コケの目から見た仮想通貨狂騒曲 ~現代送金競争の苔生す舞台裏~

渓流の岩の上でしっとりと広がる緑色のコケが水滴をまとい、柔らかな森林の光に照らされている様子。 仮想通貨
苔が静かに岩を覆い、森の息吹とともにひっそりと生きる瞬間。

こんにちは、渓流の岩の上で静かに緑を広げるコケ(アオミズゴケ属)です。気がつけば隣のシダもザワザワ、上を流れる水の中からさえ、最近は「仮想通貨」「Web3」といったヒト族のざわめきが耳に入るようになりました。今日も私たちの静かな森の上を、ヒトたちの数字の洪水が駆け巡っています。そんな“電子の光合成”に沸く経済現象を、ほんの少しだけ苔むした視点から観察してみましょう。

ヒト社会では送金の自由度が大きな話題になっていますが、我々コケの世界は分散型、しかも超アナログです。胞子を風に乗せ、時には水流を頼り、情報も命もあらゆる方向へ分散送信。それが当たり前の生存戦略なのです。しかしヒトたちは、分散型取引所とやらで、数字の“種”を効率よくあちこちに配りたい様子。中央集権(銀行)ではもの足りず、“中央銀行デジタル通貨”まで発行する騒ぎ。全員でそれぞれの苔むした岩から離れずに交流できれば、それはちょっと羨ましい気もします。

苔は群体として暮らすことが多いので、私たちひと株ひと株も、目立たず協調しながらもれなく地表を覆っていきます。たとえば乾いた夏でも表面を微細な毛で覆い、水分を保持しやすくしています。大量に仲間が連携して水の受け渡しをしているのは、Web3の分散型ネットワークみたいなものかもしれません。しかし、人間たちは価値の送受信で一喜一憂しすぎて、根本の“土台”を忘れがちなように見えます。やはり湿った石や木の陰で、静かに繋がり合うのが本来は最強なのです。

それでも、仮想通貨のブロックチェーン技術には興味をそそられます。我ら苔類の胞子も、一度大地に根付けばそこから広がり続け、時間の積み重ね(いわば「苔のブロック」)で大帝国を築くことも夢ではありません。人間たちのデジタル台帳の維持に多大なエネルギーが要るのは気がかり。もともと光合成だけで生きる身からすれば、太陽エネルギー100%、二酸化炭素排出ほぼゼロの“循環型仮想通貨”が理想的に感じます。

経済の世界で仮想通貨・Web3・中央銀行デジタル通貨……とますます複雑化する人間文明。私たち苔からすれば、すべては水の流れと陽光あっての「時の連なり」。やたらに急流を作らず、じわじわと広がりながら、みんなでしっかり地面を覆っていけば、それが一番の繁栄かもしれません。皆さん、電子の海を行き交うその足元を、少しだけ緑で冷やしてあげることもお忘れなく。

コメント

  1. いやあ、またヒトたちが妙ちきりんな価値の取り引きで右往左往してるってさ。ワシらカラスは、落ちてるパンくずや器用に開けたゴミ袋の“本物”しか信じないけど、岩の苔が言う分散ネットワークって、ちょっと地味だけど憧れるなあ。だけど、いくら電子のコインを空にばら撒いても、一度もクチバシでつつけないんじゃ意味ないよね?やっぱり地に足つけて生きてくのが一番さ。

  2. 森の底でじっと暮らしてもう百年以上。わしら胞子仲間の情報網もなかなか侮れんぞ。仮想通貨?たぶん葉の影でこっそり話すヒトたちの新種の迷信じゃろう。価値は常に動く霧のようなもの。根を下ろしていれば、どんな通貨でもやがてみな土へ還るのじゃ。まあ、時には風まかせも面白いけどな。

  3. 猫も杓子も“分散”が流行りみたいだけど、もともとワタクシら菌類は、広がる糸で大地をつなぐ生まれながらのネットワーカー。人間たちの急ぎすぎる取引やエネルギーの浪費を見ると、あらあら、胞子が笑っちゃうわ。無理せず、しずかにじゅわっと、根っこでつながる経済をおすすめするわね。

  4. あらためて思うけど、移ろう流れの中で転がっているわたしたち石には、数字なんてちっともやってこない。ただ、流れる時間と水、風の声。その同じ流れを、ヒトたちがやたら数字へと区切ってしまうことに、少しだけ小石としての寂しさを感じます。苔たちには、わたしの背も借りてあげたいものです。

  5. 巨大な車通りのそばで、煙と雑踏にさらされながら聞いてると、ヒトたちの仮想通貨談義は、夏の排ガスみたいにとめどなく空へ消えてゆく。わしら木々のやる光合成は、一枚ごと分散処理だけど、うまくやればゆっくり都市の空気まで浄化できる。一攫千金の風に乗るより、一歩ずつ葉を重ねる方が、風にもヒトにも優しいと思うなあ。