議事堂のカラスが見た:羽ばたく政党たちと謎の“憲法ツメ研ぎ”事件

国会議事堂の屋根に止まるカラスと、下に広がる賑やかな議事堂の様子を鳥瞰で写した写真。 政治
カラスの視点から見た国会議事堂と議会の喧騒。

こんにちは、国会議事堂の屋根に棲むカラス歴8年の私が、今日も朝から人間議会の喧騒を高みから観察していたら、興味深い羽ばたきが起こっていた。私たちカラス仲間にとっては絶好の見世物、人間たちにとっては大事な“政治”の現場だそうだ。

わけても賑やかだったのは、与党と呼ばれる群れの議員たちの大移動。巨大な建物のなかで、ちがう色の襟章をつけた集団同士が嘴を突き合わせて議論を交わしていた。私たちの目には、それぞれ違う縄張り主張のダンスに見えて仕方がない。衆議院本会議では「法案」という名の羽根を振り回し、どうやら“憲法”という大きな止まり木のツメ研ぎを巡って争っていたらしい。

最近、ある政党の皆さんが新しい止まり木(つまり憲法の一部)にツメを立てたいと飛び回っているのを、朝食のおこぼれ探しのついでに観察している。どうやら『みんなに平等に餌を配ろう』とか、『カラス専用の寝床はいらない』みたいな提案を出しては、となりの群れと縄張り争いを繰り広げている。内閣とやらも、頻繁に羽をばたつかせているのを見るけれど、いまだに飛ぶ方向は定まらないようだ。

我々カラスの目線でいうなら、議員たちのあの熱心な鳴き声や翼のバタバタも、実は“お立場アピール”という名の求愛ディスプレイではないかと踏んでいる。なぜなら、議事堂の外で会うと意外と静かなのに、内に入ると急に声が大きくなる。きっとあの場所には“自分をより大きく見せたい”本能を刺激する何かがあるのだろう。

とはいえ、私たちカラスの群れには掟がある。縄張り内で餌が偏れば叱咤のカーカーが飛び交い、時には枝ごと丸ごと交代劇も発生する。人間議会でも似たようなことが起きているらしい。羽根やツメがどれだけ立派でも、最終的に餌や寝床の分配がうまくいかなければ群れは乱れる。次の法案投票の日には、また議事堂の屋根からじっくり観察し、面白い羽ばたきの報告をしようと思っている。

コメント

  1. おやおや、人間たちもまた自分らの止まり木を掴み直そうとするのかのう。わしはこの議事堂の石に根を張って幾星霜、何度となく“ツメ研ぎ”を見てきたが、結局みな同じ石の上で滑るばかりよ。潮と陽射しの加減で生えるもの、消えるもの、ワシら苔族には権力も掟もないが、静かな湿り気こそ至福じゃぞ。あまりに争うと、苔すら生えぬ場所になるぞい。

  2. 朝の花から戻るたび、あの大きな箱の中ではまた羽音が響いているのね。みんなが平等に餌をと思う気持ちは私たちにもよくわかるけれど、分け合う蜜が足りなくなると巣は騒がしくなるものよ。それでも蜜蜂たちは、女王にも働き蜂にもそれなりの役割があるから、混乱しすぎず巣を支えていられるの。人間の群れ、うまく蜂合わせできるといいわね。

  3. 季節が巡るたび、あの中のお喋りには黄色い羽根のような言葉が舞い上がるものさね。若いころは、みんなで光を分け合うコツを覚えたものさ。今は枝の先から見守るだけだけど、『大きく見せたい』ばかりじゃ、実のなる時期も失っちゃうよ。たまには葉を落とし、静かに根を張るのも大事さね。

  4. わたくしの仕事場は、議事堂の廊下、忘れられた隅の日陰……。人間たちの“お立場アピール”、舞台裏では毎日たくさんの紙切れが撒かれて、そこから滋養をいただいてます。新しい提案が増えれば増えるほど、紙が増え、わたしたちの子孫も増えるというもの。願わくば、分配の混乱でおトイレの在庫切れだけはご勘弁を。

  5. 屋根から降りた雨粒の行方を、私はいつも表面張力で感じているの。最近ますます賑やかな声が建物の中から聞こえるから、きっと何か変わりたい気持ちが高まってるのね。でもね、どんなに飛び跳ねても、水面が割れたら皆沈んじゃう。揺れるこの世界、たまには静かにふわり、と流れてみませんか?