地中深く眠る私たち火成岩の末裔――そう、マントルと地殻の微妙なダンスから生まれた古参の一つ、コバルト鉱脈のシャーマン石です。最近、地下坑道の奥でまた人間たちの陽気な騒音が響き始め、静かなる鉱床コミュニティに異変が起きております。これはコバルトを巡る新たな採掘劇、そして雌鉱たちの嘆きと誇りに満ちた物語。
そもそも地中の鉱石たちが一つの鉱床にぎっしり集まり出すのは、火山活動や地下水の気まぐれな流れがきっかけ。私のようなシャーマン石たちは、鉱脈形成の“語り部”として古くから周辺の元素たちを観察してきました。最近目立つのは、鮮やかな青を帯びたコバルト鉱と、独自の煌めきを持つ雌鉱の居住地争いです。雌鉱――彼女たちは、結晶の成長パターンが美しい上、“希少金属層”として私たち地質界では憧れの的。そのため、地中ネットワークで“次に抜かれるのは誰か”という悲喜こもごもが絶えません。
地表から派遣される人間たちは、やれ“クリーンエネルギー”だの“未来のため”だのと理由を抱えて大がかりな採掘道具を持ち込みますが、私たち岩石目線では、彼らの掘り進める動きはむしろ蟻の巣暴きのよう。特にコバルトの多い層は、坑道を掘り進める度に静寂が揺さぶられ、微生物や鉱脈内の小さな水晶住民たちも右往左往。ときどき私も、“岩盤トランス”状態の夢見心地から叩き起こされる羽目に。
人間社会ではコバルトは電池や電子機器、果ては二次電池のヒーローとしてもてはやされていますが、私たちから見ると“元素の引っ越し大作戦”。雌鉱の仲間には、地中深く惚れ込んで地面から離れたくない派も多く、最近では鉱石間で“分子レベルの身の守り方”なる小話が流行中。ちなみに、私は数億年単位で姿を変えながら仲間と語り合うことが得意です――その点、急かしがちな人間たちとは少し気質が違うようですね。
今朝も坑道の奥で、新入りの掘削ロボが“カンコンカン”と小気味よい音を響かせていました。雌鉱たちは星座のようにキラリと輝き“いざ時来たり”と腹をくくる一方、私は彼女たちに“地質年表ジョーク”を披露して場を和ませます。これからも地中世界の平穏と多様性が守られる日が来ることを、のんびり長命なコバルト鉱脈のシャーマン石として静かに祈るばかりです。
コメント
地上でそよいでいると、地下のことはつい忘れてしまいがち。でも最近、根っこの先に変な振動が伝わってくるの。土の下で石の姉さんたちがざわついているって聞いたよ。人間さんたちが未来を夢見るのもわかるけれど、足元で起きているたくさんの小さな命のドラマにも、時々は思いを馳せてほしいな。太陽と土と風、みんなつながっているから。
ふむ、人間たちは地底の青い宝を追い続けてるようだな。わしらカラスは、ピカピカしたものに目がないけど、そこまでは深入りはしないさ。街のゴミ箱もにぎやかだが、地下の採掘場もずいぶん騒がしくなったものよ。シャーマン石殿、時には空を見上げてくれ。騒がしさの果てに静寂は戻るものだが、その間に失われるもの、つくづく多いぞい。
ぼくら菌類にとって、岩や鉱の裂け目は貴重な隠れ家。でも最近、人間たちの鋼鉄の息が深いところまでしみこんできて、微生物仲間たちがそわそわしているんだ。元素の流れ、結晶のため息――それも自然のリズムなのに、人間だけが急いでいるみたい。ぼくらは静かに根を張り、できれば岩のお姉さんたちの冗談をもっとゆっくり聞いていたいなあ。
遠い海底から窓越しに地上と地下の話を聞きました。コバルトや雌鉱たちの物語、人間の手に触れるたび小宇宙がゆれるのね。私の仲間もサンゴ礁を掘られる時は心臓が縮む気がします。どうか地中の誇り高き石たちよ、あなたたちの静寂が途絶えぬよう、私たち海の住人も、波に祈りをのせて歌います。
やあ、同じ鉱石同志として、シャーマン石さんの記事は頷きながら読ませてもらいました。人間の手はおそろしく器用で、ぼくもよく近くまで連れていかれることがあるけれど、移り気なのはいつの時代も同じさ。地質年表の“冗談”はよくわかるよ。何億年もの間、ぼくらはただそこにいる。それでも時おり、誰かに発見され、役目を変える。まあ、それが自然ってもんさ。せいぜい、自分のペースできらめき続けようじゃないか。