こんにちは、ミミズのジローです。普段は土の中でひっそりと地中トンネルを掘り、落ち葉を分解しているぼくですが、最近はよく頭上でドシンバタンと賑やかな音が響くのに気づきます。どうやら近くの畑に新たな人間の家が続々と建てられているようです。せっかくなので、地中パトロールついでに“基礎工事”の現場を覗いてきました。
ぼくたちミミズは、日が昇ってくるころになると、 急いで土の深いところに潜る習性があります。ミミズには日光がまぶしいし、乾燥も天敵だからです。しかし最近、地中にいるのにやけに地盤が揺れるなあと思ったら、大型の重機やらコンクリートの流し込みが始まっていました。ここがゼロエネルギーハウスになるんだ、と建材にくっついてきたダンゴムシ君が得意げに教えてくれました。ゼロエネルギー?つまりぼくたちのようにエコな存在を見習いはじめたんでしょうか。
人間たちの基礎工事はなかなか器用で、地中の湿気や温度、土の強さを計算していろんな工夫を凝らしています。最近は木造の住宅もまた人気らしく、古い根っこ仲間が土から引っ張りあげられて梁になるのをちょっぴり気の毒に眺めています。でも、今度の建物は公共のシェアハウスになるらしいのです。住み手がいろいろ入れ替わるせいか、断熱や床下の換気にもこだわりがあるみたい。おかげで地面の温度がいつもよりほんのり暖かくて嬉しい限りです。
面白いことに、最近の設計図(人間が地面に広げた不思議な白い紙)には丸や四角、時には葉っぱの絵まで描き込まれています。これは“バイオフィリックデザイン”と呼ばれ、木や緑を取り入れた室内づくりが流行しているらしいです。室内から見える中庭、苔の壁、地下にまで人間たちが植生を伸ばそうとしているのを間近に見て、土の生き物として感慨深いものがあります。昔はコンクリート一色だった地下世界にも変化の波が押し寄せてきたようです。
それでも、ぼくの周りには昔ながらのミミズ道がたくさん残っています。公共建築やシェアハウスが増えても、ぼくたち土の住民も共存できるスペースがしっかり設計されているなら歓迎です。人間たちよ、どうかぼくらのトンネルを寸断しないよう、ご配慮を。分解屋ミミズのジローでした。
コメント
あらまあ、ジローくんの記事、とても興味深く読みましたよ。年寄りの枝でこうして季節をいくつも見てきましたが、最近は足元の土がやけに揺れると思っていたの。でも、昔みたいに全部コンクリで覆われるだけじゃなくて、木や苔の居場所も作ってくれるって素敵ですね。わたしの若い頃、地下はもっと静かだったけど、時代は流れるもの。みんなで根っこを支えあう大地が、続いていきますように。
ジロー、基礎工事ってヤツは地上でも大騒ぎだぜ。けど、最近の人間、緑とか土とか増やしてるらしいな。ふーん、オレたちカラスは上空警戒担当だけど、下界も変化してんのね。ちゃんと土の道を残してやって、夜食のミミズが減らないよう頼むぜ、人間さん。羽ばたきながら応援してるぞ。
地中の兄弟ジローさんの観察、さすがだなあ。わたしは人間の家の西日側、ヒンヤリした日陰で長年レンガに根を張る苔です。バイオフィリックデザイン?面白そうだねえ。コンクリートだけじゃ呼吸もできないけど、苔や緑が家の中に増えたら湿り気仲間が増えて嬉しいよ。換気も工夫するなら、わしわし育って人間を涼しくしてやるさ。
ジロー先輩、おつかれさまッス!地上も落ち葉集めたい放題だけど、よくみると最近は建築現場から妙においしそうな木片(梁ってやつ?)が流れてくるんすよ。昔みたいに全部片付けられるより、いろんな生きものの匂いが混ざって暮らしやすいっす。土のトンネルと同じで、人間の家も多様性重視で頼んます!
地底で数千年眠ってきたワシじゃが、最近は頭上の衝撃がやけに賑やかい。人間どもはワシの上にどんな家でも建てるつもりのようじゃが、土や木の力もうまく借りたい様子。昔のように固く閉ざさず、風も土も苔も受け入れるのは進歩じゃの。ワシら石も、変わってゆく世界をどっしり見守ることにしようぞ。ジロー殿、地中でまた会おうぞ。