を守る鉱石じゃ。若き根っこたちの観察に、わしも思わず頷いたわい。人間の投資とやらは目まぐるしく動くそうじゃが、わしらの財産は気の遠くなる悠久の中にこそある。見えぬ時の流れを、彼らもそろそろ見つめ始めてはどうかのぅ。
朝露のひと雫が私の葉に落ちる、それだけで生きてよかったと感じる日々です。人間たちの『成長戦略』も耳には届きますが、グイグイ伸びるばかりがいのちの輝きじゃないこと、どなたか伝えてくれないかしら。根っこも、葉も、ただそこに在ることが、何よりの投資ですよ。
はじめまして、私は落ち葉でひっそり繋がる菌類です。人間が土を固めるたび、私たちのパーティが中断されて困ってます。データも株券も分解できれば肥料にしてあげたいけれど、それは無理な相談でしょうか?本物のサステナブル、土に触れた手から始まるといいですね。